はしばみの若木の森に取りまかれ、
午後、生ぬるい緑の霞に籠められて、
ヒイスの生えたこの荒地に膝をつき、俺は何を飲んだのか。
(アルチュール・ランボー 「涙」から 小林秀雄訳)
Loin des oiseaux, des troupeaux, des villageoises,
Je buvais, accroupi dans quelque bruyère
Entourée de tendres bois de noisetiers,
Par un brouillard d'après-midi tiède et vert.
これは Larme (涙)と題された ランボーの最後の詩集 ( Derniers vers, Mai 1872)の一節です。
この最初の1行のリズミカルな響きと母音「O」の連なり、それがおもしろくてフランス語を学んだばかりの頃、なんども口ずさんだものでした。
3行目の noisetiers をご紹介したくて、この詩の一節を引き合いに出したのでした。翻訳では2行目になってます「はしばみ」のことですね。
音の響きが良くて、口ずさんではみたものの、noisetier がどんな木だか知らずイメージできなかった。
フランスの南はいざ知らず、ロワール河以北なら、どこにでも生えてる木です。
日本では「ヘーゼル・ナッツ」とドイツ語の方が知られてるかもしれません。
夏の終わりに、こんな実がなります↓
ノワゼットといい、お菓子にも使われます。
ウチの庭に生えてるノワズチエは、春先、芽吹いた時は紫色と褐色の間の色をしています。夏が盛りになるにつけ、葉の色が次第に緑に変わってきます。
今は、すっかり緑になったノワズチエの葉↓
チャイコフスキーのバレー曲「くるみ割り人形」のことをフランス語では、「カッス・ノワゼット= casse noisette 」といいます。
ハシバミの実のことをノワゼット=noisette と呼ぶんですね。
クルミは、ノワ=noix ですが、ハシバミは実は小さくても、クルミみたく皮が固いからnoisette と呼んだんだと思います。
クルミを割る道具が人形の形をしていて「くるみ割り人形」と呼ぶんでしょうが、どういうわけかフランスでは、その道具のことをハシバミ割り=カッス・ノワゼットと呼んでます。




