第2回「新いけばな主義」展 | 理系男子による自由に花をいける秘訣(自由花)

理系男子による自由に花をいける秘訣(自由花)

花をどういけたらよいか? 自由花のいけ方、そのポイントをお伝えしています。

・第2回「新いけばな主義」展

 

斎藤です。

 

「新いけばな主義」展に

行ってきました。

 

パンフレットを読むと、、、

 

展覧会では、

現代いけばなの作家20名の

作品が展示されます。

 

また、公募による審査を通過した

14名の作品のなかから

グランプリも選ばれるそうです。

 

「新いけばな主義」といわれても、

時代に疎いわたしには

よくわからなかったのですが、、、

 

パンフレットには

「CONTEMPORARY IKEBANAism」

と英語併記されていましたので、

 

現代のいけばなの潮流と

いうことなのでしょうか。

 

チケットは事前販売制でしたが、

さいわいにも手に入ったので、

初日にでかけてきました。


作品のなかからいくつか、

わたしの気に入ったものの

感想を書いていきます。

 

 

■工藤亜美 題:LOCUS

小原流 研美会の方です。

 

ほんものの氷の柱がならびます。

 

氷は、1日をかけて

すこしずつ溶けていきます。

 

夕方になったら、

どのような姿になるのでしょうね。

氷は毎日交換なさるとか。。。

 

パウダースノーのようなものは

吸湿材(?)を使っています。

 

つい、塩かなと思って

確かめたくなりますが、

 

食べられませんので

お気をつけください、

 

とのことでした。

 

(06/24 追記)

本作品が公募作品の

グランプリに選ばれました!

 

第2回 新いけばな主義「グランプリ」

作家:工藤亜美
タイトル:LOCUS

時間の経過により時折こぼれ落ちる物体。

その推移を見る者に感じさせた作品は、

植物を使わずして、生命ある植物を素材とした

いけばなの本質そのものを

クローズアップさせた作品とも言えます。

日々、変化する今回のグランプリ作品を

是非、会場でご覧くださいませ。

(facebook 「新いけばな主義」より引用)

 

最近のいけばな展では

 

植物素材を使わない作品を

目にするようになってきました。

 

どう捉えたらよいのか、

とまどってしまうわたしですが、

 

「植物を使わずして、

 生命ある植物を素材とした

 いけばなの本質」

 

この言葉が

作品制作や作品鑑賞の

ヒントになりそうですね。

 

(06/24 追記終わり)

 

■大泉麗仁

草月流の方です。

 

 

ぱっと見た目はシンプルですが

 

花材のユニークさだけに頼らず、

作品の隅々までに

意識がいきとどいています。

 

横から見ると、

板と板の間は、

あふれんばかりの蔓で

充満しています。

 

近づいて見ると、

蔓は木のなかに溶け込み、

作品全体が、

生きている有機体のようです。

 

細部までよく練られていて

作品の完成度は

この会場のなかで一番高いです。

 

 

■水野理美

草月流の方です。

 

墨絵のような

精神世界を描いています。

 

近づいて見ると、

銅線の網に、

草をからませているのですね。

 

わずかに赤みがかった

金色のかがやきが、

作品に気品を与えています。

 

 

■肥原慶甫

未生流のお家元です。

 

黒い霧のようなものと

ビニールの袋が

ふんわりと浮かんでいます。

 

別の角度から見ると

黒い霧は植物であることが

わかります。

 

ビニールだと気づいた途端、

作品が安っぽくなりがちなのが

常ですが、

 

この作品は、

花材とビニールの相性がぴったりで、

 

まったくそのようなところが

ありません。

 

上を見上げると、

宙にうかぶ木の枝は、

天井からの銀色の網で

支えられています。

 

 

■新井光史 題:leaf ・ stem ・ flower #001

フラワーデザイナーとのこと。

 

植物の存在とは一線を画す、

記号・建築物のようなオブジェです。

 

 

 

会場にいるとわかるのですが、

 

草の持つ鮮やかな緑色とともに、

草の匂いが漂い、

 

建造物には存在しない

植物ならではの命宿る作品です。

 

天井を見上げると

植物の原型をとどめた姿があり

 

植物であることを

あかしを示しています。

 

 

■田中嶺紗 題:再生

草月流の方です。

 

無数の黒い豆粒をつかった

呪術のような作品です。

黒い太陽フレアを示す

闇の世界のようにも見えます。

 

しかし、でこぼこのある部分に

近づいて見ると、

うまれたばかりのちいさな命。

 

その姿に

一層いとおしさが感じられ、

 

がんばれー!と

声をかけたくなります。

 

 

■今津友青 題:窮屈な部屋

草月流の方です。

 

会場の一番奥のスペースで

ひときわ大きな存在感を

放ちます。

題は「窮屈な部屋」ですが、

部屋は枝のなかにあるのかな?

 

部屋に凝縮された念が吹き出し、

何十倍もの巨大なかたまりとなり

モクモクと上昇していきます。

 

 

■大塚理司 題:集

古流かたばみ会のお家元です。

 

この会場で

もっとも形の安定している

作品です。

 

植物をあつかうだけに、

植物のもつあいまいさを

排除しきれないのが常ですが、

 

この作品には、

人の意により創られた

明確な骨格があります。

 

とはいえ、作品には

植物らしい曲線と温もりがあり、

 

植物のもつ特性をみきわめ、

活かした作品であることは、

他の作品とかわりません。

 

 

■中川彩萠

草月流の方です。

 

鉄板のような重厚さと

繭玉のような軽やかさの

コントラストが都会的です。

 

背景の壁面にうつる影も

1つの作品のようです。

 

不思議なのが

どうやってこの重厚な板を

支えているのか?

板の側面をみると、

段ボールのようです。

 

なるほど。。。

 

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展覧会会場は

このような感じです。

 


工場の倉庫?だった建物を

アートスペースにしているようです。

 

会場にいらっしゃった方は、

いけばなをなさっている方が

多いからでしょうか、

 

年齢層は比較的高めでしたが、

若い方もいらっしゃいました。

 

若い方のなかには、

中国の方も多かったです。

 

中国にいけばな熱が

広まってきているのでしょうね。