めのおにとって、マクロンとフィリップ両氏が面白い関係にみえるのはふたりとも文学青年というところにある。
フリップ氏はすでに数冊の小説を刊行している。どれも推理小説のようだが。マクロン氏は理想主義的、ミステイックと呼ばれるシャルル・ペギーやシモーヌ・ヴェイユに近い傾向を持つ人。これに対しフリップ氏はずっとリアリスト、事実を基に推理を進めフィクションを構築するタイプ。
フィリップ氏の出版済みの小説はいずれもジル・ボワイエGilles Boyer との共著。
①2007年3月にフラマリオン社から出版の「l'Heure de vérité 真実の時」政治小説
②2011年Jean-Claude Lattès 社出版の「 Dans l'Ombre 影の中」大統領選挙を材料に書かれた現代政治スリラー小説
ほかにも、ブラジルの代表的建築家オスカー・ニューメイヤーについての本に序文を寄せている。フィリップ氏が市長を務めていたル・アーヴルにはこの建築家が設計したグラン・ヴォルカンと愛称される市民会館・劇場がある。めのおが22年前に書いた小説に、ここでコンサートを開くベルベルの亡命ミュジシャンと青年たちを書いています。
エマニュエル・マクロンという人とエドウアール・フィリップという人は、マクロン氏が大統領に選ばれるまではほとんど知らない関係だった。大統領が首相を任命するにあたりいろいろ調べた結果フィリップという人物に白羽の矢が立った。
大統領が大方針、ヴィジョン、思想を示し、首相がその大枠の中で具体的な政策プランを立て、国民の代表たる議員に発表し、信任か否かを問う。それが昨日の首相の施政方針演説だった。
大方の危惧をよそに、このふたりの組合せは今までに例をみないほど完璧なまでに巧くいった。従来は大統領は自分の党派から首相を選んだ。酸いも甘いも分け合ったいわば家族同然の仲間だ。しかし近しい仲の二人の関係が良好だったかというと答えは否定的だった。サルコジ大統領とフィヨンの関係、オランド大統領とヴァルス首相、ほとんどは首相が自己主張を我慢して大統領に尽くす関係だった。国民の眼にもそれは見えてしまうので、この関係がぎくしゃくしてるとわかると、政策実行は巧く運ばない。
ヴィジョンとか思想とかはそれ自体ではなんの役にも立たない。しかし人間はヴィジョンなり思想なりを共有し、それに深く共感した者は行動する。
マクロン大統領の1時間半に渡る演説の途中には一回拍手が起こっただけで、あとは900人の議員が水を打ったように静まり返り、今までの大統領の演説とはうって変わった新鮮さと、マクロン氏の表現の繊細な感性と語彙に、みな清聴していた。
これとうって変り、フィリップ氏の演説には途中なんども拍手が沸き起こった。内容がきわめて具体的なものだったことにもよるのだろう。
フィリップ氏が演説を終え、数人の代表が演台に立ち反対演説をした後、信任投票に入った。
結果は信任370票、不信任67票、棄権129票と圧倒的多数で信任された。
首相就任に当たっての信任投票で不信任の票数がこれだけ少なかったのは1959年以来という。また棄権の数も史上最多だった。
昨日は午前中に買い物に行く予定が遅れてちょうどフィリップ首相の演説の最中となったので一部しか聞いていない。が緊縮財政を強いられる中にも、貧しい階層には保護措置を、中間層には免税措置により所得の拡大と購買可能額の増大による消費の拡大、全般に健康保険による眼鏡、歯の治療の全額負担、幼児への11種類の予防注射の義務化、教育面ではバカロレアの改革、などがある。
これも全部を読んでから後日、抄訳を投稿しようと思います。
トウール・ド・フランス4日目の昨日、思わぬアクシデントが起こった。前日の三日目、ゴールのダッシュで優勝したペーター・サガン選手がやはりゴール前(約500m)の競り合いの最中、右後ろから追い抜こうとした30回優勝のマーク・キャヴェンデイッシュ選手を右ひじを拡げ妨害した。
いちばん左の黒いジャージがキャヴェンデイッシュ選手。その右のサガン選手の肘が右に張り出ている↑
時速50km以上の猛スピードでダッシュの最中、一瞬の出来事だったが、キャヴェンデイッシュ選手ははじき飛ばされ、沿道との境に張り巡らされた防御幕に激突し地面に倒れた。
後ろから来た選手は避けようがなく、キャヴェンデイッシュ選手の胴体の乗り上げ
転倒した。キャヴェンデイッシュ選手は手の指と手首に傷を負い、肩を骨折した。
路上に倒れたキャヴェンデイッシュ選手の胴の上を後続のバイクが乗り上げた瞬間↑
レースには数名の審査委員が付き添ってるので審査会が開かれ、はじめはサガン選手は30点減点、5日目のスタートは最後尾から、と寛大な罰が加えられただけだったが、その後ヴィデオを見た審査委員により、失格(デイスコリファイ)と判定され、2017年の第104回トウール・ド・フランスは出場停止の厳罰となった。
もちろんサガン選手と所属のチーム部長が審査員に抗議した。あるいはこの時の抗議の仕方、態度に誠意が見られないとか、ウソを吐いているとか判断され、抗議が逆効果となって厳しい判定が下されたのかもしれない。
サガン選手は「すぐうしろにキャヴェンデイッシュ選手がいて、追い抜こうとしてるとは知らなかった。肘が出たとしたら反射的に出てしまったので故意によるものなどでは断じてない」と抗議したのだが……。
反射的であったにしろ、「レース出場選手に甚大な危険を生じさせた」として失格となったのだ。
前日の奮闘でせっかく2位に急上昇していたサガン選手だけに、このアクシデントは残念だ。
キャヴェンデイッシュ選手は今までに30回優勝(ほとんどが区間優勝)という凄い記録を持つ選手で、これから本領を発揮すると期待されていただけに、肩を骨折したとなるとレースに出場はできないだろう。
アクシデント直前に現場より前方へ出てゴールに向い全力疾走していたフランスの若手アルノー・デマール Arnaud Démare 選手が優勝した。
フランス人選手が区間優勝したのは数年ぶりのこと。
チームのスタッフは吠えるような喚声を挙げ文字通り狂喜していた。
イエロージャージは依然としてSKYチームのトーマス・ジェラン選手。2位にやはりSKYのクリストファー・フロム選手が浮上した。チーム優勝はSKYがまたも確たるものになった。
ナイロ・キンタナ選手20位、ロマン・バルデ選手23位、アルベルト・コンタドール選手26位、といずれも上昇した。
日本の新城(あらしろ)ゆきや選手は100位に浮上した。
5日目の今日は、Vittel → La Planche des Belles Filles の160.5km
行程の最後に急な上り坂(難度最高の 1 )を標高1035mまで登坂するきついレースだ。公式サイトからお借りしたルートの高低差を示す図をご参考までに貼っておきます。
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