
土曜日の深夜2時。
街の喧騒はとうに消え、僕の部屋を支配しているのは、
加湿器の低い唸り声と、使い古したMacBookの排気音だけだ。
部屋の明かりを消すと、
モニターから放たれる青白いブルーライトが、
僕の顔を不気味に照らし出す。
その姿は、
まるで深海で獲物を待つチョウチンアンコウか、
あるいは破滅の淵に立つギャンブラーのようだ。
画面の左半分には、狂ったように数字が点滅し、
折れ線グラフが激しく上下する為替チャート。
右半分には、3時間前から「……|」
というカーソルが虚しく点滅を繰り返している、
純白すぎて殺意すら覚えるGoogleドキュメント。
「1ドル=150円台……
また円安が加速しているのか。誰か日本の蛇口を閉めてくれよ」
なんて、
いかにも「世界の景気を憂う敏腕投資家」のような顔をして、
冷え切ったコーヒーを啜りながら呟いてみる。
だが現実は残酷だ。
僕の銀行残高は、
さっき深夜のテンションでコンビニに走り、
やけ食い用に買い込んだ「特盛カップ焼きそば」と
「エナジードリンク(紫色のやつ)」のせいで、
絶賛、歴史的な暴落を記録している。
マクドナルドのバリューセットが、
今の僕には「銀座の高級寿司」と
同じくらいのラグジュアリー・アセットに見える。
世の中の投資家たちが
「ドルを買うか、円を売るか」で胃を痛めている間、
僕はもっと、
もっとヒリヒリする相場の中にいる。
「この1文字をどう置くか」
「どのタイミングで改行をぶち込んで、
読者のスマホをスクロールする親指を物理的に停止させるか」
これは、言葉の価値が秒単位で変動する、
世界一孤独で過酷な「言霊為替相場」だ。
僕は、断言したい。
僕たちライターの生き方は、FXそのものだ。
言葉は「通貨」であり、
記事は市場に投下する「ポジション」だ。
そして、僕たちがキーボードを叩く指先には、
常に「人生の時給を100倍にするレバレッジ」がかかっている。
今日は、
僕が血を吐き、腱鞘炎と戦いながら編み出した生存戦略、
”ライターxFX”の極意を、証拠金(僕のわずかな気力)が尽きて
強制ロスカットされるまで語り尽くそうと思う。
1. 暴落中の「自分という銘柄」を今すぐ損切りせよ
FXの世界で最も愚かで、
最も早く退場(破産)を迎えるのはどんな奴か。
それは、価格が下がり続けているのに
「いや、いつか戻るはずだ」
「きっと奇跡の反発が起きる」
と根拠のない希望にしがみつき、
損失を拡大させ続ける奴だ。
投資用語でこれを「塩漬け」と呼ぶ。
そして悲しいかな、
世の中の多くのライターが、自分の「時間」という名の
貴重な証拠金を塩漬けにしている。
「文字単価0.2円。
でも、独立当初からお世話になっているクライアントだし……」
「全然興味のない
『最新の排水溝清掃テクニック』についての記事だけど、
断って仕事がなくなったら怖いから……」
これ、
FXで言えば「暴落確定のクソ通貨を、
泣きながら全力ホールドしている」状態だ。
時間は命だ。
ライターにとって時間は「証拠金」そのものだ。
不毛な低単価案件、
心を削るだけの付き合い、
安売りされる自分の価値。
それらを握りしめている限り、
あなたの口座(人生)には、
新しい「爆益案件」に
エントリーするための余力は1ミリも生まれない。
僕もかつて、
文字単価0.1円の「最強の消臭剤おすすめ50選」という
地獄のようなまとめ記事を、
毎日3万文字書いていた時期があった。
朝から晩まで、
あらゆる消臭成分の化学式を調べ、
家の中のあらゆる臭いに敏感になり、
ついには自分の体臭すら
「これは……
アンモニア臭が強いな。記事のネタになるか?」
と疑い始めた頃、
僕は自分の人生チャートが
「ナイアガラの滝」のごとく急落していることに気づいた。
「あ、これ、死ぬまで書いても牛丼一杯分にもならないな」
僕は震える指で、
クライアントに「損切り」のメールを送った。
「すみません、
僕の鼻と心が限界を迎えました。もう書けません」
報酬は一瞬にしてゼロになった。
だが、代わりに手に入ったのは
「空き時間」という名の膨大な、純度の高い証拠金だった。
その証拠金を全額投入して、
僕は自分にしか書けない、
毒気たっぷりのコラム企画書を練り上げた。
結果、文字単価は一気に30倍に跳ね上がった。
ライターよ、
まずは「ダメな案件」と「ダメな自分」を損切りしろ。
空いたスペースにしか、
幸運の注文(オーダー)は入ってこないのだ。
2. 言葉のレバレッジを、100倍に設定せよ
「コツコツ真面目に頑張れば、いつか報われる」
……その言葉は、
時給800円のアルバイトをしていた頃の僕に、
誰かが植え付けた呪いだ。
今すぐシュレッダーにかけて、
代わりにカフェインでもぶち込んで忘れてほしい。
FXの最大の魅力はレバレッジだ。
手元の10万円を、250万円、
海外口座なら数千万円分として動かす力だ。
ライターという職業の真の価値は、
まさにこの「レバレッジ」にある。
「1時間働いて、1時間分の原稿料をもらう」のは、
レバレッジ1倍の奴隷労働だ。
これでは、
一生モニターのブルーライトに顔を焼かれ続け、
肩こりと眼精疲労のデパートになって終わる。
真の”ライターxFX”的な生き方とは、
自分の書いた言葉を「資産」に変え、
拡散という名のレバレッジをかけることだ。
例えば、僕が今書いているこの記事。
今この瞬間、仮に1万人が読んでいるとする。
僕は今、鼻をほじりながら
カップ麺の出来上がりを待っているだけかもしれない。
だが、僕の書いた言葉は、
1万人の脳内に入り込み、
彼らの感情を揺さぶり、
僕という人間の「信用証拠金」を
世界中でチャリンチャリンと積み上げている。
1人の採用担当者に
「私を雇ってください」と土下座するのではない。
10万人に届くコンテンツを放流し、
向こうから「あなたに書いてほしい」と言わせる。
言葉を磨くことは、
自分という口座の「最大レバレッジ設定」を引き上げる行為だ。
1文字を単なる「記号」として置くか、
読者の心を撃ち抜く「弾丸」として置くか。
ペン(キーボード)という名のレバーを、
迷わず「買い」に倒せ。
あなたの1時間は、
100時間分、
1000時間分の価値に増幅できるのだ。
3. 「締め切り」という名の強制ロスカット
ライターの日常において、死神よりも恐ろしい存在。
それが「締め切り」だ。
FXにおける「強制ロスカット」が、
証拠金維持率を割り込んだ時に、一切の手加減なしに、
非情なアルゴリズムによって執行されるように、
締め切りという名の審判は、
僕たちの体調や言い訳など1ミリも考慮せずにやってくる。
「あと1時間あれば、
もっとエモい比喩が思いついたのに……」
「あと少しだけ、
参考文献を読み込んで深みを出したかった……」
そんな寝言は、為替相場(クライアント)には通用しない。
維持率が100%を切れば、
ポジションは跡形もなく消滅する。
納期に1分でも遅れれば、
それは「信用」という名の
最も大切な証拠金を一気に溶かす行為だ。
一度ロスカットされた口座(信頼)を元の水準に戻すには、
そこから数ヶ月におよぶ
「無報酬に近い詫び仕事」という追証が必要になる。
ライターの苦労はここにある。
僕たちは常に、
自分の「クリエイティビティ」と「残り時間」という
二つのチャートを監視しなければならない。
思考がフリーズし、
カーソルが虚しく点滅を繰り返すあの瞬間。
「あ、これ逆行してる(全然書けてない)。
やばい、追証(完徹)だ」
深夜のコンビニへ走り、
カフェインという名の劇薬を胃袋に流し込む。
心臓の鼓動が不規則に早まる。
為替のボラティリティなんて、
締め切り5分前のライターの心拍数に比べれば、
春の日の午後の公園のようなものだ。
だが、
この「心臓が口から飛び出しそうな感覚」があるからこそ、
納品ボタン(ポジション決済)を押し、
「受領しました」のメールが届いたあとの、
あの脳汁が出るような解放感がある。
「爆益だ……!(実際はただの数千円の原稿料だが)」
その一瞬の快感に脳を焼かれたジャンキーたちが、
今日もキーボードを叩き続けている。
4. 自分の「国力(ファンダメンタルズ)」を強化せよ
FXの短期トレードはテクニックで勝てるかもしれない。
だが、長期的なトレンドは、
その国の「経済的な実力(ファンダメンタルズ)」で決まる。
実力のない国の通貨は、
どんなに一時的に「バズ」という名の値上がりをしても、
最後にはゴミクズ同然の価値になる。
ライターも、全く同じだ。
「SEOの裏技」とか「AIに全部書かせるプロンプト」
といった小手先のテクニックは、
相場における「一時的なノイズ」に過ぎない。
最後に勝負を決めるのは、
あなたというライターの「国力」そのものだ。
これらが、あなたの「自分経済」のGDPを押し上げる。
ファンダメンタルズが強いライターは、
どんなに高性能なAIが登場しても、
どんなに不況が来ても、
価値が暴落することはない。
むしろ
「世界がAIの無機質な言葉に飽き果てたからこそ、
あいつの生々しい、血の通った言葉を買おう」と、
市場から逆指名が入るようになる。
朝倉〇来氏を見てほしい。
彼の凄さは、
YouTubeの編集や派手な演出(テクニカル)の裏側に、
他者が決して入り込めないほどの圧倒的な「個の強さ」と、
大衆心理を冷徹に読み切る
「ファンダメンタルズの圧倒的な厚み」があることだ。
僕たちライターも、
流行りのキーワードを追いかけるだけでなく、
自分という国の「外貨準備高(知識と経験)」を
日々積み上げなければならない。
30代で圧倒的な差がつくのは、
20代の頃にどれだけ「本物の知恵」に自分を投資し、
複利を効かせてきたか、その一点に尽きる。
5. ポジポジ病を捨て、人生という「聖杯」にオールインせよ
FX初心者が必ずかかる不治の病、
「ポジポジ病」。
常に何かのポジションを持っていないと不安で、
根拠のない場所で適当にエントリーを繰り返し、
気づけば手数料とスプレッドで資金を使い果たす病だ。
ライターも、
手当たり次第にクラウドソーシングの案件に応募し、
スケジュールを埋めることで
「仕事をしている気分」になっていないか?
「忙しい」という感覚は、麻薬だ。
忙しさに逃げている間、
あなたは「自分の人生を変えるかもしれない1本」を
書くための準備を怠っている。
人生を劇的に捲る(まくる)のは、
100本の凡庸な記事ではない。
「ここだ!」という勝機をじっと待ち、
すべての証拠金と情熱を投入して書き上げる、
大胆(Bold)な一撃だ。
その一瞬の「オールイン」のために、僕たちは日々、
目立たない場所でチャート(世の中の動向)を眺め、
爪を研いでいる。
恐怖で指が震えるかもしれない。
「もし滑ったら、ライターとして終わるかもしれない……」。
それでいい。
その恐怖こそが、
相場における「絶好の買いシグナル」だ。
誰もが怖がって手を出さない、
誰もが言葉にできなかった場所に、
自分だけの真実を叩き込む。
その一歩が、
あなたの人生というチャートを、
底値から垂直上昇(ムーン)させる。
6. おわりに:明日、市場(Web)が開く前に
”ライターxFX”。
それは、言葉を単なる伝達手段ではなく、
「自分の価値を増幅させるための通貨」として扱う生き方だ。
土曜日の夜、
僕は冷え切ったコーヒーを飲み干し、
ようやくこの記事の1行目を書き始めた。
為替チャートは週末で閉まっているけれど、
言葉の相場は、
24時間365日、止まることなく動き続けている。
僕たちの毎日は、苦労の連続だ。
肩は鉄板のように凝り、
目は霞み、
クライアントの容赦ない修正依頼に
「あ、これ損切り(辞退)かな」と涙することもある。
けれど、
自分が魂を込めて、文字通り身を削りながら書いた言葉が、
レバレッジを効かせて世界中を駆け巡り、
見知らぬ誰かの人生に「爆益」をもたらす瞬間が、
確かにある。
その喜びを知ってしまったら、
もう普通の労働には二度と戻れない。
さあ、モニターの前のあなた。
自分の価値を信じ、
マーケットを読み、
戦略を練ろう。
次にあなたがキーボードを叩く音は、
世界という巨大な取引所を揺らす、
力強い「エントリー音」になるはずだ。
Believe in yourself.
あなたの未来が、
見たこともないような
「爆上げ」の放物線を描き続けることを、
心から願っています。
(著者:TSK