「お湯がかたい」と何度言っても伝わらないので、
「やわらかく、ない」
と言い換えてみたら父に伝わりました。
むかし、英会話教室に通っていた時、先生にこんなことを言われました。
英語を母国語とする人間同士であっても、国によって独特のスラングがあったりして単語の意味がわからないことがある。
だから、わからない単語があったら、
"What does it mean?"と聞けばいい。
ネイティブの人同士でも聞くのだから、恥ずかしいことではない。
単語をたくさん覚える必要はない。
例えばappleという単語が思い浮かばないなら「赤くて丸い果物で…」という風に説明すれば伝えることができる。
単語が思い浮かばない時、伝わらない時、言い換えるというのはコミュニケーションの基本なのかも。
同じ日本語を話す人同士であっても、世代が違うと知らない単語があったり、育った地域が違うと同じ単語でも意味が違うこともあります。
子供の頃、母が
「このピーマンは、コワイから」
と言いました。
怖いってどういうことだろう?
食あたりするということだろうか?
と不思議に思いました。
「どうして怖いの?」
と聞くと、母は笑って「方言だよ」と答えました。
「お母さんの故郷で『硬い』という意味の言葉だよ」
そうやって考えてみると「一つの単語で伝わらなければ言い換えてみる」というのは認知症の人相手に限ったことではないんですよね。
今まで当たり前に通じていた言葉が通じなくなるのは、もどかしいし「何でできないの」「何で伝わらないの」と思ってしまうこともあります。
でも、言い換えることで伝わるなら、あきらめずに伝えたい。相手の言うことが理解できないって、つらいと思うから。