「熱帯」(森見登美彦)読みました。 | 耳トレtsingmoo青木肇のブログ

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完全音感(絶対音感&相対音感)指導。聴音、ジャズピアノ、ジャズボーカル、スキャット、アカペラベース、英語発音指導。アカペラバンドクリニック。
ピアノ、アカペラ、合唱、リコーダー、カリンバアレンジなど。
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正月帰省中に名古屋で買った「熱帯」。
ゆっくり読了。
少しネタバレ含みます。

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千一夜物語を題材に、それがもつ入れ子構造、物語拡張構造を存分に活用しての物語展開。

もう一度読む必要はあるが、池内氏から(結果的に)佐山への一人称の移し替え?のところだけちょっとよく分からない。
名無しのネモを池内氏として読んでいたのでネモ=佐山で??にはなった。
でも一人称が誰に入れ替わっても別にいいのかもしれない。

ペンギン・ハイウェイでの「海」のような「月」。
その「海」を取り巻くグルグル円環し続ける川のような物語全体のグルグル。

創造の魔術(秘密)そのものについての物語。
これまでの作品以上に「テーマ」が直接表に表れているようにも感じる。

アニメ化はされるのだろうか。
されるとすると四畳半神話のような分かりやすい編集が必要かも。
そもそも主人公は誰なのかという素朴な問題も。
いや、多元主義自体が主題とも言えるのかな。

佐山が帰ってきたのが元の世界ではない、という意味ではパラレルワールドものではある。
佐山は彼を記憶する友人たちに「呼び戻された」とも言えるのだろうか。

取りあえず不思議な面白い物語だった。