『ほぼ日常』木成あけび | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

ほぼ日常 腐女子書店員の4コマ (マジキューコミックス)/木成 あけび
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オタク系女子の書店員の日常をつづった4コマ漫画である。

普段耳にすることはあっても日常的に使用することはないので、中途半端な理解だったが、ググってみると、「腐女子」というのは、厳密にいえば、オタクとイコールではなく、BLを好む女子ということっぽい。ということなら、オタクのほうが広義で、その種類として腐女子があるということなのかともおもったが、もうちょっと調べてみると、両者はまったくべつものであると主張している文章にたびたび出会う。まあそのあたりの空気感というか温度は、ちょっとネットで調べただけではわからないが、あいまいなばあいもあるし、はっきりと区別するばあいもあるし、事実としてオタクでありかつ腐女子であるばあいもあるという感じだろうか。じっさい、本書の副題には腐女子とあって、作者はBL大好きのドMだが、作中ではただオタクと名乗っていることが多いようにおもう。



ともあれ、そんな作者の、書店員としての日常や、オタクとしての日常をポジティブに描いたもの。作者はたぶんかなり大きな書店に勤めていて、そこで無料配布している新聞に4コマを連載しており、それが、エンターブレインから声がかかり、書籍化されたものだ。書店員としての仕事に関しては、「書店員あるある」みたいなものがたくさん見られて、僕も何度も、あるよあるよと、うなづいてしまった。たとえば、万引きの件とか、従業員とまったく同じ会話をしたことがあるような気がしてくるくらいだ。毎日毎日、重い本を載せられてきいきいいっている台車についても似たような感想を普段からもっているし、同じようにはなしあう。本の売り方じたいにもそういうのはあって、まったく、書店員というのは、規模や傾向は異なっても、全国で似たようなことをしているのだなと、なんだか感動してしまった。とりわけ、共感とともに主張したいことは、書店業というのは、見た目以上に肉体労働だということである。僕みたいのならともかく、女性にはたいへんな重労働なのである・・・。体力のある男性でも、油断していると腰を痛めてしまうくらいだ。

なかでも笑ったのは、暖かくなると増えるという「変質者」である。いつもそれが春であるかどうか、記録しているわけではないのでわからないが、うちにも、この手の電話はかかってくる。書店の従業員に女性が多いせいか、電話での問い合わせにおいて、アダルトな漫画や雑誌を調べさせるのである。たとえばそれが存在しないものであれば、当然調べても見つからないので、そう伝えると、タイトルがまちがっていないか、その卑猥な単語の並びを復唱させたりということになるのである。男性従業員がいるばあいは、即行でかわって、そのような本は存在しないと断言すればいいのだが、そうでないばあいは、延々と、じゃあこれはあるか、という具合に、続いていくこともありうるのである。



構成として、書店員の仕事と、オタクの作者の日常を描いたものとがわかれているが、その「仕事編」においても、作者の目線には腐女子のフィルターがかかっているし、周囲をとりまく友人たちもオタクばかりだから、事実としてはほとんど連続して読める。あれ、なんか仕事のはなしがないな、とおもったらプライベート編に入っていたという感じだ。つまり、事実上は、たまたま書店員をやっているいち腐女子の漫画、という位置づけなのだけれど、そこには、なにか書店員における普遍性みたいなものがたしかにある。おもうに、どのようなものであれ、つまり、サブカルに限らず、本という媒体が好きで、そのうえでこの仕事をしている人間は、ある意味でみんなオタクなのではないだろうか。

そういう意味で本書は、書店員のなかでもとりわけて特殊なひとが描いたもの、というあつかいをするべきではないのだろうとおもう。書店員のひと、また書店通いの大好きなひとにぜひ読んでもらいたいです。





もじょまんが。 -喪女を愛でる本- (マジキューコミックス)/著者不明
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