こんにちは、北カリフォルニアの会議通訳者、EJ Expert代表のブラッドリー純子です。
コロナ禍でアメリカは相変わらずリモート会議中心の状態ですが
モルガンスタンレー CEO
ジェームズ・ゴーマン氏
コロナ禍でもよくマンハッタンのオフィスに出社してリモートでお話しされていました。
コンドリーザ・ライス元国務長官
ヒューレット・パッカードのカンファレンスでの基調講演でした。
こういう方の通訳をする際には政治、経済、社会と幅広いトピックを網羅しておく必要があるなと痛感しました。
Netflix 会長、CEO
リード・ヘイスティングス氏
こちらはビジネスインサイダーのグローバルカンファレンスですね。連日続いて参加者も数千人規模でした。
当然こういうレジェンド的なトップの基調講演になると参加者数もマックス状態になります。
こちらはコロナ前にNetflixのハリウッド支社でプレス会議を同時通訳した時の様子。
Microsoft CEO サティア・ナデラ氏
Hewlett-Packard CEO エンリケ・ローレス氏
PepsiCo CEO
インドラ・ヌーイ氏
大手米企業ペプシの女性CEOとして有名な方ですね。
当然ダイバーシティやインクルージョンといったテーマに基づいた話になります。
トピック的には業界にかかわらずLGBTQ+も最近多くなっています。
今回は著名なリーダーたちをリストアップしましたが、そのほかにもアスリートやアーティスト、活動家や講演家など、
この仕事をやっていると様々な分野の方々の通訳をする機会があります。
リモート通訳になってからは、国や地域を問わずその機会も増えました。
特に私は、大中小と規模に関わらず、世界中の経営者や企業トップの通訳をすることが多いです。
まだまだ発展途上レベルなのですが、自分なりに気をつけているポイントをシェアできればと思います。
トップCEOやリーダーたちの通訳をする場合の留意点:
❶ トップリーダーの講演は基本初見、スライド資料がない
大企業のC-レベル(CEOやCTOなど“C”がつく役職のこと)ともなるとスライドを使用しないことがほとんど。
では通訳者はどうやって事前準備をするのか?
まず検索をしてプレスリリースやその企業が最近発表した声明などを調べます。
その次にYoutubeで動画を探して直近のものを片っ端から見て準備をします。その方の話癖や内容もチェックします。
企業のトップは言うまでもなく多忙なので毎回全く違う内容の話をすると言う事はほとんどありません。
直近の話の内容がそのまま出てくると言うことも多々あるので動画は必ず見るようにします。
❷ 品格や威厳を意識した通訳デリバリー
組織のリーダーシップの通訳する時はその方の威厳や品格や自信を声に乗せて通訳するようにします。
そのためには❶で述べた前準備をしっかりすれば必ず通訳パフォーマンスに活きてくると思います。
これは受講生にもよく伝えていますが、通訳に迷いがあると自信のない声になってしまいます。自信のない声やアウトプットは聞き手を不安にしてしまうだけ。
ときには何千人もの参加者がトップリーダーの話を聞きたいと時間を割いてその会議を聞いています。
通訳者の力不足でせっかくのリーダーたちの話も伝わってこない、エネルギーが伝達できていない、となれば本末転倒。通訳を入れる意味がないとさえ感じます。
❸ メッセージに込められた熱意や想いまで聞き手に届ける
私はこの点を1番意識して常に通訳をするようにしています。
よく言われるような「同時通訳っぽい」淡々とした話し方になっていないか?
聞いてて眠くなるようなメリハリのない通訳をしてしまうと、いくら訳が正確であっても次にお声がかかることはないでしょう。
企業のCEOが登壇するセッションは、社員やお客様だけでなく、株主を含めステークホルダーまでもが注目していることを忘れずに。
❹ 企業トップの話はザックリし過ぎて逆に難易度が高い
当然ながら細かいテクニカルな話はまず出てきません。
まだ駆け出しの頃に日本の某銀行頭取とアメリカ企業のCEOとの会食を通訳する機会があったのですが、金融業界や日本の景気、米中経済の話が中心でした。
つまりザックリしているんだけど、背景わかってないと訳せない内容ね
その時、普段からニュース等でフォローしておく必要があるなと痛感しました。
逆に日経新聞やウォールストリートジャーナルなどの主要ニュースを普段からチェックしておけばCEOの話はだいたい理解できるし、通訳もできると思います。
通訳者にとって技術と同じくらい知識も大切、ということですね。
以上ざっと書いてみて自分自身、まだまだ勉強不足だなぁと反省しています。
アウトプットばかりだとバーンアウトしてしまうし、成長しないので、
もう少し意識してインプットすることも大事ですね
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