ちょっと前にYouTubeで興味深いものを見た。
日本の片田舎で、昔話に出てくるような生活をしているおじいさんとおばあさんの話だった。
夫婦はなんとか暮らしていける程度の収入がある農家で、ほぼ自給自足のとても慎ましやかな生活をしている。
冬になると、雪が深くなるために、春まで外に出られないような土地に2人は住んでいた。
冬支度をする様子が映る。
藁葺きの屋根をおじいさんが屋根に登って直し、おばあさんは下から「気をつけて」と心配そうに声をかける。
雪が降る前に大根を干して、切り干し大根を作る。
そんな中、2人が冬への備えだとして、大量のジャガイモを屋根裏に貯蔵していた。
ジャガイモは冬の間持つのだそうで、彼らの真冬の大事な食糧だと言っていた。
実際に、真冬に屋根裏までジャガイモを取りに来て、おばあさんが料理をする様子が映っていた。
ジャガイモからはかなりの長さの芽がでていて、新種の植物のようになっているが、おばあさんは慣れた手つきでチャチャっと芽を取り、煮物を作った。
出来上がった料理は美味しそうだった。
(食べられるんだ、、、)
なんでこんなことを書いたかというと、我が家にも古くなったジャガイモがあり、これをどうにかしないといけないと考えていたら、この時のことを思い出したからだ。
ジャガイモはタイミングが良いと、驚くような値段で手に入れられることができる日もある。
しかし、我が家は夫婦2人暮らし。食欲旺盛な方でないし、食べ放題では元は取れないタイプで、買ったものを使う前に腐らせてしまったり、ダメにしてしまうことはよくある。これはジャガイモに限ったことではない。
というわけで、YouTubeに出てきたおばあさんの利用法が気になったので、実験的に、悪くなったジャガイモを使ってみることにした。
引っ越しをしてスーパーから遠くなったので、運転できないわたしは、買い物に出向くのがただ億劫だということもあるけれど、いや、まぁ、これはものを無駄にしたくないという勿体無い精神でもありますね。
ジャガイモを取り出す。
ジャガイモは水分が抜け、少し柔らかくなっていて、芽もニョキニョキ出ている。
「お、おぅ、、、」
思わず、なんとも言えない声が出てしまう。
調べてみると、芽には毒成分があるが、きちんと芽を取る処理をすればまだまだ食べられるそうだ。
やってみるか。下処理をしてから、皮をやや分厚めに剥いていく。
そういえば、ちょっとふやけたじゃがいもの皮は薄毛に良いと、エドガーケイシーが言っていた。
最近、抜け毛が気になるお年頃の夫には、皮もいるかしら。と一瞬思ったが、謎な中身だけでなく、さらに謎なシナシナの皮まで食べさせては、夫の健康リスクも二倍になる気がしてやめておいた。
皮をむいたジャガイモは、やや柔らかいものの中身が綺麗だったのでいけそうだった。
緑色をしているとダメらしい。そりゃあ、ジャガイモで緑って言ったら、見たことないけど、多分危ないでしょう。
恐る恐る肉じゃがを作って入れてみる。
とは言っても、わたしはお肉を食べないので、肉なしになる。っとなると、これの名前は何になるんでしょう。
’おジャガ煮’とかでいいのかしら。
はい、おジャガ煮ができた。
食べる前に一言、夫へ「実験だから、古いジャガイモなの。もしお腹痛くなったらごめんね?」なんて言う前に、彼はすでに口の中へジャガイモを2つも運んでいた。
「どう?」恐る恐る聞く私に、
「???」「え?美味しいよ」と夫。
お腹が弱く、年がら年中、食あたりをしているわたしと違い、うちの韓国夫はやや腐っていそうなものでも平気で食べられる。
育った環境の違いなのかもしれないが、彼の胃は非常に頑丈。もしかして毒に耐性がある?と思った経験は一度や二度ではない。野生動物のように、消化を助ける天然酵素みたいなものを体内で生成しているのかもしれない。
食べてみると、いつもとなんら変わらぬ味と食感。いいんじゃないの。
あらま、古くなったジャガイモも食べることができるんだ。
この後、お腹を壊さなければ、これからも芽が伸びまくったジャガイモも食べていこうと思う。
なんか勇気が出た。
死に損なったジャガイモもこのように料理したら成仏させられらる。だから全てのものには仏性がなんて言うのか、、、なーんて、エセ哲学してみる。
美味しゅうございました。