第106話/発見
今週はいつも以上にセリフが少ないです。どうやって書けばいいのかわかりません。
ぼんやり赤信号を渡っていたところ、ぼっこーん、とトラックに跳ね飛ばされたピクルですが、もちろん生きています。もうほとんど主役みたいなキャラですからね。ちょっと前のゲバルみたいに。
かけよる運転手をよそに、トラック前方20メートルほどの位置に倒れるピクルは、その巨体をむっくらと起こす。出血もなく、ちょっとした切り傷すら見当たらない。頑丈とかそういうレベルではない。逆にいえばピクルの顔面を変形させ、出血もさせた烈の技はやはり猛烈だったのだ。
起きあがったピクルは、運転手も野次馬もその存在に気付いていないように無視したまま、じぶんを跳ね飛ばしたトラックを振り返る。街中に動く物体のなかではもっとも巨大な部類に入るものだろう。襲い掛かるものは彼にとってたたかいのパートナーであり、またそれは食料と同義である。ピクルの目付きが変わる。むしろ緩やかにトラックへと歩みよるピクルだが、アスファルトのうえにスニーカーが脱げて裸足であるというのにその擬音は「ザッ…」だ。一歩一歩、確実に、ピクルは獲物へと距離を縮め、徐々に回転数をあげていくその歩みはやがてロケットの爆発力を得るに至る。そしてピクルはあたまから(というか顔から)もろにトラックのライトのあたりに体当たりをくらわす。あまりの衝撃に、前輪を中心にして回転するようにトラックの後輪が宙に浮かぶ。野次馬たちも完黙だ。
続いてピクルは変形したトラックのどこか…、ガラスの割れた窓枠かな、これは…、とにかくどっかをそれぞれの手につかみ、後ろに向き直って体重を落とす。野次馬や運転手たちには、あまりに非現実的な彼のこの行為の意味がわからない。だけど僕らにはよくわかる。ピクルはトラックを投げようとしているっ!
現世にきてからはわりと余裕のあったピクルが珍しく額に血管を浮き上がらせ、目もぎらんぎらんに血走らせて力むと、ついにトラック全体が浮き上がってしまう。ありえない光景にギャラリーも手書きで「え~~~~~ッッ!!?」だ。
荷台の重量に耐えられなかったか、ピクルがトラックを反対側に叩きつけようとするとともに運転手席がはずれてしまう。ピクルからしたらあたまがとれたみたいな感じだろうか。
続いて、残った巨大なほう…すなわち荷台に視線を向けたピクルは跳び蹴りでこの表面をへこませ、歪んで飛び出たはしっこをつかみ、ポテトチップスの袋でも開けるみたいにべりべりとこれを剥がしてしまう。
開封したコンテナのなかからはなにやらいい匂いが。
…肉だぁっ!精肉だっ!にくNIKU肉だぁっっ!!食いてぇ。
ピクル、食料確保!なにがなんだかよくわからないけど、天下一武道会後の孫悟空状態、とにかくものっすごい喰らいついてます。よかったね、ピクピク。
今週も準備の回でした。ここからトラックネタが広がることはたぶんないとおもいます。これは要するに、ピクルが剣持をアレして服をゲットしたのと同じく、「食料はどうするのか。まさかファイターを次から次に消費することで腹を満たさせる気か」という難問をとりあえずはクリアするための物語的操作でしょう。
とはいえ恐竜を常食していたピクル、そう何日ももつとはおもえないし、あまりに都合のよい物語的操作にもある程度限界があるので、案外短期決着かも…?
しかしピクル、今回はどうも泣いてはいないようだ。ピクルから向かっていった以上、最初の衝撃を攻撃とみなし、彼のなかでこのトラックはたたかいの親友(とも)になっていたはずだ。しかし烈のときのように涙ぼろっぼろで泣いたりはない。となれば泣くことにも段階のようなものがあることになる。あるいはそれは感動のようなこともあるのかも。トラックがあのサイズでピクルを20メートル吹き飛ばすのに比べれば、半分もないような烈のからだから生まれるあの衝撃力はファイターの性にあるものからしたら感動的だろう。
でもそうなると、恐竜のばあいはよっぽどでないと泣かないことになるな…。うーむ。
こうなると、少なくともこのトラックに関して、ちょっと基準がゆるんでるみたいなことはあるのかもしれない。襲ってくる生き物がまったくいないことに違和を感じていた直後だし。このばあいはファイターの性より空腹の野獣としての性のほうが勝っていたってことかな。
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