セバスチャンはダンテクの顔色を伺った。ダンテクは黙って頷いた。ふたりは私の思うつぼにはまった。みんなが見ている前で私を決闘で争そうのだ。私はつらい状況のなかでやっとちょっぴりの満足を味わった。
二人は向き合うと両手の拳をボクサーのように構え睨み合った。
セバスチャンは金持ちの息子で格闘に慣れていなかった。痩せのスキンヘッドはセバスチャンの弱々しいパンチを、その引き締まった柔軟な身体をバネのように屈伸させ軽々とかわし、隙をみてボデイーブローをワンツーと打ち込み、とどめのアッパーカットで彼を床に沈めてしまった。
痩せのスキンヘッドは意気揚々と胸をそらせ私に近づいてきた。すると、赤ら顔が出てきて彼を制した。
「彼女が言ったからって、やらせるわけにゆかんな。おれはずっと出番を待ってたんだ。おれが先。やりたいんなら、そこでさっきの続きをやんな」
いつも枠外にいておこぼれしか貰えない痩せのスキンヘッドはみんなからも馬鹿にされてるようだったし、彼自身も自涜に慣れた様子だった。さっきは彼の性欲は耳から入る歓喜の歌に刺激されて、みんなが私を弄びながら性行為におよぶところを想像し衝動を抑えきれず、私の脚をさすりながら自涜に及んだのだ。彼のやるせない性衝動を感じて私は憐れみを覚えた。赤ら顔に犯されるより母性愛をそそる彼の方がましと思ったのに私の企みは赤ら顔の底深い暴力に破られそうだった。
「やれったって、昂奮させてくれるものがなきゃ」
痩せのスキンヘッドが剽軽に言った。
「じゃ、むこうでおれがやるのを見ながらやりゃあいい」
赤ら顔はいまにも私に手を掛けそうだった。私は顔が蒼ざめ全身が冷えてゆくのがわかった。いよいよだ。私は吐き気を覚えた。いましかない。カズに合図し、彼は私に正面から飛びつくとぴったり重なって両の腕と脚をからめ私を力の限り抱きしめた。
(つづく)
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