今週の闇金ウシジマくん/第489話 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

第489話/ウシジマくん75

 

 

 

 

 

 

 

滑皮を殺す決意をした丑嶋。上手くいかないことは目に見えており、柄崎はなんとか彼を説得しようとしたが、丑嶋はかたくなだ。そうしたところで、目を覚ました丑嶋の目の前には銃口、例の外国人につかまって、丑嶋は滑皮の待つ廃棄物処理場につれてこられるのだった。

 

同じ現場には柄崎もいる。震えて、なにかを考えているようだが、元気はない。滑皮にいわれて、柄崎は丑嶋の荷物を鳶田にわたす。ホテルを出るときにいっしょにもってきたのだ。銃と、札束と、水である。この水は、ホテルで丑嶋を説得しようとしたとき、柄崎が飲もうとしたものかもしれない。あのときの水は飲みかけだったが、今回のこれは満タンだ。しかし、札束と銃はともかくとして、そこに水があるというのがなんだか変といえば変だ。

鳶田は、ほかの金についてたずねながら、たぶんその水をがぶがぶ飲んでしまう。鳶田からすればマウントをとるような行為であって、深い意味はない。が、どうもこの水は、以前細工されているのを発見したあれのようである。

 

鳶田の電話に、以前ひとコマだけ登場した敏腕の雁間という男から連絡がある。「投資ブローカー」ということだ。よくわからないが、ヤクザではないのかもしれない。そして、また新たに、劉という男と商談が成立しそうだということである。あまり時間はないので、滑皮の部屋で1時間だけ話せるということだ。

滑皮は、儲かっていることそれじたいというより、丑嶋の得意分野である「金儲け」で丑嶋のうえをいっていることがうれしい。殺すことももはやできない。滑皮の完全勝利宣言である。逆に、ただの闇金にここまでこだわっているところに、なにか滑皮のなかの丑嶋に対する不気味なものが感じられる。

 

丑嶋は通してぜんぜんしゃべらない。滑皮は豹堂殺しの命令について訊く。丑嶋がもたもたしているから、プロを雇って殺させたということだ。例の外国人二人組である。で、滑皮の考えとしては、彼らから拳銃を受け取って出頭しろということだ。鹿島みたいに存在を透明にしてしまえばいいところ、わざわざ死体を残すよう命令して、丑嶋と柄崎にその罪をかぶせようというのである。異様なこだわりというほかない。断るならいまここで殺すまで。

 

そこへ外国人ふたりと、救出された戌亥がやってくる。なにもかも判明したあとではあるのだが、戌亥としては、じっさいに滑皮といるところを丑嶋に見られるのはだいぶ気まずいだろう。

 

役者がそろったところで、褒美ということで、滑皮は外国人の髪がないほうのあたまをいきなり撃ち抜く。さすがにもうひとりはプロらしく即座に反応して銃を抜くが、もちろん計画してあったのだろう、すでに背後に廻っていた鳶田がこれを撃つ。だが、あとに撃たれた髪のあるほうは、まだ生きているのだった。

 

 

 

つづく。

 

 

 

最終回が近づくにつれわからないぶぶんが増えていく。なんだか範馬刃牙の、親子喧嘩のころを思い出すなあ・・・。

 

今回丑嶋はひとこともしゃべっていない。ただ、そのぶん表情は豊かかもしれない。このままなら殺される、などといわれるぶぶんでは、それなりに事態を深刻にとらえているらしい感じがする。だが、それなら逆にいえば、表情に変化がない箇所は想定の範囲内ということかもしれない。それはやはりあの水である。

 

このことにかんしては、ぼくの脳裏には、コメントでいただいた、あのホテルでのやりとりが、盗聴を見越したものだったのではないか、という読者のかたの見立てがあった。盗聴されているということになれば、GPSなどが銃やなにかについていても不思議はないし、柄崎が居場所を告げるまで外国人たちがやってこなかったことは不自然になる。しかし、盗聴ではないにしても、それに類するなにかがあの場所にはあって、それを通じて、滑皮をだまし、ふたりは見えないところで筆談などしていたのではないか、という可能性だ。そうすれば、あの水にかんして、丑嶋がおれのだといっているぶん、鳶田がなんの躊躇もなく飲んでしまっても別におかしくはないわけである。だが、仮に盗聴だとしても、水についての会話なんてふつうは記憶に残らないだろう。たが、あそこでのやりとりがそこだけで完結するものではない、ということだけは、どうやらいえるようである。手元には丑嶋がペットボトルの細工を見抜いた週のスピリッツがないので、これがほんとうにあのときのあれかどうか確認できないのだが、銃、札束、そして水という不自然な流れからしても、やはりこれは札束などとほぼ等しいレベルの存在感をもつべきものである、ということはいえるとおもう。

 

となると、どうなるだろう。柄崎と丑嶋がどこまで通じ合っているか、つまり、あの水が鳶田の手にわたったことは彼らの計画のうちなのか、なんともいえないのだが、仮に柄崎が見たままなのだとすれば、丑嶋はただ、特に柄崎に断りなく、毒入りとおもわれるそれを大事にとっておいたことになる。なんのためか。それは、その水を丑嶋以外のものが飲む、という状況を想像してみればよい。それは、誰かが奪って飲むときなのだ。じっさいにはあの水にどのような細工がされているかは不明だ。しかし、細工がされていることはまちがいないのであり、それは丑嶋にとっては不都合な結果を呼び込むことになるにちがいないのである。だとすれば、それを飲むもの、つまり彼から奪うものは、なんらかの不都合な事態に陥ることになるにちがいないのだ。

 

ここで水は、丑嶋の「持ち物」の具体的なかたちになっている。じっさい柄崎は、丑嶋の「選び取る人生」が幻想だった、最初から負けていた、ということを語る場面で、水を手に取っている。心が折れたときが本当の負け、自分の生き方は自分で決めると、このようにいう丑嶋に対し、水を取りながら柄崎は、最初から負けていた、というのである。じっさい、丑嶋が滑皮を殺すと決意し、もし実行したとしても、彼は戌亥の情報を経由しており、それは豹堂の許可なくしてはありえないものだったのだ。そうやって、ちょうど孫悟空のように、丑嶋は、自分で自分の人生を選んできたつもりでいるだけだったのだと、このように柄崎は告げたのだ。

しかし、どうだろう。今回のこのとき、彼は水を奪われている。しかしそれは毒である。奪われること、選択の余地がないことから、逃れることはできないのかもしれないが、そのことそれじたいが、彼を守るものになったとしたらどうだろう。

 

丑嶋サイドは情報が少なすぎるのもあるが、今日はどうも調子が悪くて、これ以上考えがすすまない(あと3話なのに・・・)。なので滑皮の分析に移ろう。

今回は、滑皮の丑嶋へのこだわりが、ただの気まぐれ、あるいは気晴らしなんかではない、ほんものだということがよくわかった。彼は、劉との新しい商談がまとまりそうで喜んでいるが、それは、そのことでまた儲けがでるからではない。丑嶋がこうして目前に捕縛されている状況で、丑嶋の領域である「金」において、彼を圧倒しているという実感が得られたからである。そして、極めつけは豹堂である。滑皮なら、あの外国人をつかって速やかに豹堂の死体を回収し、マイクロ波で粒子にして海に捨ててしまうことはたやすい。であるのに、わざわざそれをバレるようにして、丑嶋を犯人しようというのである。むろん、背景には鳩山とのやりとりもある。鹿島殺しが疑われている状況で、仲良くしろといわれているのである。このタイミングで豹堂が消えてなくなったら、証拠はないとしてもさすがに滑皮もまずい立場になるだろう。少なくとも、猪背組での当たりはそうとう強くなるにちがいない。そこで、丑嶋が個人的なうらみで豹堂を殺したということになれば、とりあえず建前上は落ち着くわけであるし、仮に丑嶋が滑皮と関係があるということでやはり彼に疑いが向かったとしても、アウトローの世界であるから、そういう非情さと手際のよさが評価されないとも限らないわけである。だが、それも、なんの証拠もないのであれば、いい逃れることはできるかもしれない。わざわざそんなリスクをおかしてまですることか、というわけである。鹿島なんて、死体がないから、犯人は誰か、という段階にすらなっていないのだ。たんじゅんに考えて同じようにすれば済むはなしである。

滑皮と丑嶋の関係については先週くわしく分析したし、最終的にいろいろまとめるとおもうから、今日は深入りしないが、彼は、じぶんの選択が正しかったということを、根本的にはほぼ同一人物といっていい丑嶋を否定することで示そうとしているわけである。そして、豹堂殺しとして捕まったとき、丑嶋は、滑皮がじぶんの人生からしめだしてきた「タバコの煙的なもの」を、体現する存在となる。要するに、じぶんの人生の正当性を示すために、汚れをすべて吐き出し、なにもかも丑嶋に預けてしまおうとしているわけだ。それは、ダブルバインドのヤクザ社会で頂点に立つためには、不可欠なことである。

そして、今回やられた外国人たちは、これを実現してきたいわば禁じ手だ。「Aを殺すな」という命令と「Aを殺さなければならない」という使命・指示が共存するのが、トップより下のヤクザの宿命である。これをただ理不尽として受け止めるのではなく、じっさいに解決するために、外国人やマイクロ波などの「禁じ手」が用いられてきたわけである。今回滑皮は、それを使わずに、丑嶋という具体的な人物、それもじぶんの人生の反証のような人物に預けることで、ヤクザ的清浄さを極め、ダブルバインドを乗り越えたトップの存在になろうとしているのだ。ここで用いられる外国人たちは、前回たとえたように、外部から飛来するなり消滅する隕石のようなものだ。だから、名前もないし、かんたんに殺される。そのはずが、鳶田は彼らのうちのひとりを殺し損ねているのである。理由はわからない。あとでとどめをさすつもりなのかもしれないし、たんに死んだと思い込んでいるのかもしれない。戌亥は別としても、柄崎はふつうに立っているし、丑嶋は油断ならない男である。無意識に弾を節約したのかもしれない。ともかく、鳶田は殺し損ねた。これは、滑皮の清浄なヤクザライフの、一点の穢れとなるのだ。

 

 

丑嶋はいま、豹堂殺しの犯人として捕まるか、このまま殺されるか、どちらかを選ばなければならない状態だ。この「選ばなければならない」という状況じたいが、すでにかつての丑嶋には敗北である。だが、もしあの水が毒になっているとすれば、はなしは別、ということになるかもしれない。「選び取る人生」は幻想かもしれない。しかし、では、それを阻むものが毒されるような生も幻想だろうかと、こういうはなしだ。あと3話というのが信じられない状況である・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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