- 森のテグー 1 (ヤングチャンピオンコミックス)/施川 ユウキ
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- え!?絵が下手なのに漫画家に? (ヤングチャンピオンコミックス)/施川 ユウキ
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施川ユウキの新刊を読んだのは去年のおなじころ出た「12月生まれの少年」が最後なのですが、やっぱこのひとのマンガは最高だ。オススメです。
- 12月生まれの少年 1 (1) (バンブー・コミックス)/施川 ユウキ
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『森のテグー』は、作者いわく、『もずく、ウォーキング!』がスヌーピーのイメージならムーミンの物語にあたるところで、穏やかな風にまわる風車の群れが見守るある森の、そこに住むちっちゃいものたちのおはなしであります。登場キャラクターの多くは作者が描写を得意とする動物なんですけど、なかには人間も混じっていて、なぜかふつうの銀行員みたいなおっさんもいたりします。形式は施川ユウキの十八番であるところの4コマを進展させた16コマの掌編の集まりであり、通底する物語(森)をもちながらどこからでも読めてどこでもやめられるといった種類の柔軟さをそなえ、かつ少年誌のギャグ漫画を読むきぶんですすむと「ん?」となってしまうような種類の、非常に知的な、世界の深い読み込みに基礎づけられたユーモアに満ちており、その意味では他者世界の批評的観察を基盤とした初期のさくらももこの類型です。
・書評‐4コマちびまる子ちゃん
http://ameblo.jp/tsucchini/entry-10187779667.html
どのようなかたちであれ、そこに作品があり、それを通して作者や、他者の「世界の見え方」を感じることができるということは、端的にすばらしいことです。これはギャグ漫画だっておなじこと。沈黙のなかで作者が観察し、熟々と考え、発見された(あるいは発明された)世界のおかしみは、作者自身の創作した世界に付託され、もういちど、作者がそれを体験したようにして、その本の内側に立ち上がってゆく。しかし、作者が「私が体験したようにして他者にもそれを体験させたい」という意図をもって書くことと、現実に感じられるそれがちがうということは、ありうることです。にもかかわらず、それはたしかに、新しい世界、未踏の、じぶんのものとは異なった世界へのアプローチのしかた、その“追体験的体験”を、たとえそれがギャグ的なおもしろみの探索ということであっても、等しく僕らのこころのなかに施す。それは、具体的に「そういう見方もあるのか!」というような発見であるとは限らない。というか、そういうことではない。それはもっと穏やかな、急に「森」のなかに投げ出されて、ちょうどおはなしを途中から読むようなときの、すなわち幼児が言語を習得していくときのまさにその感覚で、僕らは物語世界のなかをなんとなく泳いでゆく。それはふり返ってみると「私」の日常とはかけはなれたものかもしれないのだけど、物語というものはおはなしとしてのその「運動」のなかにしかないので、僕らは宇宙が膨らむようにして作者のなかからもれ出て、徐々にかたちを為していったその世界になじんでいく。登場人物の初期設定がどうだとかいうのは、じつはもっとメタ的な、いわば編集者的な観点のものであって、じっさいのところ僕らはつねに物語を“途中から”読む、エトランゼなのだ。
こういうおもしろい本は、とにかく読み終わるのがもったいなくて、あえて途中でやめておいて、もう一回最初っから読んだりするのですが(ほとんどのばあい漫画に限られたことですけど)、とにかく『森のテグー』を読みながら、僕はそんなことをおもった。
『え!?絵が下手なのに漫画家に?』はエッセイを中心にした作品集みたいなもので、うすた京介では『チクサク・コール』にあたるところでしょうか。このあいだまでチャンピオン本誌で連載されていた同名の漫画もそのままぜんぶ収録されていて、ほかにも酢めし疑獄の未発表ぶん(デビュー作)とか、カラスヤサトシとの対談とか、いろいろつめこまれていて、これもまたふつうにおもしろいです。ファンブックということでもないとおもいます。というのは、酢めし疑獄はちょっと別格としても、もずくやサナギさんなどはくりかえすように基本的にその作者じしんの「世界の見え方」の自覚的な表現ですから、それをエッセイにかえたところで、たんに「このはなしは(ほぼ)ほんとうにあったことです」という暗黙の了解事項が盛り込まれ、主人公が作者じしんであるという点が条件に加えられているのみ、やっていることは要は一緒なのだから。もちろん、そうすることで書くほうのこころがまえというか姿勢もかわってきますから、「おなじもの」と、かんたんに言い切れるものではありませんけど。というか当然「ちがうもの」ではあるんですけど。
これもまたゆっくり読んでいますが、「今にして思えば」がかなりおもしろい。
しかし、施川ユウキがヤングチャンピオンで連載してるとは知らなかったなあ(森のテグー)。
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