一九八二年には私たちNGOの先輩にあたるグリーンピースのメンバーが核実験場であるムルロワ環礁に十二マイルまで近づき示威行為を行いました。これに対しフランス軍は船舶検査を強行し、フランス領ポリネシアから二人の会員を追放しました。
さらに驚くべき事件が起きました。グリーンピースが、世界中の地球環境の保護を願う良心的市民の貴重な寄付により購入した船、レインボーワリアー号が、一九八五年のムルロワでの核実験に反対の示威行為の準備のために、ニュージーランドのオークランド港に停泊中、フランスの秘密情報員の手によって爆破され、乗組員の一人、ポルトガル人のカメラマンが死亡したのです。
この事件はかなり大きく報道されましたので皆さんもご存知かと思いますが、当時の社会党内閣は、防衛大臣が知っていて承認したと表明しましたが、首相も、ミッテラン大統領も、私は知らなかったと、知らぬ顔の半兵衛を決めこんだ。
人命を奪うリスクを冒してまでも行わねばならない大切な核実験の遂行にかかわる作戦行動を一国の首相や大統領が知らないなんてことがありうるでしょうか? シラをきったのが見えすいてます。
このような環境保護運動への妨害にもめげず、私たちグリーンミッションは今回のムルロワでの一連の核実験に反対の行動に立ちあがりました。南太平洋の島々の住人、タヒチやニューカレドニア、トンガ、フィジー、サモア、クック島やマーケサス諸島の住人たちは皆われわれを支持してくれています。オーストラリア、ニュージーランドは政府がフランスの核実験に対し抗議声明を発表しています。また、世界で唯一の核の被爆国日本では多くの市民がこの実験に反対し、フランス製品のボイコット運動が起っています。
本当にこの実験が今、必要なのか? 世界中が実験を全面的に停止しようと意見が一致し、その方向へ動いている時に、世論を逆なでするように核実験をする。世論に逆行するだけでなく、自ら包括的核実験禁止条約を提唱しイニシアチブを取りながら、条約発効までのわずかな期間に駆け込み実験をする。この甚だしい矛盾……。
フランスの行うことはすべて正しいと考えているのではないかと疑わせるような時代錯誤な、大国主義、夜郎自大的ナルシシズムに世界中の良識ある市民があっけにとられて今回のフランスの核実験の強行を見ているという事実を関係者はどうお考えでしょうか」
(つづく)