こんにちは、北カリフォルニアの会議通訳者、EJ EXPERT代表のブラッドリー純子です。
資料の入手について私が担当しているビギナークラスの受講生から質問がありましたのでお答えしようと思います。
通訳のクオリティは事前準備でかなり左右します。
通訳者は、それを痛いほど身に染みて感じているはず。
経験値の高いベテランも、第一線を走る中堅も、駆け出しの新人も、きちんと資料を入手して準備したいと思う気持ちに変わりはないと思います。
あと資料あるなしに関わらず、準備をしないと落ち着かなかったり、よく眠れないこともあります。
クライアントは通訳者を使い慣れてない限り、資料の重要性について把握いただけてないことがほとんど。
そこを説明してわかっていただくのが、エージェントの仕事であり、直接取引の場合は通訳者の役割でもあります。
日本会議通訳者協会主催の日本会議フォーラムでもお伝えしたのですが、アメリカの通訳エージェントの多くはあまりきちんと資料入手をしない傾向にあります。
アジェンダはくれてもスライド資料が一切こない事は多々あります。
もちろんエージェントが全て悪いのではなく、内容によっては社内資料を外部に出さない企業もあるからです。
私の経験からだと、例えばGAFAを始めとするテック系大手では来ないことが多い気がします。
一方で教育や金融や医療分野、政府関連の会議だと結構細かく資料が来る印象です。あとはケースバイケースですね。
これらは弊社直取引の案件ですが、何度かリクエストしても残念ながら資料をいただけないことはあります。
私はクライアントに説明する時にこういう例えをします。
資料のない通訳は、
「地図なしで目的地もわからないまま車を運転しているようなもの」
右に行くのか、左に行くのか、どこに向かっているのかわからない状態はかなり不安です。
ある程度、目的地と途中経路がわかっていると上手く運転ができるし、不安が消えて気持ちに余裕も出るのでパフォーマンスも向上します。
地図やグーグルマップがあれば、下調べもできます。
通訳者はクライアントの会議を成功させるためにお手伝いをしているので
会議の進行役やスピーカー(話し手)と同じくらい
☑️ 会議の目的
☑️ 全体の流れ
☑️ ディスカッションのポイント
☑️ 出てくる専門用語
☑️ 登壇者や参加者の情報
を事前に知っておく必要があるわけです。
通訳者はマシーンのように何でも右から左へ訳せると思われがち。
EJ EXPERTの通訳講座では通訳の実践的な演習だけでなく、
どうしても資料が入手できない場合にはどうするか?
など、困った時の対処法など、現場に出ないとなわからないことについても説明するようにしています。
そういえば、2020年スタートの講座ももうすぐ募集が始まります。
半年の講座ですが、始まってみるとアッと言う間。
来月には受講生や講師やスタッフが参加できるオンライン懇親会も開催が決まっています。
名付けてEJ Cafe。
通訳ネットワークづくりも兼ねて今後は様々なイベントも開催していく予定です