今週の九条の大罪/第138審 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

第138審/三つの裁判④




九条が曽我部に洗いざらい話すよう指示しているところだ。

当初はセオリー通りカンモクパイ路線だったが、百井の件を経た出雲と通じる宇治、そして壬生からの連絡で、方向性を変えたのである。それはのらを裏切るということであって、曽我部も戸惑っている。


のらを担当する亀岡は、やはりのらにカンモクを指示している。証拠がないからしゃべる利点がないし、証言可能な曽我部は沈黙するということを九条から聞いているからだ。亀岡はのらに娘のはなしをして励ましている。


のらを取り調べる嵐山は、曽我部はもうしゃべったから黙る意味はないとくりかえす。これはおそらくほんとうなわけだが、曽我部がしゃべる以前からこう言っていたわけだからあまり信用できない。亀岡に言われた通りのらは黙秘を続ける。嵐山は、曽我部のようなやつが裏切らないわけないだろと、わずかにではあるが以前からは変化を加え、ほんとうのはなしであることを伝えようとしているようでもあるが、まあ、もうどっちでもよいのだろう。あとで話したかったは通らないからなと念を押す。


しばらくして事件がニュースになっている。のらが主犯格として逮捕されたというところまで報じており、おそらく百井らのように各農場を預かっていたのであろう男たちも捕まって顔写真が公開されている。まだ逮捕としかいわれておらず起訴ではたい、だからこれがなにを意味するのかわからないが、曽我部がしゃべったとみてよいだろうか。

だがすぐ九条と烏丸の会話で明らかになる。自分たちが担当する曽我部も起訴されたが、自白した末端であり、軽く済む、のらはそうはいかないだろうと。曽我部も、なのであるから、このニュースはのらの起訴を意味する、つまり曽我部の証言を証拠として検察も動くということなのだろう。


そして裁判。九条や烏丸もいる。のらが、起訴内容に誤りはないか尋ねられている。のらは、亀岡に任せると。亀岡は、栽培も共謀もない、無罪を主張。そこで、バッジが光る検察官が曽我部を証人として呼ぶ。描写のなかで、曽我部にはありのままを話せばよいとアドバイスしたという、外にいる九条と烏丸が差し込まれている。


亀岡は、曽我部が何をいうか理解しているのか、よくわからない。起訴に至っているわけだからなにか証拠が出てしまったか、あるいは曽我部が証言することになったかと考えそうだが、彼女はたんにしかるべく対応するとしかいわない。


曽我部は曽我部らしく落ち着かない。指示していたのは誰かと問われ、いともあっさり、のらですと応える。


そしてさらに別の日、おそらくこれはのらの判決と思われるが、彼女は懲役13年、罰金600万を言い渡されるのだった。




つづく



懲役または罰金ではないのかと思って調べたら、大麻取締法では併科と言って両方が課せられることがあるらしい。重いな…





しかし見たところ、「及び」はあるが、懲役じたいが13年にもなるような罰則はない。大麻取締法違反だけではない、併合罪の1.5倍のアレかな。


時系列は、見たまま受け取ってよいだろうか。いちおう、日付が改まっていると思われる場面では裁判所の表札のコマが挿入されている。見たままなら、九条が亀岡には内緒で曽我部にすべて話すよういい、たぶん曽我部は話し、ニュースが出て、最初の裁判でのらは無罪を主張、間が空いて、曽我部が証言、ということと思われる。

気になるのは曽我部の証言を受けてのらがたまげていることだ。亀岡の表情は微妙である。ニュースが出た時点で、また起訴されている時点で、曽我部が白状した可能性はかなりあった。だから亀岡はもしかしたらどこかの段階で九条が裏切ったことに気づいたはずである。もう手遅れだからのらには黙っていたということだろうか。


亀岡がなにを考えているのか、どこまでわかっているのかは次回以降待たないといけない。そもそもが、なぜ九条が曽我部に自白をすすめたのかも不明だ。大麻や栽培用具などがまったく出てきていないので、うまくすればカンモクパイになれたところ、九条は壬生からの知らせを通じてなんらかの動きを予期したかあるいはもっとよい戦略を思いついたかして、指示を変えたのである。

囚人のジレンマ的な調整問題状況でいえば、最初の時点では両者が互いに黙ったままでいればパレート最適状態になれた。そううまくいくとも思えないが、要するに両者がもっともダメージのない状態でいられた。囚人のジレンマのモデルでは、相手がどうするかわからないぶん、黙っていることにはリスクがあるため、互いに合理的な判断をするとどちらも自白することになり、これをナッシュ均衡というが、この場合、九条と亀岡が通じ合っていたぶん、そして亀岡が九条を信用していたぶん、均衡が崩れ、曽我部の総取りとなったわけである。この「信用」も一方的なもので、おそらく九条は亀岡に指示変更について話していないし、だからこそこのような状況になった。亀岡も、たんに知り合いとしてではなく、弁護士としての判断を確認するかたちで九条にはなしをしており、なんらかの情報、もしくは判断にかたよりがある状況と考えられる。たんに状況の動きによって、たとえば証拠が見つかりそうだとか、なんらかの予想から自白したほうがよさそうだと判断したのなら、九条は亀岡に話していた可能性が高い。同じ理路で最初はカンモクの予定を伝えているからである。しかしそうしなかった。もしくは、伝えていたとしても亀岡にはどうしようもなかった。要するに、これは総取りをすることそれじたいに意味がある指示変更なのだ。


直前まであった烏丸母とのやりとりを考えると、九条がのらに罪を償い足を洗ってもらいたいと考えていた可能性はある。しかし傍聴中のあの、コピー用紙みたいに空白で平板な九条の表情を見る限り、これはたまに出現する弁護マシン状態のようにもみえる。ただただ、彼の依頼人である曽我部にもっとも有利な方向を選んだだけなのかもしれないのだ。亀岡との関係が損なわれてもよい。亀岡は依頼人ではないから。じっさい、彼がどんな仕事も、どんな人物も受け容れるのは、それが「依頼人」である限りにおいてである。逆に、それが徹底していなければ、不用意にトラブルに巻き込まれかねないということもあるだろう。壬生からの情報のなにがこのようにさせているか不明だ。しかしおもえば彼にとっての、あるかないかの道徳律みたいなものは、以前から「依頼人であるかどうか」だったのである。まれに、笠置雫のように、目をかけることもあるが、そうした感情にしたがうふるまいはトラブルを招く可能性が常にあるのであり、最悪かんじんの依頼に影響することもあるのである。


ただ、のらと比べて亀岡の表情が微妙であるのは気にかかる。亀岡も優秀だろうから、九条の隠された意図に気づいているのかもしれない。




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