ブルジュのカテドラル | 雷神トールのブログ

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トリウム発電について考える

拙小説「飛龍幻想」をご愛読くださりありがとうございます。ご声援をいただいてとても感謝しています。このあと、四年生試験ボイコット、体育館での数千人を集めての総長団交、本部封鎖、機動隊導入、300人逮捕と続くのですが、昔書いたはずの原稿がどこへいったか見つかりません(汗)。

なにしろ半世紀近くも昔の出来事なので、うすらぼんやりとした記憶に基づいて書くと迫力(リアリテー)が出ないように思います。20年ほど前に書いた原稿がある筈なので、探す時間をください。

さて、今日はつなぎに住んでる地域のご紹介を兼ねて。
ブルジュのカテドラルへ行きました↓

ファサード

                  西側のファサード ↑


友人の建築家が言いました。
「いちばん作りたいのは教会と監獄だね。どちらも、魂を閉じ込める場所だから」

佐藤優という人の「自壊する帝国」を読んだ。実に興味深く引き込まれて、こういう作家が出たことに感動した。同志社大に神学部があることも知らなかった。70年代に入って学園紛争は下火になっていた時も自治会と神学部が頑張ってた様子が面白い。

もちろん、この本の主題は、ソ連共産党の自壊を内側から、人間を通して書くところにある。佐藤優という若者の(ウヲッカを3本も4本も空けて平気な酒豪ぶりもさることながら)、ソ連崩壊に主導的役割を果たした何人もの人と親しく交流し議論ができるほどの人間性に感動する。

その佐藤はモスクワ勤務を終えて外務省に帰任後、2002年5月14日に「鬼の特捜」(東京地方検察庁特別捜査部)に挙げられ小菅ヒルズ(東京拘置所)の独房に512日間閉じ込められることになった。

「獄中記」も合わせて1月に買って来たので、続いて読むが、佐藤は拘留期間中、修業僧のように読書と思索にふけり、逆境を知的活動に
最大限に利用した。佐藤も書いている通り、独房は読書と思索に理想的な場所なのだ。めのおにも、こういう生活への希求がずっとあった。(が、特捜に睨まれるほど大それたことができない…泣)

広場

         カテドラル前の広場。冬の日差しは低いうえ、すでに夕方で傾いています↑


「自壊する帝国」で興味深かったのは、ソ連共産党がゴルバチョフの時代にすでに崩壊し意味を失っていた。弁証法的唯物論を信奉する人間などほとんどいなかった。レーニンとマルクスには断絶があり、ボリシェヴィキ革命はロシア正教の異端ともいうべき一握りの突出した人間により起こされた、などという指摘。マルクス主義というイデオロギーに支えられていたかに見えたソ連邦、国民国家を超えるためにつくられた統治組織が、ロシア民族、バルト三国の民族主義のためにあっけなく崩壊していった。その様子が、佐藤優という日本人青年が友情を勝ち得た人々を通じて生々しく伝えられている。

タンパン

        西側ファサードにあるタンパンとアーチに施された聖人の彫刻↑


政治には神話が必要だから、と弁証法的唯物論に代わるものとしてロシア正教!! がロシアの民衆の間に復活したという記述には、唸らざるを得ない。人間は唯物論には満足できないのだろう、くらいにしかソ連、東欧の教会の復権を見て考えていなかっためのおだったが、ここまでとは!

グラス3枚


「宗教は民衆にとって阿片である」とはいっても、死があるかぎり宗教は無くならないだろう。めのおはある一つの宗教を信仰はしないが宗教心は否定しない。ジェームズの「プラグマテイズム」に賛同する。

動物は死を予見できず本能的に避けるだけだが、人間は子供にも死を予想する知の働きがある。「死の桎梏」から逃れるために様々な行為をする。酒を飲むのも死を背負う宿命から逃れるため。酔っていることがだいじなのだ。「阿片」は「アーピン=オピウム」のこと。「あがた」と読みます(笑)。

拡大グラス


ブルジュ( Bourge )はかつてフランスの首都だった時代もある。ジャンヌ・ダルクが出た15世紀は、パリはブルゴーニュ派とアルマニャック派が争い、王太子(後のシャルル7世)は叔父のベリー公の庇護を求めてブルジュへ逃げていた。

縦長赤


ブルジュで父の代から金貨造り(造幣局)やっていたジャック・クールは地中海貿易で財をなすが、金貨の改鋳をやってジャンヌ・ダルクの軍資金を用立てたのに、儲けの一部を着服した容疑と、アグネスという国王のお妾の美女を毒殺した嫌疑で投獄されてしまう。ジャック・クールの館は中を見学すると面白いのだが、今日は、ちと「あの世」に想いを馳せたくなり大聖堂(カテドラル)の方へ。

縦長青


ブルジュのヴィトロー(ステンドグラス)は、シャルトル、パリのノートルダムと並び、13~16世紀のものがそのまま残っている。

南の出口


南側の出口から外へ。 繊細な石のレース模様


 
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