奪う権力、頂く権力 | 辻雅之のだいたい日刊オピニオン
生きてますからね(苦笑)。ま、今はあんまりそういう話はできないんですが。

安倍前首相も福田首相も、あの人たちは権力を頂いちゃった人たちですね。そういう権力はもろい。古いけど、村山元首相とか、森元首相もそうですか。頂く権力は最初は甘く、あとで苦い。

権力は奪うもの。朝日新聞に大昔「政治家は権力闘争しないで下さい」って投書があってがっかりしたことがありましたが(権力闘争はほどほどになら、わかりますけどね)権力は奪わないと力にならないんですよ。力のない権力ほどどうにもならないものはない。戦前の昭和天皇の権力ってのはそうだったわけです。最後はがんばって終戦してくれましたけど。

小沢一郎って人は権力の奪い方を知っている人です。だから「もう終わった」と何回いわれたのに、今の地位にいる。もっともあの人は原理主義者なんで、そういうことからくる失敗も多いんで困りますが。少なくとも小選挙区制を導入したり(中選挙区だと公明党が強い、あこんなこというといかんのか)、副大臣制導入・政府委員廃止を実現させるなど、なんとか功績を残してきた。

菅直人って人もそうですね。市川房枝の選挙スタッフからスタートですから、権力掌握の才能は天賦のものでしょうね。小政党からここまできた。途中、旧厚生省の大臣になって薬害エイズ問題の解明に務めた。あれは官僚から権力を奪取したからできたわけで。

で、官僚はなぜ強いのか。戦後の混乱期に巧みに奪った権力を、これまた巧みに数世代にもわたって維持するために見えない闘争をしているからです。

さて、麻生太郎の握る権力は奪う権力か、それとも頂く権力か。案外後者になってしまいそうな気も……。