芸術家とメッセナの関係 - その3 | 雷神トールのブログ

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トリウム発電について考える

アメリカではビル・ゲイツが億万長者の友だちに呼びかけ4人が財産の半分をチャリテイー事業に寄付することが発表された。さすが、やることが違う!

アフリカには飢えて死んでゆく子供たちが数百万といるのだから、リリアンヌ女史よ!こんな下らない芸術家にくれてやる120億円の金で飢えている子供たちを数万人は救えるのだ。トルストイの「芸術とは何か」でも読んでください。

とめのおは思ったのだが、そこは富豪たるもの、ちゃんと1987年に夫アンドレと、エイズ、Solitis 撲滅のための財団を創設。2010年には、この財団に51億5千2百万ユーロ(約6千億円)を寄付した。リリアンヌはこの財団の活動を評価されレジオン・ドヌール勲章を授与されている。

アロス島の所有が法人(アソシエーション)でその上にもひとつ法人が乗っているという。法人の籍が税金天国ルクセンブルグというから、なにか仕組まれていると考えない方がおかしい。


フランスの田舎暮らし-luxem



同じヌイイに私邸のあるサルコジ大統領は「ベタンクール夫人は毎月何百万ユーロという税金を払ってます。あまり税金税金と責め立てるとロレアルは外国へ行ってしまいますよ」と闇にロレアルがスイスのネッスレ所有に帰してしまう危険を仄めかし、金持ちの不正を責めてばかりはいけないと保護するような発言をした。

暴露記事で有名な週刊誌カナール・アンシェネによれば富豪ベタンクール女史の税率はわずか9%
ル・モンドによれば6%)でロレアルのサラリーマン社員より低い

フランスにはヨーロッパではどの国よりも天井の率が低いブクリエ・フィスカル bouclier fiscal 青色申告に似た制度がある。個人所得税は50%が天井で、それを超える税金を払った場合は後で払い戻しされる。ちなみにデンマークは59%、フィンランドは60%が天井。

サルコジ大統領選挙の際、UMPに12万ユーロ(約1400万円)の現金が渡った嫌疑が浮かび上がった。政治資金規正法は個人の政治献金の限度を7500ユーロ、それも小切手で支払うことと規定している。そのため、最近は政治家がマイクロ政党を個人で作るのが流行だ。ベタンクール夫妻は既に、アンドレ、リリアンヌそれぞれの名義で7500ユーロの小切手をUMP宛てに振りだし、さらにサルコジ氏を支援する会にも2枚切っている。

エリック・ヴオルスは先日まで予算・大蔵大臣とUMPの党の財務担当を兼任していた。これが野党のやり玉にあげられ、党の財務担当は降りたが労働大臣は迫害に耐えてこの秋からの国会審議に年金制度改革案を懸け是が非でも可決させる意気込みだ。

第五共和制の初代大統領ド・ゴール将軍は公私の区別に非常に潔癖な人だった。エリゼ宮の住人になってからも公的経費と私用で使った経費をきちんと計算し、官邸の会計士に返済していた。

そこへ行くとゴーリズムの後継者たちは、みんな多かれ少なかれ、賄賂や汚職や公金使い込みの嫌疑がかけられる。ジスカール・デスタンはアフリカのボカサ大統領からダイヤモンドを贈られたと暴かれ、ミッテランは石油会社エルフを使って政治資金を作りヘルムート・コールを助けた。シラク大統領はパリ市長時代の架空職員雇用疑惑で退職後司法に呼ばれた。

サルコジ大統領は国家財政の赤字解消のため警官、教員、裁判所、裁判官、公用車の使用制限、国有不動産の売却など荒療法をやっているが大統領が頻繁に行う海外出張に随行員の数がやたらと多く、新たに大統領専用ジェットを発注するなどエリゼ宮の経費は数十パーセントも増えたと悪評を買っている。



フランスの田舎暮らし-eva joly
ミッテランの治世下、当時のエルフ・アキテンヌ社長フロック・フリック・プリジャンを公金横領
の罪を暴き監獄に追いやったのは、予審判事エヴァ・ジョリーだった。

予審判事は日本には無い制度で、ドストイエフスキーの「罪と罰」でラスコールニコフを執拗に追い詰め最後、広場で「私が殺しました」と告白させるに至らしめた、あのポルフィーリ・ペトロヴィチが予審判事。

エヴァ・ジョリーはノルウエー出身の司法官で若い頃パリへ留学し opere (子守り)などしながら苦学して判事の資格をとった。現在はヨーロッパ議会の環境派の議員として68年のパリ5月革命の指導者コーン・ベンデイットと共に活躍している。


エヴァ・ジョリーは最近では活動の中心を祖国ノルーウエーに置いているようだが時々はフランスの法曹界にも顔を出すので、その辺がヨーロッパの面白いところだ。彼女はエリック・ヴォルスは大臣を辞任すべきだと公言し、夫人が名誉棄損罪で訴えた。

サルコジ大統領は司法改革の一環として、予審判事は無用だから廃止する方向へ施策を進めているので、エリック・ヴォルス事件は現政権と法曹界との闘いの側面をも持っている。

8月はフランスはヴァカンスの時期で政治もお休み。関連情報としてはセザール問題のみで9月の秋の国会を前に沈黙が続いている。


セザール問題とは、8月の初め、フランスの現代彫刻家セザール Cesar (1921~1998 )の遺産相続者への課税追徴金2千7百万ユーロを免税処置にするという手紙をエリック・ヴォルスがサインして出した事実をある新聞が暴露した。

「みたことか!私情で国の利益を損なう税制処分に大臣が介入しとる」ではないかと実例を挙げた。ゼザールは晩年の代表作、巨大(高さ6m)な「親指」がFiac 主催の競売で122万ユーロとこの作家の1作品としては史上最高値をつけ売れるなどフランスの現代彫刻家の代表といえる。

これに対して社会党からサルコジ政権に加わった数人の大臣のひとりで長年文化相を務めて来たジャックラングはエリック・ヴォルスの判断は正当なものだったと防御した。ジャックラングは次期国連事務総長の最有力候補に挙げられている。