とても寒いです。ドイツやポーランドなど北の寒い国から冷たい空気が吹き込んで、昨日から朝は氷点下になりました。
北よりも東のアルザスやロレーヌ地方が寒くて、昨日はムルーズで氷点下7℃とか。今朝は、ここ北ブルゴーニュでもマイナス5℃でした。
↑車の窓も、垣根も凍り付いて白くなってます。
物置の屋根に上ったミヌーも寒そう。
3日前(27日)に撮ったトネリコの木にはまだ葉が沢山ついてました。
それが今朝はまる裸。
3日前は葉が「ハラハラと優しくささやくように舞い落ちて」いたのですが、2日間吹き続けた北風でぜんぶ落ちてしまいました。 落ち葉をせっかく掻きよせたばかりなのに、こんどはそこら中に散らばって庭の全面を覆ってしまいました。 トネリコの葉は雨に打たれるとすぐに黒く変色して地面に貼りつき掻き集めるのがやっかいになるので、乾いてるうちにまた掻き集めねば なりません。
トネリコの木はお隣の敷地との境界線に生えてます。引っ越してきたばかりの今から10年前、まだこの木は小さかったのですが、隣の家主が「樹木はいいからこのまま残そう」と。そう言ったまま、家の工事を放ったらかしてオーヴェルニュ(中央高地帯)の実家に雲隠れしてしまいました。今や10メートルを超える大木となって葉を沢山つけます。
木は好きだからいいのですが、枯葉の季節に落ち葉を集めるのがひと仕事です。
隣の家主に、「この木はお宅と境界線上に生えてますね。だから共有になるんでしょう」と言ったところ、「いいや、みんなウチの敷地内に生えちょる」とのたもうた。1センチでも余計に所有したいって農民根性まるだし。
それならそれで、生えたい放題でオレンチの庭を犯してる枝の処理や、枯葉の処理をちゃんとやってくれよ、と言いたいところだが、住所を知らないので、めんどうだ、落葉ぐらい自分でやったるわ、となってしまう。
トネリコの木はまたたくまに大きくなる。アメリカインデイアンがトネリコの枝を削って弓矢にしたのも尤もで、真っ直ぐな枝がひと夏で3~5メートルは伸びる。
この木の名前を知ったのは、ルノー社長暗殺事件を調べた時だった。1986年11月17日夜、ブローヌ・ビヤンクールのルノー本社から社長のジョルジュ・ベスは運転手付きの車に送られて、パリ14区モンパルナス駅と墓地の横にあるエドガー・キネ通りの自宅に帰った。ずっと昔、このブログにも投稿しましたが、重複をお許し乞う。
「ありがとう。ここで降りるから。じゃあ、おやすみ」
自宅の門まで10歩とはないが少し歩く距離を残した所でジョルジュ・ベスは車を降りた。 ほんの少しだが歩きたかった。その僅かの遮蔽物なしの隙を並木の木陰で待ち構えていた二人がいた。
「よし。やろう」木陰から飛び出した二人は拳銃を発射し、門の数歩手前のところでジョルジュ・ベスを打ち倒した。翌1987年に最後の活動家が逮捕されるまで、ベルギー、ドイツ、イタリアの活動家と連携してテロ活動を続けた過激左翼「アクション・デイレクト」の犯行だった。
犯人が隠れていた並木がトネリコの並木だった。エドガー・キネ通りは幅の広い中央分離帯がありここで毎週朝市が立つ。
ジャンポール・サルトルの葬儀の日、棺を担いだ行列がこの通りを通って墓地へ向かった。夏はトネリコの街路樹の葉が適度な陽射しと日陰で気持ちのよい木陰で歩道を覆う。
フランス語で Fresne ということを特徴ある葉の形から調べて知り、仏和辞典で「トネリコ」という日本名を知った。

フランス語じゃ Fresne(フレンヌ sは読まない)パリの北西の郊外にはフレンヌって街があり、そこには刑務所があるんだよね。 アクション・デイレクトと因縁があるのかね?
Fraxinus japonica サトトネリコともいう。もくせい科の高木でラテン名にある通り、日本が原産なんだそうだ。
湿気を好むので田の畔などに植えられた。収穫した稲束を干すのに利用される。富山ではこれを稲架(はさ)と呼ぶそうだ。
樹皮は薬用: 腎臓に効くほか、消炎効果があり、結膜炎などのの消毒に用いられるんだって。去年の夏、片目が真っ赤に腫れたけど皮を煎じて試せばよかった。セイヨウトネリコは、薬用ハーブとして腎臓や膀胱の疾患、リューマチに効果があるといわれている。
「とねりこ」って変な名前だね。なんでこんな名前なんだ?
すぐに浮かぶのは舎人(とねり)、平安時代に貴族が乗った牛車の牛飼いとか馬の口取り。 大化の改新前では天皇・皇族の近習だったのが、律令制では下級官吏となり、ついには馬の口取りまで落ちぶれた。「舎人子」って辞書にはあって「舎人」と同じ意味で使われたと。でも、この野生のどこにでも生える木とどんな関係があるってんだろう? もっと土臭い感じがするが。
調べると……。ありました(笑)。
樹皮に付く虫、「イボタロウムシ」これも面白い名前だね、この虫は蝋を出すんだそうな。その蝋を、滑りが悪くなった襖や障子、雨戸の敷居に塗って滑りを良くするのに使ったんだそうだ。子供の頃、障子の敷居に蝋を塗ったのを覚えてる。
「戸に塗る木」が訛って「とねりこ」になったんだって(笑)。へえ~! 「とにぬる木」かあ~。
トネリコの樹木は弾性が強くて、野球のバットやステッキ、鋤や鍬の柄に使われると。
トネリコの原産地が日本だったなんて、こんな近くに日本があったんだね。
英語では The ash grove
西洋トネリコは民謡にもなってるんだ。
『とねりこの木立 The Ash Grove』は、伝統的なウェールズ民謡(イギリス)。
ウェールズ民謡/ハラハラと舞い落ちる木の葉の優しいささやき
ウエブサイトから歌詞の一部と日本語訳(意訳)を拝借します。
The ash grove, how graceful, how plainly 'tis speaking,
The harp through it playing has language for me;
Whenever the light through its branches is breaking,
A host of kind faces is gazing on me.
トネリコの木立 何と奥ゆかしく 飾りのない物言いよ
汝が奏でるハープが私に語りかける
枝からこぼれる光が 優しく私を見つめる
The friends of my childhood again are before me,
Each step wakes a mem'ry, as freely I roam;
With soft whispers laden, its leaves rustle o'er me;
The ash grove, the ashgrove alone is my home.
子供の頃からの友達 気ままに歩けば 気分も明るく
ハラハラと舞い落ちる木の葉の優しいささやき
トネリコの木立 トネリコの木立 私の故郷よ
The ash grove, the ashgrove alone is my home. がリフレインなんだね。
以下にリンクを貼っておきます。





