特養にいる認知症の父に会いに行きました。
車いすからベッドに移り、横になった父はほとんど目を閉じたまま言います。
「(娘)ちゃんが来てくれて、最高に嬉しいよ」
会話しているうちにわたしの名前を忘れてしまうのか、父はあまりわたしの名前を呼びません。
大体「あんた」と呼びかけられます。
その父が、わたしの名前を呼んでくれました。
嬉しいなあ。

わたしが嬉しさに浸っているのも束の間。
「じゃあ、おれは寝るから。寝てしまってお相手できないのは申し訳ないから、もう帰って」
えっ!
わたし、いま来たばかりなんですけど…。
「眠いの?」と聞くと「何だか眠たいなあ」とのこと。
「ここで寝たらどうなるんだろう。寝袋のようなものはあったかなあ」
ベッドの上に寝ているのに、父は寝袋がいると言います。もう既に半分夢の中なのかもしれません。
「寝袋は、あまり心地よくないんだよなあ」
「ここは寝台列車だから大丈夫なのか」
など、どういう設定なのかよくわからないことをつぶやいていました。
何を言ってるかわからなくても、話ができること、声が聞けることは楽しいです。