他人の夢 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

昨日は半年ぶりくらいに渋谷に出向き、「他人の夢」という写真展にいってきました。渡邉奈臣さんという、友人の友人の個展でありました。たいへんに色白な、肌のきれいなひとで、ただはなすだけで、知性と、いい意味での頑固さがふつふつと伝わってくる、魅力的なかたでありました。



































Gallery LE DECO企画展

「他人の夢」

渡邉奈臣

2009.1.8(木)~2009.1.18(日)会期中無休

11:00~19:00(最終日のみ16:00まで)

渋谷LE DECO 5F

〒150‐0002

東京都渋谷区渋谷3‐16‐3 ルデコビル





学生時代からモノクロで観覧車の写真を撮り続けているそうな。僕は写真展なんかはじめてだし、じっと見たこともなく、深く考えたこともなかったのですけど、たいへんにいい経験になりました。なんとなく眺めてさようならというのはいやだったので、というかせっかくなのでいっぱい吸収して帰りたいという気持ちが強かったので、オースター『ムーン・パレス』のエフィングの言に従い、記憶に刻み込むよう努めました。そして率直な感想としては、それだけの価値はじゅうぶんすぎるほどありました。携帯電話にカメラの内蔵される時代であります。僕みたいのがブログをつかって物書きを気取るのと同じく、表現方法獲得のハードルはどんどん低くなっている。梅田望夫の「総表現社会」は、彼じしんくりかえし書いていたように、玉石混交という事態を必然的に呼び込みます。そういうなかでは、あらゆる初体験がそうであるように、最初にどんなものを見るかってのはとても重要で、僕はたいへん幸運であったとおもいます。


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そして、じぶんの「共有」と「共感」の対立という概念についてもいろいろ考えました。「共有」とは、端的にいえば他者の記憶の追体験であり、「共感」とはじしんの記憶の再体験であります。これはあらゆる表現にいえたことだとおもうけど、ある作品を覗いて体験されるのは、たとえば写真に広がる世界そのものではなく、やはりそれをげんに覗いていた撮影者の意識そのものであるというのが僕の基本的な立場であります。体験することの不可能な他者の認識につかり、共有のできる瞬間…、それが表現活動とそれを追う価値であります。DABOはじしんのラップについてリスナーとのセックスだというようなことをどこかで書いていましたが、言いえて妙でしょう。

もちろん、その「共有」には、テクスト論的な意味も含まれているのだとおもいます。このことばが言外に共示するのは畢竟、じしんのものではない、他の記憶を体験しようとする意識の向き、姿勢であります。そしておそらく、僕ら「受け手」が作品から獲得するものが、「作り手」の意図とは別にあるというさきに、現実には、つまり生理学的物理的には「ほんとうに他者の認識を共有することは不可能である」ということがやってきて、しかしその姿勢のもたらしたある種の柔軟性が、特異点で「共有」と「共感」をつなげるのではないでしょうか。テクスト論的解読は「作り手」を無視するものでもある。平野啓一郎はこの読み方と、作者の意図の推測を同時に行うことを推奨していたけど、あれはきっとそういうことなんでしょう。



・共有と共感、その発端

http://ameblo.jp/tsucchini/entry-10126726054.html



まあ、なにしろすばらしい個展でありました。また行きたいです。いちおう明日までやってるようなので、渋谷に行くことのあるひとは、無料なので、覗いてみましょう。明治通りのスタバの向かいにありマス。


ルデコの他の階でもいろいろな展覧会が催されていたので、連れの子といろいろ覗いてみました。どれもたいへんに刺激的でしたが…「他人の夢」がいちばんよかったね。会場の雰囲気や写真の見えかたなどもすべて選択的「手法」のひとつなのだなあ…。

それから時間がきて会場を閉めたあと、渡邉さんもいれて三人で飲みにいきました…。いろいろおはなしも聞きましたYO。


それから、どういう流れでそうなったかはもう覚えてないんですが、新宿に行くことになった。ええ、タクシーでしっかり車酔いしましたけど?…うん、初対面のひとに吐きかけなくてよかったよ。初対面関係ないけど。どうにかならないかねこの体質。


そいでね…靖国通りのを右にいったところにある新宿ゴールデン街ってとこに行ってきたYO。新宿は数え切れないほど利用しているけど、あっち側は行ったことなかったな。芸術家の集まる街みたいなところなんですね。田中小実昌の世界っスわ。ふたりはもう頻繁に来ているようで、ちょうど大学の先生が飲んでるとかで、なんかなじみの店に行くことになった。うーん、すごい空間だった…。



長くなりそうなので、このことはまたいつか書きます。