昨日は午前中テレビもインターネットもあれこれやって繋がらないので、午後一番に５０ｋｍ離れたオーセール Auxerre の街にあるプロバイダーの所へルーターのLivebox を外して持って行きました。
長いこと待たされてやっとルーターには問題なく、本人確証のためのパスワードの大文字を小文字で入力したからと判り、なあ～んだ、そうだったのか。これで解決、とばかり気も軽くなって家へ帰り繋ぎ直してパスワードを入れ直しました。けど、やっぱ繋がらない。フランス語キーボード、英語、日本語と３通りやってみてもダメだった。
どうしても夜８時までにテレビを観られるようにとせっかくオーセールまで行ったのに、マクロン大統領の緊急演説は聴くことが出来なかった。
夕飯を食べ終わって、待てよ、イーサーネットのケーブルの差し込み口を変えてたかもしれないと 気がつき、差し替えたら、なんとすぐに繋がった。演説は断片的に一部を視聴できました。
インターネットも回復したので過去記事をリブログさせていただいたというわけです。
オーセールの幹線道路にはやはり「黄色いチョッキ」の人々が１０人ほどで通行を停めてました。１５分ほど渋滞し、そのうち「黄色いチョッキ」の人々が旧市街の方へ移動し始めたので、隣接したサン・ジョルジュという街を通って帰宅しました。
マクロン大統領の演説はこれまでの軽く知的で明るい、そして時に痛烈な皮肉交じりの自国民への批判を織り込んだものから、終始荘重な誠実さを感じさせる口調で行われたようです。自らの非を認め「私が他のことにばかり熱心で日々の生活に苦しんでる人々に関心を寄せなかったかのように感じさせてしまった。税の切り上げなどの折に私が口にしたことが時に人々を傷つけた」と悔恨の念を表明し、政治的経済的危機を打開する策として次の４つを約束しました。すなわち
①最低賃金 SMIC を２０１９年から毎月１００€切り上げる。
②残業手当にかかる税金を無くす。
③年末の特別手当を非課税とする。
④老齢年金が２０００€以下の人に対してはＣＳＧ 社会連帯税引き上げを取り止める。
マクロン大統領の対策に対して「黄色いチョッキ」の人々の反応は今のところ半々です。 燃料税引き上げは中止になったし、それ以上の当面抱える生活苦を軽減する手当てを勝ち取ることが出来たんだから、この辺で矛を収めるべき、という考えの人が半分。いや、もっと続けるべきだ。 ハンデイキャップを抱えてる人への手当てや、財産税復活や移民問題、直接民主主義への第一歩と言うべきレフェランダム国民投票についてはなんにも触れてない。次の土曜１５日も第Ｖフェーズの 行動を展開すべきだ、と主張する人が半分です。
さて、前回、半世紀も前の「歌声喫茶」のことに触れましたので、またも遠い昔の思い出を……。
「マルマン深夜劇場」という番組がラジオであったんですよ。昭和３７年は１９６２年でやっぱり６０年安保の頃ですね。めのおは高校２年か３年生になってました。安保反対の国民闘争は敗北するし、 受験科目ばかり優先する学校の授業に反発して英語や数学をさぼっためのおは落第生の坂道を転がり落ちてカミユの「転落」だとか椎名麟三の「深夜の酒宴」だとかを読み、堕落し退嬰化してゆく自分に快感すら覚えながら「深夜劇場」を聴いたものです。
「夜は恋人」というのがこの番組の主題曲でした。ニニ・ロッソだったかが吹くトランペットが哀愁を帯びて夜のしじま（静寂）を渡ってゆく。中原美紗緒が歌う歌がその頃流行ったんですね。「夜は恋人」という題で。そこに出てくる「メアクルパ」という悲しく訴えるような声が都会生活に飽き未来が見えない悲しみばかり抱えた思春期の心を捉えたのでした。
この唄はエデイット・ピアフが歌っていて、そこでは「メアキュルパ Mea Culpa 」とラテン語の原型で 唄われてます。歌詞を見ると７つの罪がそれぞれの小節の頭に置かれてるんですね。
orgueil 傲慢、驕り
envie 欲望
gourmandise 貪欲（食欲）
paresse 怠惰
colère 怒り
luxure 贅沢
avarice 吝嗇
それぞれの罪を犯して恋人と私自身を苦しめ堕落させてしまった。カトリックの悔悛の情を唄ったずいぶん宗教的な歌なんですね。
「わかるでしょ。こんなふうに、７回も罪を犯してしまった。みんなあなたのせいで。でも、ある日、あなたが望むなら、あたしはまた同じ罪を繰り返すでしょう。メアキュルパ！ メアキュルパ！」
まあ、仏教の貧瞋痴（どんじんち）みたいなもんで、人間だれしもそれぞれの欲望は抱えてますよね。
マクロン大統領の緊急演説にフランスのメデイアは「メアキュルパ！」とタイトルをつけてました。
