ホステル3 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

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ホステルは、1と2が圧倒的にすばらしいできばえだったので、正直言って3のこの感じにはショックを受けてしまった。それならその記憶をいちいちこうやって書き残すこともないだろうともおもうが、くりかえすように1と2はよかったし、たぶんブログに書いたことはなかったとおもうので、かんたんに紹介しておこうとおもう。

ホステルシリーズの監督は、イーライ・ロスというひとで、製作総指揮かなんかプロデューサ的な位置にあのタランティーノがいたはず。というじてんで、悪趣味な映画かもしれないと想像することはむずかしくなく、タランティーノくらいになるといちいちそういう作風を説明するまでもないとおもうので、そういう意味では、いい具合の敷居になっているんではないかとおもう。

というわけで、わずかでもそうした残酷描写にたえられないというかたは、僕の拙い文章ではほんのわずかも伝わらないとはおもうけど、いちおう、読まないほうがいいかもしれません。


1と2の舞台はスロバキア。1では、性欲旺盛な大学生ふたりと、旅行中に知り合った男の合わせて三人が、すぐヤレるという闇情報にのせられてスロバキアのある地区にむかう。到着したホステルには、目のくらむような美女二名がおっぱい丸出しで待っており、町のゆるい雰囲気とあわせて、しばらくのあいだは楽しい時間をすごすことになる。が、やがて、途中で合流した男が姿を消す。ぜんぜんみつからないし、女の子に聞いてもいまいちかみあわない。そうしてもたもたしているうちに、もうひとりも姿を消す。残ったのは、ゾンビ映画とかだと最初に死にそうな感じのラテン系の男で(名前を思い出せなかったが、ウィキではパクストンとなっている)、いろいろ調べるうちに、パクストンもまた、彼らの消えたさきに到着することになる。「エリート・ハンティング・クラブ」という世界的な組織が、身元のはっきりしない外国人なんかを拉致し、椅子にしばりつけて、さまざまな倒錯した欲求を抱える顧客に提供していたのである。映画にうつるのは、パクストンとかかわった数人だが、それぞれに楽しみかたもあるようで、たんに解体するだけではなく、会話やなんかまでも含めてかなり自由に、顧客たちは外国人をもてあそび、好きな方法で殺害する。

2も基本設定は同じで、主人公は女の子たちになっている。男性にたいしてはおっぱいだったが、女性に対しても同様にいい男、あるいは刺激的な恋愛を駆使して罠にかけ、拉致する。町の住人の雰囲気では、あるぶぶんではよく知られている暗黙の組織なのかもしれない、とおもわせるぶぶんがあった。ともあれ、1とはまたちがった展開を見せ、甲乙どちらともつけがたいおそるべき作品に仕上がっていたとおもう。

本作のおもしろさは、なんというか、おもっても作品にしないというようなことを本気出して映像化しているというところだろうか。残酷描写もそうだけど、この組織じたいが、なんというか、都市伝説的だし、「馬鹿な男がおっぱいに魅せられて罠にかかる」というのが正当な手段として成立している感じもすばらしい。町の雰囲気や、罠をしかける女の子たちの昼と夜で異なる表情、地下の汚い作業部屋、そういうもろもろが、荒唐無稽なはなしになりかねない設定を、いやにリアルにしている。


それが3でどのようになっているかというと、舞台はアメリカに移動し、まずこの顧客たちの作業が、ショー仕立てになっている。たぶん、殺害をする顧客とはべつの種類の金持ちたちが、ガラスをはさんでシックなクラブみたいな雰囲気のなかで、どれくらいで死ぬかとか、なにで殺されるかとかいうことを賭けている。もうこのじてんで僕は激しく混乱してしまった。

協会の提供していたものは、法に抑圧されたひとびとの倒錯した欲求、これをはらす機会だったはずである。そのためには、作業のおこなわれる建物はある意味ではべつの国にならなければならず、そのために、莫大な金と暴力を用いて、あの空間を維持していたはずだ。彼らの欲求は通常の生活では認められないものなのであり、げんに部屋に誰かが入ってきたりするとかなりの剣幕でそれを追い払おうとするのである。これがショーになるはずがない。

もしかすると、1や2からどれほど時間がたっているのかわからないが、協会は協会で、アメリカでこの仕事を続けていくのにわりとたいへんだったのかもしれない。この現場がアメリカで翻訳されるにあたって、あのように変化することはしかたのないことだったのかもしれない。あるいは、アメリカ人の自己開示的性向とかが出ているとみることもできるかもしれないし、そもそも、ショーの対象になる解体のばあいは、殺害者は顧客ではなくむしろ雇われているものであるなんて可能性もある、かもしれない。つまり、最重要の顧客は、殺害するものではなく、それを見ているものたちなのだ。


スロバキアの小さな村の雰囲気も、1や2ではよかったのかもしれないが、それをアメリカにうつすにあたりこうした設定をひねり出したのだとしたら、なるほどともおもえる。しかし、そんな設定とか脚本とかよりもずっと残念なことは、残酷描写なのである・・・。制作費の問題だろうか、顔剥ぎとかゴキとか、アイデアは悪くないのだが、なにやら安っぽい印象ばかりが残る。そりゃゴキが出てきたときは目をそらしてしまったけど、なにかそれは、映画のちからによってというよりは、僕自身の体験から想起されて、という感じがした・・・。なんかスピーシーズのエイリアンみたいな仮面()をつけた女が出てくるのだけど、このひとはせっかくのえものをボウガンで殺してしまう。もうなにがなんだかわからない・・・。というか、もともと謎が多い雰囲気が魅力の作品だが、本作はとりわけてなにがなにやらわからない。今回も主人公たちは拉致されるわけだが、その過程も、計画的にというよりは、なんだかたまたまという感じがする。裏になにかありそうでけっきょくなにもない、というパターンも多くて、そのへんは、もしかすると1と2を踏まえて一種の意外性を狙ったのかもしれない。


エロスに関しては、賭けをしている場所のウェイトレスの紐みたいなドレスがすごかったので、まあいいとして、しかし彼女たちに固有の顔があるわけでもなく、あくまで風景であって、エロいことはエロいけど、ちょっとものたりないなーという気もした。


しかしまあ、いろいろ書いたけど、これだけうだうだことばが出てくるということは、秀作とはいえなくても個性的であることはまちがいないのかもしれず、ストリートファイターやドラゴンボールのハリウッド版と並んで、ぜんぜんおもしろくないとわかっていながら何度も見てしまう、そういう作品になっていくかもしれない。ほんとうにつまらない映画は、いっかい寝たら僕は忘れてしまうから。ほんとうに。


ともあれ、タランティーノがいけるひとには1と2は無条件におすすめです。

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