北朝鮮の核無能力化は年内期限 合意文書発表
【北京・浦松丈二】北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で、議長国・中国は3日、核施設の無能力化とすべての核計画の申告期限を「12月31日」とする合意文書を発表した。北朝鮮が米国に求めるテロ支援国家指定の解除は「北朝鮮の行動と並行し履行する」として時期が明示されなかった。米国主導の無能力化が明記されるなど北朝鮮の核廃棄に向け一歩踏み出したが、年内の「核の無能力化と完全申告」を柱とする「第2段階措置」が履行されるかどうかは今後も曲折が予想される。
合意文書によると、米国のテロ支援国家指定解除は「米朝国交正常化のための作業部会の共通認識を基礎とし、北朝鮮が取る行動と並行して米国も履行する」とした。北朝鮮の金桂冠(キムゲグァン)外務次官は2日、「指定解除の時期は文書に明示されている」と述べており、核施設の無能力化・申告と同時に指定解除されると理解している模様だ。
一方、無能力化の対象は寧辺(ニョンビョン)にある(1)5000キロワット黒鉛減速炉(2)使用済み核燃料を再処理する放射化学研究所(3)核燃料加工施設--の3施設。2週間以内に米国が率いる専門家チームが現地に派遣され、米主導で無能力化が進められる。
北朝鮮の核計画の完全申告に加え、核物質や技術を移転しない約束も再確認したが、北朝鮮が存在を否定する高濃縮ウラン計画には直接言及していない。
日朝双方は02年の「日朝平壌宣言に従って不幸な過去を清算し、(中略)早期に国交を正常化するため誠実に努力する」と記述、「具体的行動を実施する」と約束した。
共同声明案は9月27~30日、北京で開かれた6カ国協議の全体会合で暫定合意され、各国代表団が本国の承認を得るため持ち帰っていた。
◇6カ国協議の合意文書(要旨)は以下の通り。
6カ国は朝鮮半島の検証可能な非核化を目標とする第2段階措置に合意した。
〈1〉朝鮮半島の非核化
1、北朝鮮はすべての核施設の無能力化に同意した。12月31日までに寧辺の5000キロワット黒鉛減速炉、再処理施設(放射化学研究所)、核燃料加工施設の無能力化は完了される。具体的方法は、検証可能かつ国際基準の原則に沿って、首席代表により採択される。米国は無能力化の活動を主導、当初費用を提供する。第一歩として、米国が主導する専門家グループが2週間以内に訪朝する。
2、北朝鮮は12月31日までに、すべての核計画の完全かつ正確な申告を行うことに同意した。
3、北朝鮮は、核物質、技術、知識を移転しない約束を再確認した。
〈2〉国交正常化
1、北朝鮮と米国は完全な外交関係を目指すことを約束した。米国は北朝鮮のテロ支援国家指定を解除する作業を開始し、敵国通商法の適用を終了する作業を進める公約を想起しつつ、北朝鮮がとる行動と並行して公約を履行する。
2、北朝鮮と日本は、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として早期に国交を正常化するため、誠実に努力する。具体的行動の実施を約束した。
〈3〉北朝鮮に対する経済及びエネルギー支援
北朝鮮に対し100万トンの重油(既に供給された10万トンを含む)に相当する規模を限度とする経済、エネルギー及び人道支援が提供される。
〈4〉外相会合
適切な時期に、6カ国外相会合を北京で開催する。外相会合に先立ち首席代表会合を開催する。
【無能力化】 原子炉など核施設の核心部品を取り除き、再稼働できなくする状態。今年2月の6カ国協議で北朝鮮の核廃棄に向け、(1)初期段階措置として、北朝鮮は60日以内に寧辺の実験用原子炉など核施設を停止・封印(見返りは重油5万トン相当の支援)(2)第2段階措置として、その後すべての核計画を申告し、核施設を完全に無能力化することで合意した。「無能力化」すれば、北朝鮮は全体で重油100万トン(初期段階の5万トンを含む)相当のエネルギーの提供や人道支援を受けられる。
毎日新聞 2007年10月3日 21時20分 (最終更新時間 10月4日 1時27分)
6カ国協議:北朝鮮の核無能力化は年内期限 合意文書発表 - 毎日jp(毎日新聞)
テロ支援国家指定、解除の要件明示せず 声明案判明
9月下旬に開かれた北朝鮮の核をめぐる6者協議で議長国の中国が示した共同声明案のうち、米国の北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除に関する文言が2日、明らかになった。米国の指定解除は「北朝鮮側の行動に応じて履行する」との表現で、解除の時期や要件を明示していない。
北朝鮮側は、今回の6者協議の合意に基づいて寧辺にある3カ所の核関連施設を年内に無力化すれば米国が解除に応じると解釈している模様で、今後、無能力化を進める過程で「見返り」をめぐる食い違いが起きる可能性を残した書きぶりだ。
協議筋によると、共同声明案には北朝鮮が寧辺にある3カ所の核関連施設を年内に無力化することが盛り込まれた。テロ支援国家指定解除については、米国が指定解除作業を始めることを確認した2月の6者協議の合意と解除問題を協議した米朝作業部会に触れ、「米朝作業部会のコンセンサス(了解)に基づき、北朝鮮側の行動に応じて、テロ支援国リストに関する2月のコミットメント(合意文書)を想起し、米国側も履行する」との表現になっているという。
北朝鮮代表の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官は2日、「共同声明案に解除期限が明示されている」と記者団に明言した。寧辺の年内の無力化で指定解除の条件は満たしたととらえ、年内の指定解除を米国に求めたものだ。
しかし町村官房長官は2日の会見で「事実に反する」と否定。別の参加国の協議筋も「期限は明示されていない」と語った。
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米 6か国協議の合意文承認
北京で開かれていた6か国協議で議長国の中国が示した合意文の案について、アメリカ代表のヒル国務次官補は、北朝鮮に対するテロ支援国家の指定解除について「日時は記されていない」としたうえで、アメリカ政府としてこの案を承認したことを明らかにしました。
これは、アメリカのヒル国務次官補が、2日、滞在先のニューヨークでNHKなどに明らかにしたもので、ライス国務長官に加え、ブッシュ大統領とも直接会って協議した結果、アメリカ政府としては中国が示した合意文を承認し、日本時間の2日夜遅く中国政府にも伝えたということです。合意文の内容については、協議の終了後もアメリカや北朝鮮などからいくつか表現のうえでの修正の提案があったということですが、ヒル次官補は「内容にかかわるような変更ではなく、まもなく中国が正式に文書を発表することになるだろう」と述べて、近く文書が公表されるという見通しを示しました。そのうえで、ヒル次官補は、北朝鮮代表のキム・ケグァン外務次官が、合意文の案にテロ支援国家の指定解除の時期が明記されたという認識を示したことに関連して「解除の日時は 示されていない」と述べる一方で「表現は非常に注意深いものになっている」と述べるにとどまりました。
NHKニュース