第142話/スーパータクシーくん⑧
今夜は秘密のパーティナイトだっ!バラのかわりにくしをくわえ、白いスーツでキメた諸星がカメラ目線でポーズをとる。
…ナウい、ナウすぎるっ!どこへいってしまうんだ諸星いろんな意味で!
息子を見送った母親が意外とまともな調子で、マルチ仲間に息子の前職について語る。先週新庄を巻き込んだあの口八丁だろうか、諸星は金持ちのおばさんをだまして偽物の時計を高く売りつける仕事をしていた。やくざな仕事とはいえ、年収は1000万にも達したという(マルチの会合中の彼女たちのコマ外に「この物語はフィクションです。実在する団体…」と書かれてあるのがおかしい)。
「でもね…
ひっかかった女が悪かったわね…」
高校を卒業してすぐ、キャバクラで諸星と知り合い、結婚した現・佐々木美沙は、夫の高収入から金銭感覚が狂ってクレジットカードをつかいまくり、借金を重ねていった。やがてふたりは別れたが、美沙は見境なく慰謝料を1億も要求したそうだ。
ルンルン気分の諸星のもとに美沙から着信。こないだ払ったばかりの慰謝料を来月ぶんもよこせというのだ。意味がわからん。
諸星によれば、諸星が前の会社をやめることになったのは元妻が慰謝料の件でじゃんじゃん電話をかけてきたからだった。だが想像力ゼロの美沙はそんなことにはおかまいなしだ。というか、かまう能力がないのだ。諸星に金がないのは彼が会社を辞めたからであり、辞めたのは慰謝料をケチってじぶんに有利にするためであるというのだ。ほとんど会話になっていない。なんか、諸星はこの女を根拠にもっといまの状況を弁解してもいいような気がするが、それをしないのは、彼が強いからなのだろうかそれともなんにも考えてないだけなんだろうか…。
「てめェの性根は腐ってる!!
娘の沙耶が可愛くないのか!?」
諸星にはやはり子供がいたのだ。
美沙の“さ”と信也の“や”か。
子供を引き合いに出されると、面倒みてないほうはつらいよな~。電話を終えて諸星はやや落ち込むが、一方的に要求するだけだった美沙のほうは携帯をもつ手がふるえている。美沙の側にもなんらかの事情があるようだ。室内で電話していたらしい美沙の背後では、ひとりの男が、薄暗いゴミだめみたいな部屋のまんなかに座ってゲームをしている。脇にはこれもまた薄汚れたパーカに身を包んだ小さな女の子が、膝を抱えて震えている。金は、顔面にいくつか傷のある、危険な匂いプンプンのこの男が要求したものだった。男は美沙に缶チューハイを買ってこいと命ずる。なぜか女の子には行かせないのだ…。この女の子は710円童子だろうか?
先にホテル「PURIPURI」に到着した“愛の伝道師”諸星…いや諸聖矢は、あたまのなかで今夜のパーティーをシミュレートしながら、まみりん他二名を待つ。しかしやってきた女の子たちは…まあ十代にはちがいないようだが、じつに埃っぽい、キッツイ三人であった。ぜんいん同じヒョウ柄の服を、ばらばらに身につけている。
彼女たちは15歳だった。微妙な空気に屈することもなく、諸星は三人一緒にとにかくコトを済ます。女の子たちにはやっつけの、日雇いのバイト感覚の仕事のようだ。演技しようとすらしていない。
(まみりん
メールとは別人じゃないですか…
メールではあんなに
友好的(フレンドリー)だったのに…
諸星信也
心がぽっかり。
愛の流刑地
泣いてます)
カラオケにむかう三人の女の子を、なにものかがとめる。描写はここだけだが、振り向いたまみりんは驚いている。何者だろう?諸星をゆするため、美沙がつけていたんだろうか。しかしまみりんは振り返ってすぐ相手が何者かを察しているので、知り合いか、一目で職業の知れる種類の人物かどちらかだ。丑嶋の手先じゃないだろうな?
いっぽうの新庄は、年下のサラリーマンのお客に馬鹿あつかいされてへこんでいた。通りかかった木村が声をかける。前回に比べて売上もおもわしくなく、新庄はかなり参っているようだ。そんな彼に、木村が基本的なことをレクチャーする。まずは道を覚えろ、そしてお客がどんなときにタクシーを必要とするのか考えろと。毎日嫌な取引先に向かうことを考えたらタクシーの客なんて刹那だ。気楽にいこうぜと。キムさんはいいひとだな~。木村の人柄に触れた新庄は、はじめて彼らそのものに興味をもつのだった。
つづく。
突如としてはなしが立体的になってきた。
諸星にはやはり娘がいた。
なんの証拠もないけど、まあまちがいなく710円童子でしょう。
今井のタクシーに乗ったとき、彼女は名札に記載された今井の名前を読み上げていた。沙耶はたぶん諸星を探しているのだ。しかし顔はわからず、名前と職業しか知らないんじゃないかな。いつから会ってないのかは不明だが。
娘が父親を探し、希求するものはなんだろうか。それはもちろん救いだろう。あの男がいまの父親なのかどうかはわからないが、それでも母親はいる。しかるに、タクシーに乗っただけでおばけ扱いされるような風体に放っておかれている。これがこたえなら、悲劇以外のなにものでもない。
いずれにせよ、あの男のそばにうずくまる沙耶は震えていた。買い物も、沙耶にはさせず、追い出すように美沙に命じた。ここからは虐待の可能性もうかがえる…。諸星は沙耶の“スーパー”ヒーローになれるだろうか?
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