先日、銀行に行った時のことです。
男性の声が聞こえてきました。
声を荒げています。大きめの声で何かを言っています。
男性の姿は、わたしのいる場所からは確認できませんでした。
何を言っているか細かい内容は聞き取れませんが、相手を責めているようです。

まさか銀行員さんが声を荒げることはないでしょう。
声の主は、利用客と推測されました。
利用客が銀行員さんを責めてる?
いやだなあ、モンスターカスタマーかしら。
そう思いつつ、用事を済ませて銀行を出る時に声のする方をそっとうかがいました。(まだ責めてる)
声の主は、カジュアルな服装をした50代くらいの男性。銀行員さんではなく、利用客です。
男性が執拗に責めていた相手は、椅子に座って書類を記入している白髪の高齢女性でした。
おそらく親子なのでしょう。
「こんなこともできないの?」
息子はまた大きな声で、母親をなじります。
銀行に提出する書類を高齢の母親が記入していて、付き添いにきた息子は近くで見て、うまく書類を記入できない母親にいらだち、責め立てているようです。
高齢の親にいらだつ気持ちは、わかる。
わたしの父は認知症(要介護3)で、およそ一年間わたしがお世話をしました。(ショートステイを長期で利用しながらなので、つきっきりだったわけではありませんが)
できないことが増えていく親を見ていると悲しいし、そんな事実は受け入れたくないと感じます。
「親不孝介護」という本に書いてありました。
子供にとって親は、いつでも帰れる安全な基地のようなもの。
親が高齢になったり認知症になると、安全な基地が崩れてしまう、拠り所がなくなってしまうという危機感で心理的に大きな負荷がかかるそうです。
だから、冷静に対処するのはむずかしい。
自分の安全が脅かされたような気持ちになってしまうのでしょうね。
男性が母親の介護をする場合に多いのだとか。
夫にこの日の出来事を話したら、
「俺も『親不孝介護』を読んでいなかったら、いろんなことができなくなる親にいらついて怒鳴っていたと思う」
と言っていました。
「何で親に対してこんなにいらだってしまうのだろう」と思った時に、その理由がわかるだけでも気持ちは救われます。
↓前に書いた「親不孝介護」の感想です。
https://ameblo.jp/tsug-um/entry-12787848442.html
