【書籍】ヤラセと情熱 | ~‡コキュートス‡~

【書籍】ヤラセと情熱

(−A−)という事で…

今回紹介するのは、"あの頃の子供たち" にはぶっ刺さるだろう、こちらの1冊。

■'24.3/15 読了

ヤラセと情熱  水曜スペシャル「川口浩探検隊」の真実』

プチ鹿島 著

(2022年12月25日 第一刷発行)


(−A−)◎

 

お笑い芸人にしてコラムニストのプチ鹿島が、'70年代後半〜'80年代に掛けて人気を博した『川口浩探検シリーズ』に関わった関係者を徹底取材、同シリーズの "真実" を捜し求め「ヤラセとは何か、演出とは何か。テレビの本質とは、何か。」に迫ったルポルタージュ☆



(−A−)プチ鹿島は…


お笑い芸人でありコラムニスト、時事ネタを扱う "時事芸人" として活躍されてる方ですが、名著『教養としてのプロレス』で一躍プロレス界隈でも識者として名を挙げた人ですね。


私が読んだ鹿島氏の著作としては、斎藤文彦さんとの対談集『プロレス社会学のススメ』がありますが、これもメッチャ面白かった♪ 


(↓所属事務所ワタナベエンターテインメントの公式サイトのプチ鹿島の紹介ページ)

(↓Wikipediaのプチ鹿島)


そんな鹿島氏が、小学生時代にテレビにかじりつくようにしながら夢中で観ていた番組がテレビ朝日系列の『水曜スペシャル』で放送されていた『川口浩探検シリーズ』、通称『川口浩探検隊』◎


「ヤラセ」の一言で片付けられてしまう事も少なくない『川口浩探検隊』の "真実" を捜し求め、当時の隊員や関係者へのインタビューを元に書き上げたものが、本書『ヤラセと情熱』です。

あの頃をリアルタイムで過ごした年代の人なら、↑の紹介文だけでワクワクしてきますよね?(笑)


(−A−)以下の太字が本書の目次になります。


まえがき


第1章 資料のジャングル


第2章 最初に探検隊にツッコんだ芸人


第3章 肉食恐竜ミゴーを宣伝した男


第4章 川口浩探検隊に感化された冒険家


第5章 落差30メートル宙吊りの放送作家


第6章 徳川埋蔵金を探した "ジュニア "


第7章 ウミヘビ手掴み10匹持つAD


第8章 今も心に葛藤を持つ男


第9章 ワニと戦いトラを担いだ騎馬隊員


第10章 ジャングルで死にかけた男とコンゴで軟禁された男


第11章 探検隊員、すべての "仕組み " を語る


第12章 なぜ川口浩探検隊は終わったのか


第13章 ヤラセ事件で消えたディレクターを追え!


第14章 「俺がテレビだ」伝説のテレビマンは実在した!


あとがき


水曜スペシャル 探検年表



(−A−)プチ鹿島さんは…


「子どもの頃に大好きだった『川口浩探検隊』について調べてみたい。元スタッフに話を聞きたい。その成果をどこかで書いてみたい」と、ずっと熱望していたそうです。


以下太字、あとがきから抜粋。


ただの郷愁ではない。あの頃に見た「隊員」たちが今もテレビ業界にいるなら、それぞれの立場を築いているはず。若手時代に経験した「探検隊」は各々のキャリアでどんな輝きを放っているのか。ただの仕事のひとつだったのか、それ以上か。ヤラセ番組と呼ばれた宿命を背負い、当時どんな思いで過ごしていたのか。今の自分にどんな影響を与えているのか。その後のテレビ業界について思うことは何か。自分が少年時代に好きだった番組について問うことは「テレビとは何か?」にも直結するテーマではないか?と薄々予感がしていたのである。


(−A−)そうなんです…


川口浩探検隊の "隊員" は役者さんとかではなく、番組のスタッフでもあったんですね。


つまり、隊員としてTVカメラに映る一方で、カメラに映らない時はスタッフとして仕事していたそうです。知らなかった(笑)


そんな "元隊員" の方々の話がですね、すこぶる面白いんですよ。


演出のネタばらし的な話には感心する事しきりでしたし、カメラには映らない部分ではリアルにヤバい事が数多起こってたそうで、単純に「ヤラセだったんでしょ?」なんて言えない修羅場の連続だった事が赤裸々に語られています◎



(−A−)y~



2014年に双葉社から出版された『教養としてのプロレス』が予想以上にヒットした事が追い風になり、鹿島氏はかねてからの念願でもあった川口浩探検隊について調べる作業に入りました。


2015年春から2019年9月号まで月刊誌『EX大衆』(双葉社)にて『ゆけゆけプチ鹿島!「川口浩探検隊」の探検隊!』のタイトルで約5年間連載する過程で、何人もの隊員たちを取材しましたが、連載終了後も追加取材に3年を費やしたそうです。


その最終目標として、各隊員から聞く武勇伝が如何にも「昭和のテレビプロデューサーとして幻想を抱くに十分な人物像」だった加藤秀之プロデューサーに辿り着きたいと願いつつ、加藤氏の体調の問題等もあって会えずじまいに終わってしまったのは、無念だったかと思いますが…それもまた "未知の生物" を追い求めた川口浩探検隊を追った本書らしい感じさえありますよね(笑)


ですが、その代わりに(?)「加藤さん級の人物がいる」とテレビ朝日関係者に教えてもらった鵜沢茂郎という放送作家に取材し、第14章はそれまでのスタイルと一変した鵜沢氏の独白のみで構成されています。



(−A−)そして…


本書は単なる川口浩探検隊の番組舞台裏を書いたものに収まらないんですね。


「ヤラセとは何か、演出とは何か」を問うために川口浩探検隊に関する取材をし、検証する途中で、川口浩探検隊の終了の原因の1つとされるテレビ朝日『アフタヌーンショー』のヤラセリンチ事件、そしてTBSの『プレゼンター』での徳川埋蔵金、または旧石器捏造事件等にも辿り着き、更にはあの『ロス疑惑』にまで繋がってくるという…とんでもない話になってます(驚)



(−A−)という事で…


単なる昔の番組の検証に留まらず、1970年代後半〜1980年代の時代の空気や、テレビにおける "番組の作り方" の変遷まで…兎に角、興味深い記述満載にして、とても面白い1冊でした。


気になった人は、絶対読んだ方が良いです。


(−A−)y~ムフフ











拝啓ひなた様。これは是非ともあなたに読んでいただきたい1冊です。で、詳しいレビューをブログに書いて下さいませ。(←無茶ぶり・笑)