こんにちは。ただの地理好きです。
答えの出ないものを探求する楽しみって
ありますよね。
というわけで、前回に引き続き、
邪馬台国はどこにあったのか?
畿内説を検証していきたいと思います。
※検証する方針は、「邪馬台国はどこに
あったのか?(北九州説)①」をご覧ください。
邪馬台国→後の大和政権というわけで
現在の奈良県周辺の地方を近畿中心に
現在の地名から魏志倭人伝に登場する
倭国連合の国々の場所を想像してきました。
一部四国にも飛びましたので、今回も
四国の香川・徳島県も含めて探していきたい
と思います。
今回も「地名は1000年経っても残る」
の原則をもとに、現代の地名から探します。
(昔からの地名って本当に残して欲しい。
土地の性格や地形が地名からわかりますからね。)
前回、斯馬国から好古都国までを探しましたが
その後、見つからずに行き詰ってしまいました。
(北九州説でもだいぶ強引に比定しつつも
わからない国もいくつか出てしまいましたが)
そんなわけで、今回は最後から逆走してみたい
と思います。それでは、ぜひお付き合いください。
まずは奴国。「魏志倭人伝」に登場する国々の名前
にはやたらと「奴」という漢字が登場します。
「奴」=「の」=「野」という説がありますが
当ブログもこれを支持します。
野=広い平地、今も人々がたくさん住むのは
広い平地です。人々が集まって村を作り
農業を営み生活するには、広い平地が最適
だと思うからです。
そんなわけで奴国=野国ですが、「野」が
つく地名はありすぎて比定することができません。
奴=那と考えると、徳島県に那賀川がありますが。
次に烏奴国【うな・あな・うの】こく。
「あな」読みで徳島県阿南市が候補になります。
縄文時代の遺跡や弥生時代の銅鐸が発見され、
古くから栄えていた地域だったことも
わかっています。歴史的にはピッタリ。
もう1つの候補が、岡山県玉野市宇野(旧宇野村)
です。宇野港やJRの宇野駅があります。
宇野の名前の由来が「宇那」=「広い原っぱ」
ということで、まさにイメージにピッタリ。
というわけで、烏奴国の候補は
徳島県阿南市と岡山県玉野市宇野の2つと
させていただきます。
【個人的しっくりくる度60%】
では、次に支惟国【きい・きび】国です。
これは、吉備国として、岡山市・倉敷市
周辺を候補とさせていただきます。
【しっくりくる度75%】
次に、巴利国【はり】国です。
これは、播磨国として、兵庫県姫路市~
播磨平野を候補とさせていただきます。
(前回から古代の国名と一致するところが
多いですね。これが畿内説が支持される
理由の1つかもしれません。)
【しっくりくる度70%】
次に、躬臣【くじ】国。
ここで有力な候補がなくなってきます。
京都府久世(くせ)郡、現在の
京都府久世郡久御山町あたりを
1つ目の候補とさせていただきます。
そしてもう1つが、和歌山県串本町。
串本浦と呼ばれていた場所で
最初の漢字の読みが「くし」となります。
やや強引な感は否めませんが、
2つ目の候補とさせていただきます。
【しっくりくる度20%】
次が邪馬国。【やま】こく。「やま」=「山」
とすると候補が多く、選ぶことが難しい。
ですので、次の鬼奴国にいってみます。
【きな・きの・けの】
「きのくに」和歌山県紀の川流域を
候補地にしたいと思います。
紀伊国の由来が「木の国」という説も
あります。まさにイメージにはピッタリ。
次に、い吾国。【いご・いが】
「いが」として三重県伊賀市に比定する
説があります。
次に鬼国【き・け】こく。紀伊国を候補地とします。
紀伊国だと和歌山県全域になり範囲が広すぎます。
よって、和歌山市を候補地とさせていただきます。
さて、残りは「華奴蘇奴国」「呼邑国」
「蘇奴国」「對蘇国」「姐奴国」「不呼国」
となりますが、目ぼしい場所がみつかりません。
(前回もご紹介しましたが、「對蘇国」=土佐国
「姐奴国」=讃岐国に比定する説があります。)
「蘇奴国」【さの】=佐野と当て推量で調べると
●和歌山県新宮市佐野、JR紀伊佐野駅付近
●淡路島にある淡路市佐野
●兵庫県豊岡市佐野と上佐野
(上佐野には 但馬コウノトリ空港の滑走路と
大昔の火山「上佐野火山」の火口跡があります。)
最後に、趣向を変えまして、魏志倭人伝に
よく出てくる漢字の意味や国の意味を
考えてみたいと思います。
古来から日本人は自然物を名前に採用する
という感覚をもっているんじゃないか、と
以前の記事に書きました。
日本人の名字も自然物の名前がよく入っています。
自然物で考えてみますと
【奴】=野
【邪馬】=山
【投馬】=つま(津間)/ とま(苫 あるいは泊)
【不弥】=ふみ(海)
【斯馬】=しま(島)あるいは(半島)
【都支】=たき(滝)
【鬼】=き(木)または(城/環濠集落)
(環濠集落は小高い場所の周りに堀を巡らせて
柵などで防御した城の原型)などが考えられます。
魏志倭人伝に出てくる国に多く使われている漢字に
「蘇」があります。「蘇」=「す」とすると
「州」つまり川の河口の三角州など?
稲作をするには広い低湿地はちょうどよい。
あるいは「さ」と呼んで「砂」=砂浜や砂州
砂州では、京都府宮津湾の天橋立は有名。
日本三景にも選ばれていますね。
前出の香川県三豊市や和歌山県串本町にも
陸繋砂州(島と砂州が繋がった地形)があります。
前者は潮岬(本州最南端)、後者は荘内半島。
以上で近畿編は終わりとなります。
比定できない国もたくさん出てしまいました。
個人的には、北九州説のほうがやや有力か?
と感じましたが、はたして真相やいかに。
ただ、わからないことが多いからこそ
長年に渡り人々の関心を惹きつけるのでしょう。
謎は謎のまま、でもいいのかもしれませんね。
今後の発掘や調査による進展を楽しみに待ちます。