12 - 3 救助隊駆けつける | 雷神トールのブログ

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トリウム発電について考える

 「ここに並ぶ倉庫のどれかひとつにカズとジャンヌ・マリーが捕らわれてるはずだ」ケバウが言った。

 この間のテロリストが逃げ込んだと思われる倉庫からまず当たろう。ケバウは二十ほどならんだ倉庫のほぼ真ん中にある鉄の扉を押し開けた。中は暗く灯りはなかった。コンクリートの床ががらんと広がりときどき天井からしずくが滴り落ちる音がした。

 通りに面した倉庫には何も無く、ケバウは広い床を横切って向う側の通路に出た。そこにはほんのりと薄明るい光が射し、真ん中の通路を挟んで向いにも倉庫の列が見えた。向いの倉庫の二階には手摺がありその奥に事務所のような部屋が幾つも並んでいた。どこかで人の話し声が聞えた。

「カズ!ジャンヌ!」

 ケバウが叫んだ。ケバウの声はガランとした空の倉庫にこだました。

 「ここだ!二階だ!」和秋が叫び返すのが聞こえた。

 ケバウとムホクたちは二階に駆け上がった。廊下の三つめの部屋にはドアがなく中にジャンヌ・マリーと和秋がおかしな格好で椅子に縛られているのが見えた。

 ふたりはひとつの椅子に縛られていた。椅子に和秋が腰掛けその上にジャンヌ・マリーが横座りに乗っていた。和秋の腿の上に彼女が尻を乗せ斜めに上体をひねって和秋と抱き合っている。

 彼女の右腕は和秋の肩を抱き、和秋の両腕は彼女の腰にしっかりと回わされて両手が組まれていた。ふたりは左頬をくっつけ合い、ジャンヌの左手が和秋の頭を抱いていた。フルートに飽きた連中は、ふたりを慰みにかかろうとしたが抱き合って離れないのでこういう形で縛り上げたのだった。

 縛られたふたりの前にコンサートの晩、ムホクを襲った黒い顎鬚のテロリストが居た。その横に赤ら顔の男。そして真ん中にダンテクが机に足を投げ出して座っていた。セバスチャンは床に伸びたままだった。

 (つづく)

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