・草月流 第10回 AT賞展
斎藤です。
AT賞展に出かけてきました。
さっそく作品から。
強瀬 草陽
蓮(枯れ実)、アルミ針金、ウットビーズ(赤、緑、黄色)
蓮の実が、階段の手すりを
よじ登っていきます。
行列をなすすがたは、
えさを運ぶ働きアリのようです。
でも、働かされているのではなく、
ワイワイガヤガヤと楽しそう~
山をのぼって降りて、
さらにその先へと行進です。
針金とビーズが
かわいい手足のようで、
作品にほのぼのした
ユーモアもあります。
中島 杏翠
トクサ、グロリオーサ、シマススキ
風にそよぐ草の葉がすずしそう。
作品右半分の、葉の向きは
ランダムな向きで、
作品左半分の、葉の向きは
左向きに統一されています。
風のふきぬける草原に似て、
子どものころ遊んだ
原っぱを思い出す。
ノスタルジーを感じさせる作品です。
深澤 晴保
枯つげ、かすみ草、スプリンゲリー、トクサ、エアプランツ、ピンク胡椒
草月会館の玄関にはいって
すぐ目のはいる作品です。
風鈴の短冊のように見え、
すずしい音が感じられます。
作品を後ろから見ると、
正面の風情とはまったくちがう、
緑のまぶしい若木です。
そばに大きな立ち木があるので
高低、老若の対比も
際だって見えます。
森島 志鳳
うんりゅうやなぎ、グロリオーサ
池に巨大な花が開きます。
中心のあざやかな赤い花は
思う以上に力強い。
特に作品を後ろからみると
火山のマグマのよう。
エネルギーにあふれています。
中心の花は、草月では
おなじみのグロリオーサです。
花びらのようにみえるのは
うんりゅうやなぎです。
丹念に編みこみ、
枝を立たせ、カーブさせています。
藤倉 清佳
琉球石灰岩、着色藤づる
おいで、おいで、と
手招きをする藤づるです。
でも、手前の池には注意!
わたしも落ちそうに
なったことがあります(笑)
藤づるを石に結わいて
立たせているんですね。
目線を遠くにうつすと、
無数の藤づるが立っています。
大きな器へと連なります。
うつわに誘われていく
青い藤づる。
器に到着~
もしかしたら、
器に藤づるが向かうのではなく、
器から藤づるが
流れ落ちているのかな?
視線は、器から藤づる、階段、
そして通路へと戻っていきます。
新田 陛嘉
シャリボク(ベンガラ染料)、サルスベリ、糸ヒバ、カイヅカイブキ
2本の平行線にみなぎる緊張感に
きもちもピンとひきしまります。
重厚なL字型の花器が
いっそうの緊張感を引き出します。
夏の暑さにふさわしい、
情熱的な赤い花材たちです。
平塚 恵春
ノーフォークパイン、うつぎの根、こくわづる
ノーフォークパインが
大理石のうえ一杯に広がります。
ノビノビとして心地よさそう。
ノーフォークパインは
作品の右後ろへと回りこみ、
階段の下の
水路へとつながっていきます。
こんなところに、
石庭の穴場スポットが
あったんですね。
ノーフォークパインへの愛情に
あふれる作品です。
北島 里夏
杉の皮、さわら、てっせん
硬い大理石のうえに、
まっすぐと
杉の枝がそびえたちます。
杉の枝には鉄線が舞い、
さわらが地をはっていきます。
しずかな佇まいなのに
これから何かが起きるような予感。
シンプルなのに、
飽きさせない形です。
堀田 丹順
ワイヤー、グロリオーサ(葉・ドライ)
大きな岩には
帽子のようなオブジェ。
かろやかな風にのり、
舞い降りたかのようです。
花材のリストをみると、
「グロリオーサ」と書いてあります。
近づいてよく見ると、
微小なグロリオーサです。
グロリオーサの葉って
ドライにすると
こんな風になるのかな?
この物体の紹介は
もう1つの作品で~
松井 青焔
竹
くねくねとした動きは、
自ら意思を持つかのよう。
近づいて見ると、
竹って、手を加えることで
こんなに
曲げられるんですね。
好奇心あふれる竹たちは
作品から離れて
あちこちに遊びに出かけます。
滝にすずむ竹(笑)
作品から飛び降りる竹(笑)
佐藤 蓉清
ハラン、スモークツリー、トルコギキョウ、クルクマ
みじかかった
梅雨の季節を愛おしく思う。
大理石のうえには、
湿気をはらんだ緑がひろがります。
横に回り込んでみると、
かなり大きな作品なんです。
水をのませなくても長持ちする
ハランだから生まれた作品です。
今津 友青
タイサンボク、竹、クロガネモチ、アルミダクト、ザクロ
一気呵成でいけあげたような
迷いのない潔さです。
でも、ただ潔いだけでなく、
細かいところまで、ていねいに
気持ちが行きとどいています。
堀田 丹順
ヒョウタン、セメント
ぷくっとしたその愛らしい形は、
広場を遊びまわる
狸の子どものようです。
おなかと手足としっぽ?
そして階段の下へも飛び跳ねる。
緊張感あり、遊びあり、
涼しさあり、熱気あり、
わたしの思いもつかない
ユニークな作品の数々でした。
いけばなはどんなに究めても
終着点というものは存在しない。
発見、おどろきの数々、
いつも思うのですが、
花展はたのしいです!