特養にいる認知症の父に会いに行きました。
ベッドに横たわっていた父ですが、急にハッとした顔をして言いました。
「うんち出そう。うんち出る感じする」
と言い始めました。

車いす、ベッド間の移動くらいは手助けできるけど、トイレの介助はできる自信がありません。使い勝手のわからない場所で、勝手なことしてもまずいでしょうし。
特養の職員さんに声を掛けようと思いましたが、まずは車いすに移ってもらおうと、父に起きてもらいました。
メガネを掛けてもらい、ベッドのへりに座ってもらいます。
ベッドのへりに座った父に靴を履かせます。
手を貸して立たせて、車いすに乗せました。
無事に車いすに乗った父。
「ちょっと歩こうか」
と言い出しました。
歩く?
歩くのはまだ無理でしょ、と思っていたら
「押すのは重いから無理か?」
と言うので、車いすを押してほしいのだと理解しました。
数メートル押すと、
「みんながいるところ(食堂)に行ってぐるっと回ろう」
と楽しそうに言う父。
他の利用者さんがたくさんいるところをうろうろするのは迷惑かと思い、個室に引き返します。
娘「お父さん、トイレに行きたいんじゃなかったの?」
父「ええ?おれ、そんなこと言った?トイレに行きたい感じは全然ないな」
車いすに乗るまでに、目の前のことに集中してたら便意を忘れたのでしょうか。
それとも車いすに乗って楽しくなっちゃって便意を忘れたのでしょうか。
父の思考の展開は、いつも予想外です。

