本棚を作る | 雷神トールのブログ

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トリウム発電について考える

急に寒くなったので今年は庭の隅の灌木がいままでにない紅葉をした↓

フランスの田舎暮らし-紅葉


うちにはないが隣村の古い家の壁を覆っているツタなども深紅が鮮やかだ。

今週はずっと雨続きだったが、昨日と今日ときどき太陽が顔を出したので、小さな本棚を作った。引っ越して4年も経つのに本箱がなかった。本はダンボール箱に入れたまま積んであった。

記憶が衰えてきて、昔読んだ本に書いてあったと覚えてはいるのだが本を探し出し取り出すのがひと仕事なので、どうしても必要な場合だけインターネットで確認していた。でも、そこから知識を得た元の本に再会する喜びはほかに代えがたい。

図書館の蔵書なども、Google なんかがデジタル化をどんどん進めてるらしいが、紙の本というものはいくらデジブックだの、電子書籍だのが広まってもなくならないと思うしなくして欲しくない。インターネットの情報も紙にプリントして読む場合が多い。

だいいちモニターで読むと明るくて眼に入りやすいが眼が疲れて困る。1時間もモニターとニラメッコしたあと、家の外に眼をやるとボーと霞が掛かったようだし、ド近眼になってるのがわかる。電磁波は眼には良くないはずだ。最近やたらと「Optique 」メガネ屋さんが多いのはインターネットを見る人口が急激に増えてるからだろう。

スキャナーの発達がすごいとフランスのテレビニュースでやった。日本の東大研究室が分厚い本をパラパラと、銀行で札束を機械で勘定するくらいのスピードで、繰るだけで文字の内容が全部デジタル化され記録してしまう装置を開発したそうである。

そのうち、本も眼の前でパラパラとめくるだけで内容がぜんぶ頭に入ってくれるようになるといいのになあ~なんぞと、またぐうたらがろくでもないことを考える。そうなると読書の楽しみがなくなっちまうじゃんか。

本棚がやっと買えて、部屋の両脇に4段に積んであったダンボール箱を一つずつ空にしていった。80センチ幅の6段の本棚が4っつ。それでも入りきらない。文庫本は棚と棚のの間が広い中へ幅の細い板を渡し、ぎっしり詰めて並べた。

本の背中がぜんぶ外を向いてどこに何があるか、欲しい本がすぐに取り出せる本棚はやはりいいもんだと思う。今までつべこべ言って本棚に反対してきたカミサンも本が壁に並ぶと「雰囲気が出た」といい気なもんである。生れて初めて書斎というものが持て、やっと落ち着いて読書が出来る。

暑い日本の夏、外で身体から汗が滝のように流れ落ちるのをタオルで拭き拭きダンボール箱に詰めたもう20年も前のことを思い出す。前の家の屋根裏に15年、引っ越し荷物を預かる倉庫に数カ月、ここへきて4年。20年ぶりに再会した本はやっぱり懐かしい。

15歳のとき、初めて古本屋で手に入れた志賀直哉作品集第一巻が表紙はまっ茶色に焼け、50年(半世紀)経ったいま、中を開けると紙のあちこちに茶色の「しみ」が浮いているが、健在だ。紙に印刷された文字は眼に優しい

優しいだけでなく、読む側の主観で文字が様々の表情を見せてくれる。文字が生きて見えるのだ。「活字が立つ」と開高健がどこかで書いていた

こんど作った本棚は最上段から天井までの空間を無駄なく利用するための補助的な棚。お見せするには及ばない。単行本を一段。文庫本を2段、ぎっしり並べた。地震は無いのだが、万一崩れ落ちたりしないよう金具で両脇を壁に止めた。

使った道具は英国製のカンナ(Rabot)と回転ノコ。電動回転ノコ(写真↓)は日本のメーカーが進出してくれたので故障せずいい仕事ができる。切り口がささくれるのが難点だが、カンナでささくれをとったり凸凹をならしたりする。精度を要する時は手引きノコを使う。切り口が長いとか材料が部厚い時は、電動ノコでとても重宝している。

フランスの田舎暮らし-のこ


西洋のカンナは昔は日本のように台は木だった↓

フランスの田舎暮らし-かんな2

今は蚤の市でないと手に入らない。アンテイークの飾りとして去年買った。

日曜大工の店で売ってるカンナはぜんぶ金属製。ちょっとした器械なのだ↓切れ味はそこそこいい。

フランスの田舎暮らし-かんな

手引きのノコギリにしてもカンナにしても、西洋と日本の道具の大きな違いは「押して使う」こと。

これについては、思い出がある。北フランスの自動車工場でフランス人の指導に日本の工場からトレーナーさんが指導に来た。めのおは現場通訳でもあったので組立ラインに一緒に入る。

足回りの大事なボルトを「トルクレンチ」で締める。その手順、姿勢、ワークに対する位置、道具の持ち方、「カンとコツ」をフランス人の若いメンバーにトレーナーさんが手取り足取り指導した。

「トルクレンチ」はこうして両手で持ち、最後にカチッと音がするまで腰を入れて引っ張るんだ。

オマエ、押したらダメなんだよ。力を入れるんだから引っ張るんだ。

トレーナーさんはどのフランス人も、レンチを最後に向こうへ押すので「押したらダメ。腰を入れて引っ張れ」とやかましく指導するので、若者のひとりが、ついにキレてしまったものだった。

ヒッパレ、ひっぱれッテオレたちは押した方が力が入るんだ!!」