2009年、宝塚歌劇団月組による『エリザベート』の公演が決定しました。
(公式ページより転用)
■主演・・・(月組)瀬奈 じゅん
◆宝塚大劇場:2009年5月22日(金)~6月22日(月)
<一般前売開始:2009年4月18日(土)>
◆東京宝塚劇場:2009年7月10日(金)~8月9日(日)
<一般前売開始:2009年6月7日(日)>
『エリザベート』-愛と死の輪舞(ロンド)-
脚本・歌詞/ミヒャエル・クンツェ
音楽/シルヴェスター・リーヴァイ
オリジナル・プロダクション/ウィーン劇場協会
潤色・演出/小池修一郎
上演回数708回、観客動員数170万人――今や、宝塚歌劇を代表する人気ミュージカルへと成長した『エリザベート』。一人の少女がオーストリア皇后になったことから辿る数奇な運命に、黄泉の帝王という抽象的な役を配した独創的なストーリーから成り、美しい旋律で彩られたミュージカル・ナンバーは高い音楽性を持つ。世界各地での海外上演に先駆けて上演された1996年の初演より7度目の上演となる今回は、月組での上演。ルキーニ、エリザベートを演じてきた瀬奈じゅんが、満を持してトート役を演じる。
↓公式ページ
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『エリザベート』ミヒャエル・クンツェ
http://ameblo.jp/tsucchini/entry-10038820515.html
月組は現在大劇場のほうで源氏物語をやっているのですが、来年から公演日程がこれまでの50日から30日に短くなり、全組が年二回、各劇場で公演できるようになるらしく、ということはたんじゅんにかんがえて稽古期間が5分の3となるわけで、演者さんたちは大変でしょう。
なにはともあれ、『エリザベート』はガチでオススメです。
まずウィーンで上演されていたこの作品を宝塚にもってきた小池修一郎のセンスに脱帽であります。
そして、「宝塚」という方法をそのままに活かしながら、しかしどこか閉鎖性を誘うあの「くさみ」を取り除いた、ほとんど最初の作品だとおもう。男性や初心者にはまずすすめたい。
十九世紀、公爵家令嬢の美しきエリザベートは、幼いころふとした事故から死の世界をさまよい、黄泉の帝王、「死」=トートに魅入られてしまう。「生きたお前に愛されたい」トートはエリザベートのいのちをうばわず、現世に帰還させる。やがてオーストリア皇帝の后となったエリザベートは、王家の人間であることや夫婦生活に苦しみながらも「死」を拒み続ける。
トートという存在は「死」そのものである。ここでは死神と皇后の「愛と死の輪舞」という描かれ方であるが、じっさいには死に魅了されたエリザベートじしんの内的葛藤の物語である。またこの物語は、ルキーニという、じっさいのエリザベート殺害犯の語りによって進行する。これを、狂いかけていたエリザベートを「彼女は死神と恋に落ちていた、俺はそれを手伝ってやったんだ」と強弁する、精神異常者の夢物語であると深読みすることもできる。
そういうことを以前の(といっても一年以上前だが)記事で書いたんだけど、僕がこの作品をすすめるのは、さらにうえに書いたように、宝塚的絢爛と装置や衣装、群舞の美しさなどを最高レベルのところで保存しながらも、さらに新しい、おそらくはその暗い色調と物語の官能的な深みでもって、よくもわるくも宝塚独特の停滞を脱しているからであります。トートは抽象的な「死」ということの具人化でありますので、もちろん男性でも女性でもなく、中性ですらありません。そして考えてみると、これはまさに宝塚がやってることなんですよね。僕はくりかえし書いてきていることですが、男役というのは、どこまでも「男らしく」あろうとしながら、「男」じゃダメなんですよね。また中性的ということともじつは異なる…。
とにかく、この作品はからだのふるえるように美しいシーンや音楽にあふれている。姿月あさとの宙組公演を僕は機会があって何度も観たが、フィナーレなどでは毎回、感動のあまり文字通り硬直して動けなくなってしまった。まちがいなく宝塚歌劇という方法の到達したひとつのこたえだとおもう。必見。
…つうかまた月組かよ!もっといろいろな組観とかないと視点が偏っちゃうYO…。配役は瀬奈じゅんさん以外は未定のもよう。エリザベート役はね…。華が問われますよね。いま誰がトップなのかな?
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