言葉を、飲み込む | すっぴんマスター

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こういうことは昔からラップを聴いてる人からすると、なにをいまさら、っていう感じだろうけど、最近ジブラのラップを聴いてておもうのは、この人は言葉の飲み込みかたが抜群に上手い、ということです。


たぶん例を示したほうがわかりやすいと思うので、どの曲でもいいのですが、えーと…


「なんだこのへん(な)ジャパニーズ

みたい(に)見られ(て)マジかったりぃ

関係ねえ かますぜ16バー

それが見てみ(な)いま(じゃ) BI(G) TIN(GS) GWAAN」
『STREET DREAMS』


微妙なところもあるけれど、まあこういうことでいいかな?つまり()内の言葉を、あまり強く発音しないのです。といっても別にジブラだけに特有のテクニックではなく、それどころかかなり一般的といってもいい技術なんだけど、やっぱりこの人上手いです。これもいまさらで、聴けばわかるとおり、彼のライミングはかなり「かたく」、発音もきわめて明瞭なものです。しかしこういうラップにありがちなべたっとした感じはまったくない。というか、他にないくらいバウンスしている。すべての語に母音を含む必然から、きちんと発音をしようとするとどうしてもひらべったいものになりがちなのがよくも悪くも日本語というものです。たとえば、母音子音のひとかたまりの発音で一語をなす英語なんかは、だからとっても跳ねやすい。語のなかにすでに拍子感が含まれているから。そのうえで日本語のラッパーたちは苦労しているし、逆にそういう視点で見ればなにがワックかってすぐわかるもので、こういうことを考え抜いていない、磨き上げていない、ただ単に「メロディのない歌」
みたいになっているラップは、はっきりいって(僕のかってな考えですが)ラップである意味が全然ないし、というか「ラップは『歌-メロディ』だからラップのほうが簡単だ」みたいな曲には(実際にそう思ってなくても)僕はちょっとイラっとくるのです。だったら歌えよ!ってね。
なんかすごいエラそうになっちゃって申し訳ないんだけど、日本語でラップするのって、もとい、日本語で「かっこよく」ラップするのって、それくらい大変だと思います。こういうことを踏まえて音楽を聴くのもまたおもしろいんじゃないかなー。日本語+ラップの原理的発想を究極的なところまでもっていったのがK DUB SHINEでしょう。彼ほど長く、かたく、たくさん、韻を踏めるラッパーは他にいないし、それは彼自身の音楽的要請だと思います。というのは、彼はヒップホップの「メッセージ性」というのを最重要視している。「言いてえこと言うのがヒップホップだろ」ってね。そのためには、当たり前のはなしだけど、きちんきちんと、こちらがすぐに聞きとれるように発音しなくてはならない。しかしそうなると、日本語の必然からどうしても、平たい、ただの言葉の並びになってしまう。そこで出てくるのが、言葉の羅列にリズムを与える、ライムなわけです。K DUBさんが韻を重視し、誰も真似できないくらい徹底して踏みまくるのは、このようにラップ以前の彼の
「ヒップホップ思想」があると、僕は思います。


それで、えーと…ジブラですが、彼も明瞭に発音することを大切にしていますが、もう少し「言葉の跳ね」を重視しているように見えます。それがだから、言葉を飲み込むことにあるんじゃないかと…(前置きが長くなって申し訳ない…)。あとはDABOなんかも上手いかなあ。いや、そういうこと言い出したらキリないんだけど。キングギドラのスタイル(メッセージ性→明瞭な発音)を踏襲しつつも、壊しすぎることなく、徹底的に日本語を分解し、言葉に拍子感を与える…ジブラってやっぱりすごいと思います。