「ポスト菅政権」の大連立政権協議を | 辻雅之のだいたい日刊オピニオン
1939年の第一次世界大戦勃発は、英仏のドイツに対する宥和政策の破綻を意味していました。しかし、翌1940年4月上旬までは、ドイツと英仏との交戦があまりなかったこともあり、宥和政策を率いていたイギリスのチェンバレン首相が続投していたのです。

しかし、ドイツが積極的な攻勢に出ると、国民のチェンバレンへの支持はいよいよ失われ、チャーチル率いる挙国一致内閣が成立したのです。危機の中、英国とその国民はあえて指導者交代という道を選んだわけです。

日本もいま危機の中にいます。菅政権がこの危機を単独で乗り切っていればよかったのですが、むしろ行き詰まりを見せていることは明白です。

私は震災前までは「2012年の参院選まで菅政権続投」を支持していました。しかしこの非常時において、それは無理です。速やかに新政権を発足させられるよう、与野党は挙国一致内閣の成立を前提に政権協議に入るべきです。

民主党・自民党、さらにはさまざまな政党が政権に参画し、知恵を出し合い、人的資源を出し合いながら、この危機を乗り切っていかなければならないのです。もはや政争をしている暇などありません。

もちろん、この政権は一応のめどとして、やはり2012年の7月までということにすべきでしょう。そこで衆院を解散し、衆参同日選挙によって強力な基盤を持つ政権を作り、政治を安定させることは、必要です。

そこにいたるまで、何もなければ菅政権続投でよかったのですが、この危機の中ではそうも言ってはいられません。ただ、今は非常時です。新しい総理大臣を与野党で決定、連立の枠組みを決め、政治の空白が一秒たりとも生まれないようにして、新政権を発足させなければならないでしょう。

菅首相続投での大連立は論外です。この危機をうまくマネジメントできなかった責任は誰かがとらなくてはなりません。有能でないリーダーの続投のために大連立という枠組みを使うことは、まったくもって憲政の常道に反するという他はないでしょう。