こちらの記事は、私がかつて別媒体で書いた内容に加筆修正をくわえたものです。
プロ野球・東京ヤクルトスワローズの名物応援といえば、得点が入ったときや7回の攻撃前に行われる『東京音頭』を歌いながら傘を振る応援です。
この応援、今は亡きスワローズ応援団長・岡田正泰(2002年死去)さんが考案しファンに傘をもって球場に来るように伝えて始まったものですが、この応援が始まるきっかけはどのようなものでしょうか?
正解:少しでも多くファンがいるように見せるため
1950年代、前身の国鉄スワローズ時代から応援していた岡田正泰さんは、1960年ごろに同じ東京をフランチャイズに置くチームでありながら巨人とスワローズのファンの人数の違いから、少しでも多くファンがいるように見せるため、傘を振って応援することを思いつき、ファンに「次の試合で家にある傘を持ってくるように」と提案、最初は数人程度でしたが、試合を重ねるごとに人数が増えていき、80年代にはスワローズを代表する応援として定着しました。
なお、岡田さんは元々「どこの家にもあるので、わざわざ購入しなくてよいから」という思いから傘を持参するように提唱しましたが、応援が定着するうちに球団が応援専用の傘を販売するようになり、オフィシャルグッズショップでは数多くの色、デザイン、柄の者が販売されていますが、その大きさは隣の席同士でぶつからない通常よりも短いミニ傘が主流となっています。
ちなみにこのミニ傘、本来の傘としての用途はもはやなさないのですが、2018年ごろから1歳から2歳ごろの子どもが傘を持ちたがるため、スワローズファンの母親がこのミニ傘を持たせてSNSにアップしたところ瞬く間に話題となり、現在では多くの保育園児が愛用しており、将来のスワローズファン開拓の一助となっているかもしれません。
そして、スワローズは2023年は197万人、1試合あたり2万7千人を超える観客を動員し、神宮球場ではカードによってはレフトスタンドまでスワローズファンの傘が降られるようになりました。
この姿を誰よりも喜んでいるのは天国の岡田さんだと思います。
最後に岡田さんの考案した独特の応援を少し取り上げます。
①フライパンを叩いて音を出す…この様子は、マンガ『おじゃまんが山田くん』にも「スワローズファンの大学教授のオカダさん」として取り上げられています。
②工事現場のコーンを切ってメガホンにする…今では応援団の必須ツールのメガホンも、岡田さんが元祖といえるかもしれません。