予定より1時間ほど早く目が覚めた。
台風情報、天気予報、波の予報、そして運航会社の情報をチェック。
波照間島行きの船は、どうやら運航するようだ。
石垣島フェリーターミナルには何度か来たことがあるが、この時期の混み具合はわからない。
迷った末に、ホテルの朝食をパスして少し早めに出発した。
730交差点には、いつものようにぱいーぐるくんが佇んでいる。
ターミナルでチケットを買い、ポーたまおにぎりとマリヤシェイクを手にする。
具志堅さんの像に軽く会釈して、港へ。
定刻より少し早く出航した船は、容赦なく揺れた。
幸い、自分は乗り物酔いしないタイプ。波に合わせて上下する感覚を、むしろ楽しんでいた。
約2時間の航海ののち、初めての波照間島へ上陸。
港にはレンタルショップの人たちが並んでいて、そのうちの一人に声をかける。
集落の中にあるお店まで送ってもらい、原付バイクを借りた。
まずはニシ浜へ。
海を見た瞬間、言葉を失った。
信じられないほど青く、どこまでも澄んでいた。
ラッシュガードを着て、ゴーグルとマスクを装着。
貴重品は防水バッグに入れて腰に巻き、いざ海へ。
水中では、魚たちがすぐそばを泳いでいた。
逃げるでもなく、警戒するでもなく、「一緒に泳ごう」と言わんばかりに寄り添ってくる。
大小さまざまな魚たちと泳いだその時間は、夢のようだった。
しばらくして浜に戻り、美しい海を眺めながら休憩。
乾いたラッシュガードをたたみ、再び原付にまたがって島を走る。
最南端の碑へ向かう途中、道端のヤギが草を食んでいた。
のどかな風景に、思わず笑みがこぼれる。
碑に立ち、「今、自分は日本の一番南(有人島)にいるんだな」と実感した。
いつか行ってみたいと思っていた場所に、今こうして立っている。
その後もペムチ浜や集落を巡り、島を何周もした。
サトウキビが風に揺れ、ヤギがこちらを見つめる。
何もないけれど、そこにあるすべてが豊かだった。
昼は港の食堂で八重山そばを食べた。
メニューは「そば(大)」と「そば(中)」だけ。
潔くて、心地いい。
港はこの島のハブだ。日陰もトイレもここにある。
観光地というより“生活の島”なのだ。
波照間空港にも立ち寄った。
火曜日、フライトのない日。
掲示された時刻表と運賃表を見て思う。
これは観光のためではなく、島民の生活を支えるための空だと。
南風が頬を撫でる。
その風の中を原付で走りながら、自分もその一部になった気がした。
どこかを巡ることに飽きて、ただ海を眺めていた。
それがきっと、いちばん贅沢で、幸せな時間だったのだと思う。
原付を少し早めに返し、港まで送ってもらう。
「暑いですね」と話しかけると、「これでもだいぶ過ごしやすくなったよ」と笑うおじさん。
こういうやりとりも旅の喜びだ。
帰りの船はさらに揺れた。
目の前の女の子たちは酔ってしまい、トイレに行ったきりしばらく戻れなかった。
石垣港に戻ると、夕焼けが美しかった。
その空を見ながら、「今日という日を忘れないでおこう」と思った。
夜はホテル近くの昨日とは違う居酒屋へ。
お店の雰囲気も、店員さんの人柄も心地いい。
料理もお酒も美味しくて、自然と笑顔になった。
「明日も来ますね」とお姉さんに伝えて店を出る。
石垣島で、また好きなお店がひとつ増えた夜だった。
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