第3話:
境界線を越える。勇気は、後からついてくる。
〜 「現状維持」という最大のリスクを卒業する日 〜
いよいよ、最後の対話です。
現状への違和感を認め、自分の内に眠る武器を再発見した。
それでも、最後にあなたの足を止めるもの。
それは「失敗への恐怖」という、
生物としての本能的なブレーキです。
「もし、転職先が今よりブラックだったら?」
「もし、自分に実力がなくて、試用期間でクビになったら?」
夜、一人で考えていると、
脳はクリエイティブに「最悪のシナリオ」を書き上げます。
心拍数は上がり、手には汗がにじむ。
その恐怖に負けて、
翌朝には「やっぱり、今のままでいいや」
「贅沢を言っちゃいけない」と、
また重い体を引きずって満員電車に乗る。
多くの人が勘違いしています。
「勇気がある人が、転職できるのだ」と。
しかし、現実は全く逆です。
「決断し、一歩踏み出したから、
後から勇気が湧いてくる」のです。
ポーカーでも、FXでも、
そして人生という投資でも同じです。
チップをテーブルの上に置かない限り、
勝負は始まりません。
リスクを100%排除した状態で勝利を掴むことは、
この宇宙の法則として不可能なのです。
40代のあなたが今、決断を下すために必要なのは、
鋼のようなメンタルでも、無鉄砲な情熱でもありません。
「現状維持」という選択肢がもたらす損失を、
冷徹に計算する「理性的決断」です。
今の会社にあと20年、
居続けた場合をシミュレーションしてみましょう。
給料は多少上がるかもしれませんが、
あなたの「個人の市場価値」は相対的に下がり続けます。
新しい環境に飛び込まず、
一つの社内ルールにだけ精通していく自分。
50歳になったとき、
もし会社が倒産したり、
突然のリストラ対象になったりしたら、
その時のあなたに何が残っているでしょうか。
その時、初めて外に出ようとしても、
今日より若く、柔軟なあなたはいません。
今の場所で不満を飲み込み続け、
ストレスで健康を害したり、
家庭に帰っても疲れ切って家族に笑顔を見せられない。
その「精神的な損失」は、
一体いくらのお金で埋め合わせができるでしょうか。
あなたの人生は、お金を稼ぐための「手段」ではなく、
あなたが幸せを感じるための「目的」そのものであるはずです。
決断とは、何かを選ぶことではありません。
「何かを捨てること」です。
あなたは、今のままの
「不満はあるが、安定している(ように見える)自分」
を捨てる覚悟がありますか?
その覚悟が決まった瞬間、
世界の色が鮮やかに変わります。
転職活動を始めてみれば、
驚くほど多くの「可能性」が
この世界に転がっていることに気づくでしょう。
自分と同じように悩み、葛藤しながらも、
新しい環境で生き生きと働く同世代。
あなたの豊富な経験を
「ぜひ、うちの若いメンバーに教えてほしい」
と熱望する、成長途中のベンチャー企業の経営者。
一つの会社という狭い檻の中から、
広大なサバンナに出たときの、あの震えるような解放感。
もちろん、新しい環境には困難もあります。
最初のアダプテーション期間は、
自分の無力さに打ちひしがれ、
夜中に泣きたくなることもあるでしょう。
でも、その苦しみは「成長痛」です。
今の場所で感じている
「窒息しそうな、出口のない苦しみ」とは、
性質が全く違います。
自らの意志で選んだ苦しみは、
いつか必ずあなたの血肉となり、
あなたをより強く、
より魅力的な人間に変えてくれます。
最後にお伝えしたい。
30代・40代。
体力は少し落ちたかもしれない。
けれど、
私たちは人生の酸いも甘いも噛み分け、
「選ぶ力」を持っています。
自分の人生という壮大な物語。
その主人公の座を、
誰かに明け渡したままにしてはいけません。
Believe in yourself.
あなたは、どこへでも行ける。何にだってなれる。
「あの時、勇気を出して本当によかった」
数年後のあなたが、
笑顔でそう振り返っている姿が、
私にははっきりと見えます。
さあ、深く深呼吸をしてください。
履歴書の一行目を書き直す。
エージェントにメールを送る。
あるいは、気になる企業を検索する。
その小さな、けれど「Bold(大胆)」な一歩が、
あなたの「第二の人生」の、輝かしいスタートラインです。
あなたの航海が、光に満ちたものであることを心から願っています。
(著者:TSK)
