かってに用語解説 | すっぴんマスター

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(※注:ゲーム攻略サイトではありません)書店員。読んだ小説などについて書いています。基本ネタバレしてますので注意。気になる点ありましたらコメントなどで指摘していただけるとうれしいです。

眠れないので、余計なお世話だろうけど、音楽の用語解説でもしようかな。個人的に。気付かずに書評で使ったりもしてるし。厳密に知りたい人はネットでお願いします。


まずは…『ファンキー』の概念。

「ファンキージャズとは?〓ファンキーの語源は黒人の体臭を指すスラング。ファンキー・ジャズは、50年代中頃のハード・バッパーたちの演奏にあらわれていたアーシー、ブルージー、ソウルフルなフィーリングが、50年代後期にスタイルとして流行したもの」
(「『200ジャズ語事典』200ジャズ語事典編纂委員会編 立風書房」より引用)


ちょっと聴けばわかることだけど、黒人の感覚って、すごいんですよ。たとえば、有名な『モーニン』を作曲した、ボビー・ティモンズってピアニストがいるんですが…。この人はね、ほんとに、冗談抜きで、ピアノに手をかけて、和音をポーンと鳴らすだけで、サウンド全体を真っ黒にしてしまうんです。白人の手練のピアニストが、同じタイミングで同じ音をたたき出しても、ぜったいああはならない。いや、白人には白人の感覚がある。当たり前だけど。ビル・エバンスやキース・ジャレットみたいな音も、同様にして黒人が出してみせることはできない。つまり、そういう黒人特有の、体の芯にこびりつくような、しつこい感触…。これをファンキーと呼ぶんです。厳密にいうと、音と音の間のとりかたとか、ビートのはずしかたとか、さらには和音の組み立てかた、強調される音、そういうのが生むものなんだろうけど…まとめていっちゃえば、リズムとの関わりかたが独特なんですね。メロディの前に、リズムがある。白人とはまったく逆なんです。
これをヒップホップや現代的なブラック・ミュージックにもってくると、微妙に使われかたがちがうようなのですが…。もちろん、ビート偏重なところや、「ループ」っていう概念じたいがすでに黒人のものなんだけど…。ハービー・ハンコックに『ライト・ミー・アップ』という作品があって、僕がこれまでに聴いてきたファンキーな演奏とは全然ちがう、より洗練された、技巧的な…というのともまたちがうな…たぶん人間の声、つまり「うた」のサポートという意味合いが強くなっているからなのか、ソロイストのファンクネス云々ではなく、音それじたいの黒人臭が追究されていて…。ムロの「ファンク」はそっちのほうに近い気がします。ホーン・アンサンブルの使い方とかね。また、D.LやDJ VIBLAMなんかも僕は「黒い」音職人として買っていますが、やや、ジャズでいうところの「ファンキー」に近いかなーと思います。特に弦楽器、エレアコ問わず、ギターやベースの音とか、こだわりを感じます。まあ、自分勝手な感じかたのはなしなんですが。
音楽は別にして、一般的にはファンキーって、たんに「かっこいい」みたいな意味でも使われるのかな?テレビや飲み会なんかで、ギャルおがつかってるのを何度か見たことがあります。まあ、それはどうでもいいか。


次に、『ディス』…。説明するのもアホらしいけど…。まあ、こう、眠れないから…。すいません。

DISはDISRESPECTの略。DISは反語ですので、リスペクトの逆、ということです。ヒップホップで「ディスる」というのは、ラッパーでもDJでも大統領でも母ちゃんでも宗教でも、ある人物や団体や思想などの気に入らないものを、ラップのうえで攻撃することです。重要なのはこれが「ラップのうえ」で行われる、あくまで音楽的な技法のひとつだということです。ヒップホップ思想のそもそもには、平和を願うピースフルな心がつまってるわけで、拳銃もつ前にマイクを握ろう、みたいな部分があります。ムカつくやつがいて、飲み会の席でいきなりぶん殴ってもそれじゃ意味わかんないわけで、言ってみればヒップホップというリングとラップという技術を借りた、知的なケンカが、ディスなわけです。…ってこんな説明もアホらしいな。最初はショック受けると思います。はじめてキングギドラ『最終兵器』を聴いたとき、ヒップホップは二、三枚目というところだった僕は、凍り付きました。名指しでこんなこと言っちゃうの?!みたいなね。でもこれはこれで、知的な
、上手い!と言わせるようなアンサーソング書けばよかったんだろうけど…黙っちゃったからな…。
もちろんディスなんてないにこしたことない。そういうのなくたって、ただでさえ血の気の多い連中なんだから。2パックとビギーみたいな、本末転倒の殺し合いも、起こりかねない。しかし無責任なリスナーの立場としては…おもしろい。たとえば、最近K DUB SHINE+DJ OASISに我らがm-floがディスられました。それで、m-floの最新アルバムの一曲目がそれのアンサーのように書かれていて、ちょっと話題になりましたね。バーバルさんじしんは否定していますし、オアシスさんも「エンターテイメント・ディス」だって言って不満そうでしたが(どちらもこのアメブロでブログやってます。『お気に入り一覧』を参照)、僕はこれをすごいおもしろく見ました。バーバルの「否定」も含め、きちんとアンサーになってるんですよ。日本ではディスされても、売れてる人たちは無視しちゃうのが普通なんですが、これはいかにも皮肉屋のバーバルらしい、そう、まさに「エンターテイメント・ディス」になってると思います。こういう返しかたもあるんだよ、
っていう、頭のいいバーバルらしいアンサーソングと、僕は受け取りました。


いやー、よけい眠れなくなっちゃったなコレ。