特養にいる父に面会に行きました。
自室に戻りベッドを見た途端、横になりたくなった父。おぼつかないながらも、自力で車いすからベッドに移りました。
ベッドに横たわると、父の目はほとんど閉じてしまいました。

父は言いました。
「これから世界には楽しいことが起きるから、楽しみだねえ」
何のことやらさっぱりわかりませんが、なんとなくいい感じの言葉です。
「何が起こるの?」などと尋ねるのは無粋です。
「そうだね。楽しみだね」
「楽しいことがたくさん起きるね」
と返しました。
会話の中身などなくてもいいのです。
認知症の父は、どうせ忘れてしまうから。
なんとなくいい気分で言葉を交わすことが大事なのです。
感情は残るから。