前回、実家に帰った時に父が言いました。
「俺、あんたとの婚姻届は出したよな?市役所に確認に行った方がいいかな」
 
父は、わたしを母と勘違いしているのです。
そして、自分自身の年齢も若く認識してしまっています。(わたしが若い頃の母に似ているのだろうか)
 
母と間違えられると傷つくんですよね。
母の姿形を忘れている。
わたしを認識していない。
 
悲しい。
 
「認知症の人の不可解な行動がわかる本」を読みました。
その中に書いてありました。
「愛情と記憶は比例しないもの」
 
以下、一部引用します。
 
家族の顔を忘れるというのは、家族にとってショックな出来事です。しかし、本人は決して「愛していないから忘れた」わけではありません。
認知症の人は、過去の記憶の世界に生きており、現在の家族と、記憶の中の家族はかならずしも一致しません。
 
また、記憶の中の家族と身近な人を結びつけ、人違いすることもあります。
本人にとって、覚えていることと、家族への愛情は別物です。
 
 
わざと忘れているわけじゃないし、大事じゃないから忘れたわけでもない。
 
この本を読んでから、父に「お母さん」と呼びかけられても少しは平常心を保てるようになりました。
 
認知症関連の本は「認知症の人の気持ちに寄り添いましょう」と書いてあるけれど、この本は介護する側の人の気持ちにも寄り添ってくれてると感じます。