2度目のブリコラージュ | 雷神トールのブログ

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トリウム発電について考える

ドライバーを片手に、またもパソコンの蓋を開け、ひっくり返したりしてブリコラージュ(素人細工)する羽目になった。
   
   秋の日の  ヴィオロンの
   ためいきの 身にしみて
   ひたぶるに うらがなし
                (落葉)

口をついて出てくるのは、この唄だ。ブリコラージュとどう関係あるかは、後のお楽しみ。ヴェルレーヌのこの有名な詩は上田敏の訳詩集「海潮音」により日本文学史上でも有名になった。

パリのメトロ「Europe 」駅は国鉄のサンラザール駅へ下る坂道を少し逸れたところにある。この下り坂は「ローマ通り」でかつて詩人のマラルメが住み、高校の英語教師をしながらアラン・ポーの詩や短編を訳したり、毎週自宅のサロンに若い文学青年を集めては「文学とはなにか?」を語っていた。

マラルメのサロンに集まった当時の青年は、アンドレ・ジイド、ポール・ヴァレリー、ポール・クローデル……。後に20世紀フランス文学を代表する錚々たるメンバーだった。

「ローマ通り」を挟んでメトロ「ユーロップ」駅の反対側には、当時まだ国立音楽院(コンセルバトワール)があった。楽器入れを抱えた青年男女とよくすれ違った。

生活に追われ、住んでいたアパートのま近にあったコンセルバトワールを覗く余裕もなかったが、ただ今もほのぼのとメルヘン的なイメージとともに思い出すのは、この界隈にいくつかあったリューテエ (Luthier=主に弦楽器を制作している楽器職人さん)の店だ。急ぎ足で歩いていてもウインドウから中で板を曲げたり削ったり楽器を制作中の職人さんの姿が見えると歩道に立ち止まって暫く魅入られるように眺めていたものだった。クリスマス間際に飾られたウインドウに顔をくっつけ中を覗き込んでいる子供と同じ心境だ。

弦楽器の主流はクラシックならヴァイオリン、ジャズや現代音楽ならギターで、職人さんが作っている楽器もこの二つが大半なのに、なんでリュートと昔の名がついてるのかな? 多分、ヴァイオリンがモーツアルトやベートーベンが出て隆盛を迎える18~19世紀までは、弦楽器の主体はリュートだったのだろうな。


   鐘のおとに 胸ふたぎ
   色かへて  涙ぐむ
   過ぎし日の おもひでや
                  (同上 落葉 第2節)

ポエチックな話から突然、過酷で物質的な話に急降下して恐縮だが、パソコンのヴィスタからウインドウズ7への移行が手古摺っていまだ復帰できない状態なので、途中経過のご報告で代わりにしたい。

まず結論から。内臓ハードデイスクを結局は取り換えることにした。

滑稽なことに、壊れかけのハードデイスクがヴェルレーヌの「ヴィオロンの溜息」とつながるのだ。

「キー、ヴイ~。キー、ヴイ~」という音は内臓ハードデイスクが発するもので、日増しに立ち上げが困難になり、死滅寸前のところでデータを取り出した。去年、大失敗した後、手に入れた「アダプター」がまたも役に立った。

リューテイエの職人さんのアトリエを見ながら、ヴァイオリンを一度手にしてみたいと夢見ていたが、もし首尾良くヴァイオリンを手に入れ、弾いたとして最初に出る音はさぞかしこんな不快感をもよおす音ではなかろうか……

「ひたぶるに うら悲し」どころではなく、もう10度も聞いてまだ立ち上がらないときは、吐き気を催し、寝についても悪夢(コシュマール=Cauchemar、英語ではナイトメア)にうなされてしまうほどの厭らしい音なのだ。

このHDが入っているデスクトップ・パソコンは買って5年経つ。デユアル・ブートにしたのが原因かもしれないけど、普通ハードデイスクの寿命は5年と、細工中読んだチュートリアルにも書いてあることだし、毎日パソコンの立ち上げにスタートボタンのオン・オフを10回も繰り返し、30分掛かってやっとウインドウズが立ち上がるようでは困るので、この際、HDだけ新品と取り換える事に決めたのだ。

最初の見通しが「デユアルブートを止めて、Windows 7 ひとつにする」だったので Vista にあった保存したいファイルやプログラム・ソフトを外付けHDに移動し、Windows 7 に移動した。

すると、奇妙なことが起こった。移動して消えた筈のファイルがVista の(C:)と(D:)ドライヴに復元されていたのだ! そしてファイルとプログラムの他に、もしやと念を入れてSystem とWindows などのフォルダをWindows 7に移したら、今度は
Windows 7 が開 けなくなってしまった。

後から分かったこと。Vista がプリインストールされているパソコンからはVista は削除できないのだった! Vista を管理しているシステムがデータが削除されると自動で復元してしまう。クリーン・インストール用の Windows 7の DVD を使って買った時Vista が入っていたパソコンをWindows 7 一本に変換して使いたいという最初の方針は間違ってたのだ。


最初に間違った方針を立てたので、余計な遠回りをし数日も無駄にしたが、ハードデイスクがいかれかかってたので新品と交換するので、結果的にはクリーン・インストール用の Windows 7の DVDを持ってて良かった。

この方針転換をしたのが昨日のことで、またもやパソコンの箱を開けてハードデイスクを取り出し、アダプターで中のデータを取り出しにかかった時だ。

「キー、ヴイ~。キー、ヴイ~」と初めてヴァイオリンを手にした男が出す音が机に置いた裸のハードデイスクから聞こえるじゃないか。もしかしてスタートボタンが立てる音? という希望もあえなく潰えさった。

20km離れた隣村にお兄さんがやってる店に行ったが閉まってた。月曜も休みで火曜を待っても多分同じ型の内臓ハードデイスクは注文でお取り寄せとなるからもう1週間はかかるだろう。40km離れたジアンのIT専門店も閉まっていた。

どうせだからと昨日の夕方は、カミサンと60kmはなれたモンタルジスという街まで行った。街はずれのZA(Centre Commercial)には、エドモントンのモールほどではないが、Leclerc とGeantなど巨大スーパーが3つ。アパレル、靴、自動車部品と修理、ファーストフード、ステーキハウス……。ちょっと大きめの街の郊外に、どこもかしこも出来て、みんな同じ風景にしてしてしまっている建物の群れだ。ここは人口も多い街なのでその規模も大きい。パーキングを間を縫う道を家族連れの買い物客を乗せた車がひきもきらない。

定年退職して半分は趣味でやってるので、失ったら大ダメージなんてファイルはないが、親しい友人・知人からのメールや下書き原稿がどこへ行ったか? Vistaから Windows 7に移したつもりが消えてしまったので、HDがまだ完全に死に絶える前にもう一度パソコンに組付けて、メールとブログから保存しときたい記事をコピーしよう。

明日は、パリまで行き、内臓ハードデイスクの新品を買ってくる。切り替え作業を始めてちょうど一週間経った。もう1週間は待てないのでパリのリヨン駅周辺にある、中国人やレバノン人、ユダヤ人の頭の良い若者がやってる店へ行けば必ず在庫がある筈なので行って来よう。IT大型店の(秋葉のヨドバシに相当するような)シュルクー(Surcouf)は倒産してしまった。ついでに、中華食品店でソバや餃子の皮や、カリフォルニア米も買ってこよう。こんどの東京行きでお邪魔したハリーメイさんがまたもやお土産に緑茶や海苔をたくさん下さったので、粗悪品の贋日本食品を我慢しなくても済む。ありがとうメイさん。

長い時は数時間かかるコピーをしながら東京や横浜で買ってきた本を読んでいた。いずれも引き込まれる内容の本で、ついつい画面を見忘れて、やり直しが何回かあった。

途中、「ヒョウソウ」で指が痛くなり医者に診てもらい抗生物質を飲み始めた。朝昼晩15分薬液に指を漬けねばならないので、その間は片手作業。

バック・アップはパソコンを買って最初にやっただけだったので、こんなに時間がかかった。これからは面倒がらずに月に一回はバックアップをとることにしよう。東芝の外付けHDDが1万円以下で500Go、1万ちょっとで1テラのが買える。カミサンが眼の検診に行ったコーヌという街のスーパーでも売ってたので500Goを、1Tのはアマゾンで送料無料の宅配をしてくれた。

せっかく始めたヴェルレーヌの詩を最後に、締めくくろう。

    げにわれは  うらぶれて
    ここかしこ  さだめなく
    とび散らう  落ち葉かな



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