- とろける鉄工所 1 (1) (イブニングKC)/野村 宗弘
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テイストとしては、4コマでもやっていけそうな、皮膚をやさしくなでていくようなコメディだけれど、素材はガチの溶接。
もう、表紙の絵がいい。さわり心地や重さ(厚さ)も、設計したひとはこの漫画をよくわかってるなーって感じ。カバーだけではなんの漫画かよくわからないというのも、たしかにこのおなじ世界には暮らしているらしいが、かかわりもなく、実態の知れない、数え切れないこの世のひとびと(すなわち、じぶん以外のあらゆるひとびと)、そして、それぞれにかけがえのないものとしてある日常、こういうことを、おもての質感だけで滋味深く感じさせるこの漫画の、そのままの表出で、いいなーとおもいます(つまり、この本を手にとって「なんの漫画だこれは」とおもう感じは、その同じ水位を保ったままおはなしのなかにも潜行しているということです)。
表紙にあるとおりに、目玉が焼けたり、感電したり、鉄粉が目にささったり、シンナーに一喜一憂したり、この職業独自のネタに特化していて、じっさいかなり「痛い」はなしだらけなのに、なんか「しょうがねえか…」みたいな諦念とともにするっと読めてしまう。なんつうか、「労働」を、胃腸の消化活動ほどに身にしみこませて、毎日、ほとんど自然な機能としてからだを動かせる人間というものの、素朴なリアリティって感じだ。
漫画ならではというか、最近は、方法に「漫画」を選択する必要はなかったんではないかという漫画も数多いが、絵もじつにかわいくて、漫画まんがしていて、どこまでも「漫画的な」溶接の匂香まで感じとれるようで、読みながらずっとにやにやしてしまって、たいへんに好感がもてました。むずかしいこと考えずににやにや読みましょう。
それにしても、バクマンといい宇宙兄弟といい、最近手に取った漫画はみんなある特定の職業についてのおはなしだなー。社会的な傾向なのか僕自身のそれなのか…。
たぶん両方なんでしょう。
- とろける鉄工所 2 (2) (イブニングKC)/野村 宗弘
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