今週の範馬刃牙 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

バキくん…ルミナについに指摘されましたね。



お父さんのはなしをするバキさんってほんとうれしそうって。



小説家になるために批評の勉強をはじめたら、そっちのほうが楽しくなっちゃったみたいな感じだろうか。

バキが父親、範馬勇次郎を倒したいのは、母親を殺されたから。
バキは13歳のとき、夜叉猿、花山薫、ガイアという当時の最強キャラを続けて倒し、勇次郎に挑戦したことがあるのです。バキの母親、朱沢江珠は、強奪するようにバキを孕ませた勇次郎を、ひどく愛していた。江珠にとって息子のバキは勇次郎を喜ばせる道具でしかなかった。そんな母親を、バキも屈折した感情で愛する。勇次郎対バキという親子対決が開始され、ふたりが向かいあったとき、母親の江珠は勇次郎の側に立っていた。バキの攻撃がまったく通用しなかったとき、江珠は半狂乱になって、お父さんを喜ばせなさい!と叫ぶ。それを見て、バキはいう。


喜ばせてやるさ…あんたをだ。



少年格闘マンガという一種さわやかなジャンルとはとてもおもえない、すさまじく屈折した愛憎関係。

繰り出した回転蹴りがかわされ、カウンターで同じ技をもらい、バキはダウンする。しかし勇次郎は攻撃の手を休めない。バキのウォーミング・アップを手伝い、たたかいをみていた花山たちの誰もが、彼の死を覚悟した。
しかしそんな勇次郎に、江珠は殴りかかっていったのだ。
勇次郎は、じぶんの強さをよく知りながら、つまり死を覚悟しながら、このように殴りかかってくる江珠を、いい女だと賞賛しながらも、ベアハッグで殺害する。バキの父親への復讐劇、すなわち『はんまばき』という物語は、ここからはじまっているのだ。



どのはなしだったか、くりかえし似たようなことをくちにしているので忘れてしまったが、バキはべつに地上最強を目指しているわけではないのだという。たまたま、倒したい男が「地上最強の生物」と呼ばれているから、じぶんは地上最強にならなくてはならないだけだと。仮に勇次郎が地上最弱なら、じぶんは二番目に弱い生き物でいい、とまで言っているのです。


しかし…彼がゲバルやオリバに挑戦したのは、むろん段階的な成長を果たすためだったはずだ。彼はじぶんから、アメリカに乗り込んでいるのだから。ということはすなわち、勇次郎に近づき、さらに強くなるためということならすすんでたたかうということだろう。もちろんこれは目的がちがうというだけで、じっさいに表出する行為、ふるまいは、他の最強を目指す格闘家たちとなんら異なるものではない。「理由」はどうあれ、結果としてはバキも、独歩や剛気やジャック同様、最強を目指さざるを得ないのだから。仮にピクルに魅力を感じないとしても(彼が魅力を感じるのはもはや父親だけだから)、強さがわからないわけではあるまい。これを倒さない理由がどこにある?これ以外にバキがとるべき行動はないはずだ。


ということは…いまはまだピクルに勝てないという判断をくだしたのではないか。さらに細かい段階を踏むべきだと考えたのではないか。


ピクルが今後「技術」を身につけるかどうかはわからない。しかしオリバに「力」で勝利したバキは、理屈でいえば少なくともバキ世界一の腕力といっていいだろう。バキはピクルが学習をするだろうという可能性を見越したうえで、さらに段階的成長を果たそうとしているのでは…。今回のおしまいで、烈に、中国拳法おしえてください、ってたのんでるわけだし。2コマで断られちゃったけど。他のキャラがバキに興味を失うであろうことは予測できたけど…なにもあんなふうに拒否んなくてもいいのに、烈…。


(あるいは…ピクルのさらなる成長それじたいを待っているとも考えられますね。いま倒してしまうのはもったいない、みたいな)