ショートステイに出発当日のことです。

 

 

「俺が二泊三日くらいしている間、この家にはあんた一人になるのか?」

と父が問います。

 

「わたしはお嫁に行ったから、旦那さんのところに帰ります」

個人的に「旦那さん」という言い方は好きじゃないんだけど、父に通じやすい言葉を選ぶとこうなってしまいます。

 

父「そうかそうか、そうだったな。旦那さんのおうちはどこだったかな?」

娘「◯◯県××市」

父「ほう。そうだったな」

 

父「一度行ったことがあったな。墓参りに行ったな」

娘「そうだね」

父「立派な墓石だったな」

娘「そうだね」

 

夫と住んでいる家は、夫の実家でも出身地でもないのでお墓はありません。

 

そもそも、父は来たことがない。

 

否定するのも面倒だし、訂正してもすぐ忘れるから、父のないはずの記憶に話を合わせました。

 

何でだろう、と考えていたら一つ思い当たることが。

父が認知症になり始めた時期だったと思うのですが、父は母と一緒に母の故郷に行きました。その時、お墓参りに行っているんですよね。

 

わたしが帰る場所と母の故郷が混ざってるのかもしれません。