9月。

カレンダーを見ると、今年も残り4か月を切っている。

 

暑さは少しずつ和らいできたものの、

通勤電車の車内には、まだ夏の疲れが残っているような空気が漂っていた。

 

あなたは、

いつもの時間に会社へ到着し、いつものようにパソコンの電源を入れる。

メールを確認し、今日の予定を確認する。

特別な出来事は何もない。

良くも悪くも、いつも通りの朝だった。

そんな時だった。

隣の席の後輩が、少し緊張した表情で席を立つ。

手には一枚の封筒。

そのまま上司の席へ向かっていった。

なんとなく察しはつく。

しかし、まさかと思う気持ちもあった。

 

午前中が終わる頃。

社内には静かなざわめきが広がっていた。

 

どうやら後輩が退職するらしい。

転職先も決まっているという話だった。

驚いた。

まだ若い。

これから先も長い。

そんなことを思う反面、なぜだろうか。

心のどこかが少しだけ引っかかった。

昼休み。

コンビニで買った弁当を広げながら、何気なく窓の外を眺める。

後輩が辞める。

ただ、それだけの話だ。

珍しいことでもない。

実際、今までも何人もの人が会社を去っていった。

それなのに今回は妙に頭から離れない。

理由は分かっていた。

後輩は今の仕事に大きな不満があったわけではない。

人間関係も悪くなかった。

給料だって極端に低いわけではない。

それでも、自分の将来を考えて転職を決めたらしい。

 

その話を聞いた瞬間、ふと自分自身のことを考えてしまったのだ。

入社して何年が経っただろう。

毎日忙しく働いている。

気づけば役職も付いた。

後輩もできた。

責任も増えた。

決して悪い会社ではない。

けれど、

今の仕事を続けた先に、どんな未来が待っているのかと聞かれると、

すぐには答えられない。

 

午後の仕事が始まる。

会議。

電話。

メール対応。

気づけば定時が近づいていた。

 

忙しい一日だったはずなのに、頭の片隅にはずっと後輩の言葉が残っている。

「今じゃないと挑戦できないと思ったんです」

 

帰宅途中。

駅へ向かう人の流れに身を任せながら歩く。

夕暮れの空は少しだけ秋の色になっていた。

後輩は自分の未来を考えて動き出した。

 

では、自分はどうだろう。

今の仕事に不満があるわけではない。

会社を辞めたいわけでもない。

それでも、このままで良いのだろうか。

そんな考えが頭をよぎる。

 

自宅へ帰り、

夕食を終えて、ソファへ腰を下ろす。

テレビはついている。

スマホも手元にある。

しかし、内容はほとんど頭に入ってこない。

 

今日一日、何度も頭の中で繰り返していた言葉がある。

「今じゃないと挑戦できないと思ったんです」

その言葉の意味を考えながら、あなたは静かにスマホを手に取るのだった。

Believe in your possibility.

( 後編へ続く )

 

9月5日、土曜日。

青空が広がる早朝。

窓を開けると、少しだけ秋の気配を感じる風が部屋の中へ入り込んできた。

とはいえ、まだまだ暑さも感じる朝だ。

 

私は、自宅の仕事部屋でアイスコーヒーを飲みながら、

いつものようにライター仕事を始めるのであった。

 

午前中の作業を終えた頃、何気なくSNSを眺めていると、

「空き巣被害に注意」というニュースが目に入ってきた。

 

最近は、住居侵入事件など物騒な話も多い。

 

ライターという職業柄、自宅で仕事をする時間は長いし、パソコンが盗まれたりでもすれば仕事にならなくなってしまう。

 

そう考えているうちに、だんだん不安になってきた。

「防犯対策、、、やるなら今日だ」

思い立ったらすぐ行動。

それが、

良い方向へ転ぶこともあれば、そうでないこともある。

この時の私は、まだそのことを知るよしもなかったのだ。

 

昼食を済ませて、さっそく防犯対策についてリサーチを始める。

防犯カメラ。

人感センサー。

窓用アラーム。

防犯ステッカー。

比較サイトやレビュー記事を読み漁りながら情報を集めていく。

 

気づけば、2時間以上が経過していた。

 

もはや空き巣対策というより、

防犯設備メーカーへの就職面接を受けられそうな知識量を蓄積したのである。

 

そして、1つの結論に至ったのである。

「侵入される前に警戒されればいい、、、完璧だ」

私は、そそくさとホームセンターへ向かった。

 

まるで業者のような目つきで店内をうろつきながら、商品を探す。

 

そして、

防犯ステッカー

防犯ライト

ついでになぜか、黒い帽子を購入した。

(なぜ買ったのかは自分でも分からない。)

しかし、その時は必要な気がしたのである。

 

帰宅後、さっそく施工に取り掛かる。

玄関のドアに、防犯ステッカーを貼った。

窓へもステッカーを貼ることにした。

ついでに、

駐車場の柱にも貼っておくことにした。

少し念入りに貼りすぎた気もするが、防犯意識の高さは十分に伝わるはずだ。

 

防犯ライトも設置を終えて、

暗くなってくるまで待ってから、点灯テストも無事にクリアした。

「問題ないな、、、完璧だ」

そう思ったのも束の間(つかのま)、

もう一つ買った商品があることを忘れていたことに、気づいた。

実は、念には念をということで、防犯カメラも買っていたのであった。

「取り付けて、ちゃんと反応しているのか確認しておきたいな」

「外は暗くなってきたが、いけるだろう」

ライターという職業は、制作物の納品前には必ずと言って良いほど最終確認をする。

 

防犯設備であっても同じことだ。

確認は重要である。

 

私は、買ってきた黒い帽子を深くかぶり、防犯カメラの映像テストを開始した。

まずは、玄関前をゆっくり歩いてみる。

ウィーンという動作音と共に、

カメラのレンズがこちらを向いてくるのを確認。

ちゃんと追尾(ついび)できているようだ。

「す、素晴らしい」

次は、窓の前を歩いてみる。

 

きちんと反応したているようだ。

「す、素晴らしい」

その後も、物陰に隠れてみたりなどしてみたり試したが、

うまく反応しているようで安心した。

完璧である。

 

最後に、しつこいくらいだが、念のため、もう一度だけ試してみることにした。

私は、リサーチして得た情報から、

リアルなシュチュエーションで機能するのか試したくなり、

考えた結果、塀の陰から様子をうかがってみることにした。

「ちゃんと動いている」

「完璧なセキュリティーを手に入れることができた」

私は大満足で、玄関のドアを開けて自室に戻ろうとした。

 

その時だった。

背後から、誰かわからないが声をかけられた。

「夜分にすみません」

振り返ると、

そこには警察官が立っていたのであった。

やましいことは無いはずなのに、なんだかドキドキするものだ。

そして、

隣には、不安そうな表情を浮かべた近所のおばあさんもいるのであった。

 

おばあさんは私を見ながら、警察官にこう言った。

「この人です!」

私は、何のことか状況すら理解できずに固まった。

 

話を聞いてみると、警察官の元へ住民から以下の通報があったらしい。

黒い帽子をかぶった人物が、住宅街をうろついている。

物陰へ隠れている。

窓の近くや、塀の陰から家をのぞいたりしている。

どうやら私が黒ずくめの格好でカメラを見つめたりしていた行動が、

近隣住民の誤解を招いてしまったようであった。

 

私はあせりながら、警察官へ必死に説明したのであった。

防犯カメラのテストだったこと。

空き巣ではないこと。

この家の住人であること。

自宅の防犯設備を確認していただけであること。

警察官も不安な表情をしていた住民も、どうにか納得してくれて、

身分確認を終えた私は、無事に解放されたのであった。

 

もう外は本当に真っ暗になっていた。

少し疲れた足取りで、玄関へ向かう。

そこには昼間、自分で貼った防犯ステッカーがあった。

『防犯対策実施中』

確かに実施していた。

防犯カメラは正常に作動していた。

防犯ライトも問題なく点灯した。

防犯ステッカーも十分な存在感を放っている。

ただ、

防犯カメラが不審者を発見するかのように、近所の方が私を発見していたのである。

 

今回は、本物の空き巣犯などではなく、

不審者として扱われたのは、私だったのだった。

Believe in your possibility.

( by TSK )

 

9月。

ベッドに横になったまま、スマホの画面を静かにスクロールし続ける。

「転職 40代」

たったそれだけの検索だった。

 

しかし、画面には次から次へと求人情報や転職体験談が表示されている。

年収アップ。

未経験歓迎。

キャリアチェンジ成功。

魅力的な言葉が並んでいる。

 

それなのに、なぜだろうか。

期待よりも先に、不安の方が頭に浮かんでしまう。

もし失敗したらどうしよう。

今より待遇が悪くなったらどうしよう。

新しい職場になじめなかったらどうしよう。

スマホを持つ手が止まる。

静かな部屋の中には、エアコンの風が流れる音だけが聞こえていた。

「転職」

たった二文字なのに、その言葉は思っている以上に重たい。

 

仕事だけの話ではない。

生活。

家族。

住宅ローン。

将来への備え。

年齢を重ねるほど、守るべきものは少しずつ増えていく。

だから、簡単には決められない。

 

画面を閉じようとした、その時だった。

ふと目に留まったのは、dodaの求人一覧だった。

 

何気なく眺めてみる。

すると、

知らなかった業界。

知らなかった職種。

知らなかった働き方。

そんな求人が次々と表示される。

 

もちろん、すべてが魅力的に見えたわけではない。

今の会社の方が良いと思える求人もある。

それでも、選択肢があることを知れただけで、少し気持ちが変わった。

転職する。

転職しない。

大切なのは、その結論を今夜出すことではない。

 

今の自分に、どんな可能性が残されているのかを知ること。

知らなければ選ぶこともできない。

知らなければ比較することもできない。

気づけば日付は変わろうとしていた。

明日も仕事だ。

スマホを枕元へ置いて、静かに目を閉じる。

10年後の自分は、今日と同じ景色を見ているだろうか。

それとも、違う景色を見ているだろうか。

その答えはまだ分からない。

 

ただ一つ分かるのは、

何も知らないまま悩み続けるより、

少しだけ行動してみた今夜の方が、昨日より悪くない気がしたということだった。

Believe in your possibility.

(by TSK)

 

9月。

まだまだ日中を中心に暑さが続く今日。

 

あなたは仕事を終え、家路へと向かう。

帰宅途中にスーパーへ立ち寄り、夕食の食材を買い込んで、

ようやく帰宅できたと、その疲れた体をソファへ預ける。

 

エアコンをONにして、冷たい風がゆっくりと部屋を満たし始めている。

 

ソファに埋もれたまま、何気なくスマホを開き、いつものSNSを眺めているうちに、

気づけば30分、いや1時間も経ってしまっていたりしないだろうか。

 

特に見たいものがあったわけではないのに、

指だけは勝手に画面をスクロールし続けている。

 

そんな、

いつもとたいして変わらない、いつもの夜のはずだったのに、

なんだか今日は、少しだけ違った。

 

前職の同僚や学生時代の友人たちの近況情報が目に飛び込んでくる。

◯◯業界へ転職できました。

夢だった自分の会社をスタートさせました。

同僚だった◯◯さんと結婚しました。

 

みんな、夢や希望を叶えている。

そんな、近況報告の投稿ばかりに目がいってしまう。

 

もちろん、SNSに映るものが全てではない。

楽しいことばかりではないだろうし、不安や苦労もあるだろう。

 

それでも、なぜだろうか。

その投稿を見た瞬間だけは、少しだけ胸の奥がざわつく。

 

スマホの画面を閉じる。

部屋にはエアコンの送風音だけが静かに響いている。

 

ふと、

天井を見上げて、自分の毎日を思い返してみる。

朝起きて、出勤の準備をして、いつもの時間に外出し、仕事を開始する。

定刻まで仕事をして、帰路へ向かう。

帰宅して、シャワーを浴びて、家族と食卓につき、眠りにつく。

そして、また朝がやって来る。。。

 

変わり映えの無い毎日だが、決して不満ばかりではない。

人間関係が悪いわけでもない。

給料だって毎月当たり前に振り込まれている。

だからこそ、周囲には何も言えない。

 

しかし、ときどき心の奥で小さな違和感が顔を出す。

「このままでいいのだろうか」

そんな考えが浮かんでは消えていく。

 

年齢を重ねるほどに、新しい挑戦をするには勇気が必要になる。

「転職」

もし、失敗したらどうしよう。

待遇が悪くなったらどうしよう。

新しい環境になじめなかったらどうしよう。

考え始めると不安はいくらでも出てくる。

だから、現状維持を選ぶ。

 

変わらない方が安全だと思うからだ。

 

けれど、本当にそうなのだろうか。

変わるにはリスクがある。

しかし、変わらないことにもリスクはある。

気づけば数年が過ぎていたなんて話は、決して珍しくない。

後悔するのは、他人じゃなく自分自身だ。。。

 

時計を見ると、いつの間にか23時を回っている。

明日も仕事だ。

 

ベッドに身を預け、またスマホを手に取る。

ただ、いつもの夜のようなSNSを観るわけではない。

検索画面で、「転職 40代」と入力し、検索する。

まだ、転職すると決めたわけではないし、会社を辞めると決めたわけでもない。

ただ、

自分にはどんな可能性が残されているのか知りたいと思った。

 

検索結果に表示されたのは、数え切れないほどの転職サイトや、業種や企業名。

もしかすると、

その中には、今まで知らなかった選択肢があるのかもしれない。

そう思いながら、

あなたは静かに画面をスクロールし始めるのだった。

Believe in your possibility.

( 後編へ続く )

 

8月29日、土曜日。

時刻は、9時30分。

 

今日も朝から気温は高い。

自室の窓に張り付いた蝉(セミ)が、

「ミーン、ミーン」と桁魂(けたたましい)声で鳴いており、

テレビの音声すらまともに聞き取れほどで、メンタルまでも暑さでやられてしまいそうだ。

 

自室のクーラーをONにすると、室外機がカラカラと今にも壊れそうな音を立て始める。

ここ最近、室外機が動き始めると、いつもこの壊れそうな音が続いている。

 

もし、クーラーが壊れたりしたらと考えるとゾッとするが、

なんとか今年の夏を乗り切ってくれという願いで、

このカラカラ音については、わざと聞こえないフリをしている状況だ。

 

昨日買っておいたペットボトルの麦茶を飲もうと思い、冷蔵庫を開ける。

麦茶を取り出しゴクゴクと飲み干しながら、冷蔵庫内を眺めていると、

以前に買って冷蔵庫へ入れておいた生魚の切り身パックが視界に入った。

 

身の色味がなんだか黒ずんで見える。

「切り身の色ってあんなだったかな。。。」 

「匂いもなんだか臭いぞ」

 

賞味期限を確認してみると、すでに10日も過ぎてしまっていた。

 

私は、

静かに目を閉じて、何も見ていなかったかのようにそっと処分した。

「冬なら調理して食べれるか挑戦したかもしれないが、さすがに真夏はやめておこう」

 

長年、フリーランスでライターをしているせいなのか、

現実から目を背ける技術だけは、年々向上しており、

今や、冬なら大丈夫というエビデンスが全く無い境地(きょうち)にまで達しているのである。

 

冷蔵庫内には、今日の昼食にできそうな食材はもう何も無く、

仕方がないため、スーパーへ買い出しに行こうと決めた。

 

そう決意を固めると、

いつの間にか蝉(セミ)の鳴き声は止んでおり、

テレビからは、今日の天気予報を解説する音声が聞こえてくるのを感じた。

「今日も天気の崩れは無く、絶好のお洗濯日和(びより)となりそうです」

「ただ、日差し強い日中は、気温が35度以上とかなり高い状態が続きますので、熱中症には十分気をつけてください」

夏、真っ盛りである。

 

私は思った。

「今日の日差しはサ◯ジン的だ。本気で紫外線対策をしてスーパーへ向かおう」

「まずは、日焼け止めを露出するであろう肌という肌の面にすべて塗るのだ。」

顔。

首。

耳。

腕。

 

念入りに塗り終えた。

「念には念を」

 

さらに、

帽子。

サングラス。

マスク。

アームカバー。

ネックガード。

すべての装着が完了した。

 

満を持(じ)して、自分の姿を鏡で確認してみる。

「完璧な紫外線対策だ」

私自身ですら、もう誰なのか分からないほどである。

 

完全防備で意気揚々(いきようよう)と自宅を出て、

スーパーへ向かって歩いていると、

親に連れられて歩いている近所の小学生が、じーっとこちらを見ている。

すると、

小学生は「ママ、あそこに忍者がいるよ!」と親に言いながら、

私を指さしている。

 

私が気がついたことに気づいたのか、

母親は慌てて子供の口元を塞ぎ(ふさぎ)ながら、

「しっ!、見ちゃだめよ」

私は少し傷付いた。

ただ紫外線対策をしていただけである。

 

そうこうしながらスーパーへ到着。

 

さっそく店内へと入り、

店内の涼しさを気持ち良く感じながら、昼食用に生魚の切り身パックを購入。

「自宅に戻ったら、焼いて塩か醤油で食べることにしよう」

今日は特売日だったらしく、

なかなかのお値打ち価格で購入できた。

 

ペットボトルの水も安かったためカゴに入れる。

 

満足である。

 

買い物を終えて帰宅する道すがら、

その暑さに負けて公園のベンチで少しだけ休憩しようと思い、立ち寄ることに。

 

日陰のある場所は残念ながら無かったが、空いているベンチは見つかった。

 

ベンチに腰掛け、

スーパーの袋からペットボトルの水を取り出し、ゴクゴクと飲み干す。

空は相変わらずの晴天だが、

少し生暖かいが、それでいてなぜか涼しげにも感じるようなそよ風が吹いていて、気持ちが良い。

「風が気持ち良いな。休憩に立ち寄って正解だ・・・」

 

・・z

 

・z z

 

z  z  z

 

z   z   z   z   z   z

 

「ん?」

「暑いな。。。」

「汗だくだ。。。」
 
「たしか、公園のベンチで。。。」
 

ようやく、寝てしまっていたことに気づいて目を覚まし、

慌ててスマホに表示されている時刻を確認してみると、すでに14時30分であった。

「4、5時間は寝ていたかもしれない。。。」

急いで荷物を持ち、汗だくのまま自宅へ戻るしかなかった。

 

帰宅後。

帽子、サングラス、マスク、アームカバー、ネックガードを外し、

鏡で全身をよく見てみるが、ぜんぜん日焼けしていない。

「完全防備できていた。すばらしい」

勝利の余韻(よいん)に浸り(ひたり)ながら、

スーパーの袋から昼食用にと買った生魚の切り身パックを取り出した。

「なんてことだ。。。」

私は固まった。

 

その切り身のパックは、

スーパーではあれほどまでに、透明感のある美しい切り身のビジュアルだったはずなのに、

今は、なんだか朝見た期限切れで処分した食材にそっくりな見た目の状態である。

 

まるで、

竜宮城から戻った主人公が、玉手箱を開けてしまい、お爺さんになってしまったかのようだった。

 

私は思い出した。

数時間。

真夏。

35度。

直射日光。

ベンチ。

昼寝。

・・・

自分自身を日焼けから守ることはできた。

しかし、

本当に守るべきだった生魚の切り身パックという食材を守ることには失敗したのである。

「今回の私の日焼け対策(任務)は、結果失敗だったということか。。。」

私は、変わり果てた生魚の切り身パックをそっと袋に戻し、そして呟く。

「・・・守るべきものを間違えたな」

Believe in your priorities.

( by TSK )

 

木曜、ようやく一息つける夜。

帰宅した後、

夕食を済ませて、ソファへ腰を下ろす。

 

気付けば、今週もあっという間だった。

 

火曜日の前編では、

30代、40代になると、以前とは違う不安を感じることがあるという話をした。

今の仕事が嫌なわけではない。

人間関係も悪くない。

生活に困っているわけでもない。

それなのに、なぜか将来が見えにくく感じる感覚。

 

では、その不安の正体は何なのだろうか。

 

私は、その答えの一つが「未来が見えていないこと」にあると思っている。

 

たとえば、車で知らない場所へ向かう場面を想像してほしい。

目的地は決まっている。

だが、現在地が分からない。

どの道を進めば良いのかも分からない。

そんな状態では、誰だって不安になるのも当然だろう。

 

仕事も同じだ。

毎日頑張っている。

経験も積んでいる。

責任ある仕事も任されている。

それなのに不安になるのは、

今の延長線上に、どんな未来が待っているのかが見えていないからかもしれない。

 

5年後。

10年後。

自分はどんな働き方をしているのだろう。

今の会社で働いているのだろうか。

収入はどうなっているのだろうか。

健康は維持できているだろうか。

その答えが分からないまま走り続けると、不安だけが少しずつ大きくなっていく。

 

だから私は、

転職活動の価値は、会社を辞めることだけではないと思っている。

 

自分の現在地を知ること。

それも大切な意味の一つだ。

 

求人を見てみる。

求められているスキルを知る。

 

市場での評価を知る。

それだけでも、今まで見えていなかった景色が見えてくる。

 

実際、

一人で考えているだけでは、見える世界には限界がある。

 

だからこそ、一度外の市場を見てみることも大切だ。

 

たとえば、

doda公式サイト のような転職サービスをつかって、

求人を見てみるのも一つの方法である。

 

今すぐ転職する必要はない。

応募しなくてもいい。

 

ただ、どんな企業が人材を求めているのか。

どんな経験が評価されるのか。

それを知るだけでも、自分の立ち位置が少し見えてくる。

 

自分では当たり前だと思っていた経験が、実は強みとして評価されていた。

そんな発見をする人も少なくない。

転職するかどうかは、その後で決めればいい。

 

まずは、今いる場所を知ること。

未来を見る前に、現在地を確認してみること。

それだけでも、今感じている不安は少し軽くなるかもしれない。

 

まだ頑張れる。

その気持ちは大切だ。

 

だが、頑張り続けることだけが答えとは限らない。

 

立ち止まって、

自分の未来を見つめ直すことも、前へ進むための大切な一歩なのだと思う。

Believe in your possibility.

( by TSK )

 

今週も、

変わることなく月曜から始まった仕事。
やっと、

火曜まで乗り切ることができたと、自宅のソファに腰掛けて一息つける夜。
 

冷蔵庫から冷えたお茶を取り出し、何気なくテレビをつける。
流れていたのは、働き方に関する特集番組だった。

副業。

転職。

独立。

リモートワーク。

今や聞き慣れた、様々な働き方が紹介されている。

「若い頃は副業という言葉すら、あまり聞き馴染みがなかったな」

そんなことを思いながら眺めていた。
 

しかし、気付けば番組の内容よりも、別のことを考えている自分がいた。
 

最近、以前より疲れが抜けにくくなった気がする。

朝起きるのも少し辛い。

休日はゆっくり休んだはずなのに、月曜日にはもう疲れている。

そんな感覚だ。

 

もちろん、今すぐ働けなくなるほどではない。

仕事もこなせている。

上司や取引先との関係も悪くない。

だからこそ、自分でも不思議だった。

 

なぜこんなに不安なのだろう。
 

20代の頃は違った。

多少の無理は気合で乗り切れた。

残業が続いても、休日に予定を詰め込んでも、それが当たり前だった。

むしろ、忙しいことが充実している証拠だと思っていた。
 

だが、30代や40代になると少し変わってくる。

家族のこと。

親のこと。

健康のこと。

お金のこと。

考えることが増える。 

そして、いつの間にか自分自身へ問いかけるようになる。

「あと何年、今と同じ働き方を続けられるだろうか」

そんなことを考えていると、ふと昔のことを思い出した。
 

社会人になったばかりの頃、先輩から言われた言葉だ。

「若いうちは無理が利くからな」

当時は、そんなものかと思って聞き流していた。
 

しかし今なら、その言葉の意味が少し分かる気がしている。

頑張ることはできる。

まだ走れる。

だが、

昔と同じように走り続けられるかと聞かれれば、

正直言って自信がない。

 

それでも、

多くの人はその不安を口にしない。

心のどこかで何か引っ掛かっているのを感じながらも、

「まだ頑張れる」と、そう自分に言い聞かせて走り続けている。

 

問題は、その言葉を何年も繰り返している時だ。
 

では、

本当に必要なのは、もっと頑張ることなのだろうか。
それとも、

別の選択肢を考えることなのだろうか。
 

その続きを、木曜日の後編でお話ししたい。

Believe in your possibility.


( by TSK )

 

8月のある土曜日。

 

テレビでは、

南海トラフ地震に関する特集が流れていた。

避難経路。

備蓄品。

非常食。

 

真面目な内容である。

 

私も真面目に観ていた。

 

そして思った。

「防災リュックを準備しておこう」

 

37歳。

フリーランスのWebライター。

 

万が一に備える年齢である。

 

思い立った私は、

その日の午後に、さっそく近所のホームセンターへ向かった。

 

まずはリュックを購入。

 

ここまでは順調だった。

 

問題は中身である。

ということで、 非常食コーナーへと向かう。

アルファ米。

保存パン。

カロリーメイト。

 

どれも魅力的だ。

 

しかし、私はライターである。

 

ただ買うだけというわけにはいかない。

 

非常食にも、それぞれ特徴があるはずだ。

 

気付けば私は、商品の裏面を真剣な顔で読み始めている。

保存年数。

カロリー。

タンパク質量。

価格。

コストパフォーマンス。

 

まるで記事を書く前の下調べである。

 

30分後、

私の買い物カゴには、厳選された非常食だけが入っていた。

「完璧だ」

続いて、ライト売り場へ向かう。

懐中電灯。

LEDランタン。

ヘッドライト。

 

どれも災害時には必要そうに見える。

 

私は売り場の前で腕を組んだ。

「災害時は、両手が空いた方が便利ではないか」

そう考えると、ヘッドライトが最有力候補に思えた。

「きっと、避難所へ移動する時も便利なはずだし、荷物を運ぶ時も使えそうだ」

 

完璧である。

 

しかし、ここで私は新たな問題に気付く。

「待てよ・・・」

「もし、停電が長引いたらどうする」 

「ヘッドライトだけでは、部屋全体を照らせないではないか」

「そうなると、ランタンも必要になるな」

「いや、そもそも停電した自宅の中を移動するなら、懐中電灯もあった方が便利だ」

気付けば私は、

それぞれの使用シーンを脳内でイメージしながら、ぐるぐるとシミュレーションしていた。

避難所ならヘッドライト。

自宅ならランタン。

夜中の移動なら懐中電灯。

 

どれも必要である。

 

その結果。

ヘッドライト。

ランタン。

懐中電灯。

全部購入。

「完璧だ」

 

次は、モバイルバッテリーである。

容量。

充電速度。

重量。

 

売り場の前で立ち止まり、私は再び真剣な顔になった。

 

スマホは命綱である。

まずは、商品棚から10000mAhのモバイルバッテリーを手に取ってみる。

「地図を見る、情報を調べる、連絡を取る。。。」

 

「だとすると、容量は大きい方が安心だな」 

 

「しかし、災害が長引いたら」

 

「容量がもっと必要かもしれない」

 

「いや、待て」

 

「もし片方が故障した場合はどうする」

 

「予備も必要だな」

 

「さらに言えば、予備の予備も必要ではないか」

 

結果。

10000mAh。

20000mAh。

予備用。

予備の予備用。

 

気付けば、4個買っていた。

「完璧だ」

 

帰宅後、

私は買ってきた荷物を開げて、満足気に防災リュックに荷物を詰め始めた。

非常食。

ライト。

複数のモバイルバッテリー。

救急セット。

乾電池。

軍手。

ホイッスル。

防寒シート。

 

順調である。

 

むしろ、

防災の専門家がみても文句ないだろうという気さえしていたのだ。

 

しかし、ここで問題が発生する。

「リュックが、、、閉まらない。。。」

 

私は焦った。

「何かを減らさなければ無理だ」

 

だが、どれも重要である。

非常食は、、、削れない。

ライト、、、削れない。

バッテリー、、、削れない。

 

今まで積み上げてきた努力の結晶ばかりだ。

 

私はリュック内の荷物を、まるでテトリスのように配置し、

最後に全身の力を使って押し込み、なんとかファスナーを閉じることに成功する。

 

達成感である。

これにて、念願の防災リュックは完成した。

 

私は記念撮影でもしようとスマホを取り出した。

 

その時、テーブルのほうへと視線を向けると、

視界には、2リットルのペットボトルが置かれているではないか。

 

私は、軽い思考停止を終えたあと、それがなんであるかをすぐに察知した。

 

水である。

 

防災グッズ界の主役である。

「完全に忘れていた」

 

慌ててリュックを開く。

 

しかし、入る隙間があるわけがない。

 

どこにも隙間は存在しないのだ。

 

私は数分間、水とリュックを交互に見つめ続けた。

 

そして、静かに呟いた。

「み、水は・・・現地調達でいこう」

 

その瞬間、

テレビからアナウンサーの声が聞こえてくる。

「災害時は、水の確保が最優先です」

 

「。。。」

私は無言のまま、そっとテレビを消すのであった。

Believe in your preparation.

( by TSK )

 

 

今週も木曜日まで走り切り、

ようやく週末の姿が少しだけ見えてきた夜。

 

仕事から帰宅し、

いつものように夕食を済ませる。

 

ふとスマホを開くと、

火曜日に見た転職動画のことを思い出した。

 

前編でもお話ししたが、

今の仕事が嫌なわけではない。

職場に大きな不満があるわけでもない。

それなのに、

なぜか将来への不安だけが消えない。

そんな経験はないだろうか。

 

実は私自身、そう感じたことがある。

 

そして

多くの場合、その不安の正体は「転職したい気持ち」ではない。

もっと別のところにある。

 

例えば、

知らない土地で車を運転している場面を想像してほしい。

目的地は決まっている。

しかし、

今どこを走っているのか分からない。

あと何キロあるのかも分からない。

そんな状態なら、誰だって不安になる。

 

仕事も同じだ。

毎日頑張っている。

経験も積んできた。

責任ある仕事も任されている。

それなのに不安になる。

なぜか。

 

会社の中での評価しか知らないからである。

今の経験は、世の中ではどのくらい評価されるのだろう。

自分のスキルは、他社でも通用するのだろうか。

もっと自分に合う環境はあるのだろうか。

その答えを知らないまま働いていると、不安だけが少しずつ大きくなっていく。

 

だから私は、

転職活動の価値は「会社を辞めること」だけではないと思っている。

むしろ、

自分の現在地を知ることにある。

求人を見てみる。

求められているスキルを知る。

市場での評価を知る。

それだけでも、見える景色は変わる。

 

一人で考えているだけでは、どうしても視野は狭くなりやすい。

 

だからこそ、一度外の世界を見てみることも大切だ。

 

例えば、

IT・Web・ゲーム業界に興味があるなら、

Geekly公式サイト

を眺めてみるのも一つの方法である。

今すぐ転職する必要はない。

応募する必要もない。

ただ、

どんな企業が人材を求めているのか。

どんな経験が評価されているのか。

それを知るだけでも、自分の立ち位置が見えてくる。

 

自分では当たり前だと思っていた経験が、実は大きな強みだった。

そんな発見をする人も少なくない。

 

転職するかどうかは、その後で決めれば良い。

 

まずは、今いる場所を知ること。

 

頑張っているのに不安が消えない。

もし今そう感じているなら、それは能力不足でも努力不足でもない。

 

ただ、自分の可能性をまだ知らないだけかもしれない。

 

未来を見る前に、まずは現在地を確認してみよう。

 

きっと、

今までとは違う景色が見えてくるはずだ。

Believe in your possibility.

( by TSK )

 

今週もいつも通り月曜から始まった仕事。
やっと火曜まで乗り切ることができたと、自宅のソファで一息つく夜。

何気なくスマホの画面を観れば、SNSからの通知が届いている。

開くとそこには、

学生時代の友人達が楽しそうに旅行している画像投稿だった。

 

画面をスクロールして眺めていると、転職に関する動画広告が流れてきた。

「40代からの転職成功」

「年収アップ」

「人生が変わった」

若い頃なら、気にも留めなかったような動画だ。

しかし最近は、なぜか指が止めて内容を観てしまう自分自身がいる。

そして気付けば、
こんなことを考えている。

「自分はこのままで良いのだろうか」

今の仕事や職場が嫌なわけではない。

人間関係も悪くない。

生活に困っているわけでもない。

それなのに、
なぜか心は落ち着かない。

将来への不安。

収入への不安。

会社への不安。

健康への不安。

気付けば、

不安の理由を探している自分がいる。

30代、40代。
若かった頃とは違う感覚を覚える。

20代の頃は、
とにかく前へ進むことだけを考えて全力疾走だったが、

いま振り返ってみると楽しかったと思える。

仕事を覚える。

経験を積む。

給料も少しずつ増える。

昨日より今日、今日より明日。

そんなふうに、
成長している実感を持ちやすかった。
 

しかし、
30代、40代になると少し変わってくる。

役職が付く人もいる。

後輩や部下を持つ人もいる。

責任ある仕事を任されることも増える。

それはきっと、

周囲から見れば、順調と呼ばれるものなのかもしれない。

だが、本人だけは分かっている。
以前ほど、未来が見えていないことを。

「今の仕事をずっと続けていくことが、自分にとって本当に正解なのか」

「今の経験は、本当に市場で通用するのだろうか」

「もし環境が大きく変わったら、自分は対応できるのだろうか」

そんなことを考え始めて、
そして、
不安だけが少しずつ大きくなっていく。

ここで、一つ考えてみてほしい。
その不安は、

本当に転職したい気持ちなのだろうか。

会社を辞めたいのだろうか。

今の仕事に不満なのだろうか。

もしかすると、そうではないかもしれない。
 

実は、
頑張っている人ほど勘違いしやすいことがある。
転職したいのではなく、
別のことが分からないだけなのかもしれない。

では、その不安の正体とは一体何なのか。
そして、
なぜ頑張っている人ほど不安を抱えやすいのか。

その続きを、木曜日の後編でお話ししたい。

Believe in your possibility.
 

( by TSK )