12 - 6 セルヴァンという名の男 | 雷神トールのブログ

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トリウム発電について考える

 イザベルのルートはさっそく、七月二十日にイカルス本社からセルヴァンという名の社長輔佐が臨海工業地帯の精油所を訪れる、という情報を入手した。

 セルヴァンはイカルスの財務を握っている男で、フーキエの右腕でもあったが新社長に代わってからも辣腕をふるい続け、イカルスの影の実力者を任じている男だ。

 やはりこの精油所はムホクが感じたとおり何か重要な機密事項か、セルヴァンが直々に出張ってくるような重要案件があるのだ。

 セルヴァン訪問は重質油から軽油やケロセンなど需要の多い溜分を沢山とれるようにする今の改造プロジェクトのためかも知れない。

 だが、ムホクにはそれだけではないという直感があった。セルヴァンが何が目的で来るにしても、ムホクたちにとって大事なのは彼が帰る時間だった。その機会を狙いセルヴァンを捉えたい。

 セルヴァンを通し、予審判事がフーキエの追求を緩めざるを得ないようなイカルスの弱みをついた揺すぶりをかける。直訴を脅迫と言い替えてもいい。セルヴァンの身柄を一時借りるのだ。誘拐と言い換えもできるが警察沙汰になる前に釈放するのだとムホクは言った。

 (つづく)

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