がんと転職 | 36歳シングルOL。乳がんになりました。

36歳シングルOL。乳がんになりました。

恋愛や仕事の悩みは尽きないけれど、健康にだけは根拠のない自信を持っていた私。突然の乳がん告知に狼狽しまくり。でも、決めた。「あんな出来事があったからこそ素敵な人生になったな」と思えるように生きてこう。

【2018年8月】42歳!!! ひー!!!


初夏に転職したばっかりだから、まだ有給休暇のない
身の上でして・・・

シルバーウィークめっちゃ嬉しかった~はーと

さて、今日は「がんと転職」について。
これはどこかで必ず書きたいと思ってきたこと。

がん経験者の転職ってどうなの?っていう話です。


              * * *        

このブログでも随分書いてきたけれど、正直、私は前の
職場がダメでしたイヤsei

仕事は嫌いじゃないし、同僚にだってわりかし恵まれてた
と思うのだけど、ものすごーく競争意識の強い環境でsei

普通に頑張っているだけだと「足りてない」って言われる
気配がむんむんいっている。

そういう毎日がもう限界でがーん

それでも、上司のこととか会社の構造だとか、カルチャーの
ことをグチグチ悪く言ってるだけじゃ、何も変わらないし

せめて今の自分にできることをやってからって
めいいっぱいむちゃしたことも何度か。



でも、最終的に思ったようにならなくて、

ある日、通勤電車の窓に映る自分の顔が「灰色のかたまり」
ように見えた時、ここを離れよう、転職しようって決めました。



それで、やっとこ転職を決意したというのに、
そんな時に限って、こんどは乳がんが見つかりました。




乳がんになって悔しかったことは、乳房を全摘することだとか
髪の毛を失うことだとか、とにかくたくさんあったのだけど

おんなじくらい悔しかったこと

それは、自分の職業人生が36歳っていう、これからって時に
閉ざされた(ように見えた)こと。

今思えば、必ずしも閉ざされた訳じゃないのだけど、
少なくとも、その時の私には職業人生の終わりが告げられた
ようにしか思えなくて

悔しくて悔しくて、毎晩泣きました。

がんになったら転職なんて、もう無理なんだろうなって
そんな風に思ったから。

それまでの会社でやっていく自信もなければ、転職して、
新しいスタートをきることさえも許されない。

そんな過酷さに、打ちのめされた訳で・・・orz

外資系の会社で長く勤めてきた自分にとって、転職って
いうキャリアチェンジのオプションが閉ざされると、結構
どん詰まりなのです。



で、何が言いたいかというと、そんなだったけど、でも
『大丈夫かも』ってこと。

3年かかっちゃったけど、がんになったからといって、転職
とか、職業人生に対する積極的な姿勢とかをあきらめる
必要はないんだってことに確信が持てる日が私にもやって
きました。

転職活動中に既往症を伝えるのか否かを悩まなくちゃいけ
なかったり、これまでの『タメ(ご奉公)』がない分、勝手のきか
ない会社へ移ることの恐怖を感じたり・・・

「がんを経験しなければ」必要なかったドキドキは、もちろん
あったけど

でも、そういうのを全部まるっと飲み込む強さや野太さも
治療を通じてだいぶ育ってきていたりもして。

そういうのも全部ひっくるめて、わたしのマルゴトを、どどーん
と転職活動にぶつけてみたら、時間はかかりつつも結果が
少しずつ出せるようになったように思うのです。


で、この機会に・・・

がんになって、会社休んで、それから復職して、2年間ぐらい
かけて転職活動をしてきた中で、自分なりに工夫したことや
考えてきたことを、ちょっとまとめてみたいと思います。


① のっけから乳がん経験を伝える。

 転職活動の中で、乳がんの経験を伝えるのかどうか、
 正直、最初はかなり迷いました。
 
 伝えるとしたら、どのタイミングで?というのも謎過ぎで。

 でも、転職後も通院を理解してもらう必要があるし、隠した
 ところで、どっかでは明らかにせざるを得ない訳で

 それなら、最初から言っちゃえ~って、私は書類選考の
 段階からエージェントを通じてガツガツ伝えておりました。

 で、結果としてなんだけど、それで書類を落とされたことは
 ほぼなかったです。

 むしろ、面接とかでも「あっけらかん」と既往症のことを語れ
 た方が精神的な強さを見せられるのではないかと思いました。

 大切なのは「過去」の一時点でどういう状況だったかという
 ことではなくて、「今」どのような日常生活が過ごせていて
 どのくらい働くことに影響があるか(ないのか)を、誠意を
 もって伝えることなのだと思います。


② そもそも理解がありそうな会社にアプローチする。


 みんな人間だから、「知らない」ことを必要以上に恐れたり
 する訳で。
 
 求人企業の担当者によっては、「がん経験者」を色眼鏡で
 みることがない訳ではないと思うのです。

 で、考えたのは、とりあえず、会社全体として「乳がん」とか
 「がん治療」とか、そういうものに対する支援姿勢を積極的に
 打ち出している会社にアプローチしようってこと。

 生命保険会社とか、ヘルスケア系の会社とか、女性支援系
 の会社で乳がん啓発キャンペーンとかをやっている会社
 などなど。

 そういう会社だって、知識レベルに差はあるけれど、それ
 でも社員の有している「乳がん」や「がん治療」に対する知識
 レベルの平均値は高い方なのじゃないかと思ったのです。

 深い知識や正しい知識をもっている人が相手なら、自分の
 説明もフラットに受けとめてもらえるんじゃないかっていう
 期待がもてますよね。


③ 即戦力になれる分野に集中する。 


 採用にはポテンシャル採用と即戦力採用があると思っています。

 今あるスキルや知識や経験で勝負できるところで採用されるか、
 あるいは、今は未経験だったりするけど、とりあえず意欲や潜在
 的な力やノビシロに対する期待値で採用されるかっていう話です。

 がん治療を経て、最初に転職をする時に、アプローチすべき
 ジョブは、その点でいうと「即戦力」として勝負できるジョブなのだ
 ろうなと思いました。

 会社は、この人材は
 ・採用コストや初期投資に見合う成果をあげてくれるのか?
 ・成果をあげられるようになるまで継続して頑張れるか?
 ・立ち上がりまでにどのくらいかかるのか?

 ってことを、気にして採用に慎重になるのですから
 
 それだったら、「初期投資不要で、一日でも働いてくれたら
 助かる」って言われるくらい自信のもてる分野で勝負すれば
 いいのかなというロジックです。

 転職をきっかけに、仕事や経験の幅を広げたいという気持ち
 はひとまず横において、まずは「採用される」ことだけを
 目指そうと考えました。


④ まずはどんな形であれフルタイムでの就業実績を積む。


 がん患者に対する偏見として、「ふつうにフルタイムで就業できる
 のか」というものがあるように思います。

 採用面接の時に、どんなに「フルタイムで働けます」と言っても、
 「本当にそうなのか?」って信じてもらえないがあったり。

 で、思ったのは、とにかくどんな形であってもフルタイムで3か月間
 でも6か月間でも働いた実績を作ることが大切ということ。
 
 家業を手伝うことでもいいし、アルバイトという形でもいいと
 思うのです。

 「3か月間、9時~17時半、週5で働いて、何ら問題ありません
 でした」って、実績をもって伝えられれば、ものすごく説得力
 があるなって、そんな風に思います。

 私自身、復職した時にもった最初の目標は「とにかく、6か月
 間、フルタイムで就業できたという実績を作る」ってことでした。


⑤ びびっているのは自分じゃないか?と自問する。


 転職活動を始めたばかりの時、

 「私が、がんの経験者だって伝えたら、どんな風にみられる
 のだろう。」

 って、その見られ方をものすごく気にしていた時がありました。

 でも、いま思うと、見られ方を気にした本当の理由は、自分
 自身、体力とか体調の安定性に自信がもててなかったから。

 どう見られるかを気にするというより、自分の自信のなさが
 透けて見えることを恐れていただけなのだと思うのです。

 で、当然ですが、自分でも自信のない商品が売れる訳も
 なく・・・

 事実、復職してしばらくして、自分の体力とか体調の安定
 性にそれなりの自信が持てるようになった時

 人からどんな風に見えるかなんて、あんまり気にならなく
 なったし、結果として、転職活動もどんどん良い方向に
 進みました。

 「人からの見られ方が気になる時」
 
 そんな時は、自分がどこかで自信を失っていないかを
 点検する良いチャンスなのかもしれないって思います。



              * * *        



転職して、それで結局、うまくいったのか?
そんなことは、まだよく分からないし、分かる必要もない。

でも今、仕事が楽しいし、しあわせっ
くま。くま。くま。
それがすべてだって思います。

職業人生の中で積み
上げてきた経験や人的なネットワーク
までもが、がんに
奪われることはないってことを今は実感
しています。

がんになったからといって、人生やキャリアに対する積極
性をあきらめる必要はないよねっ
sei