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◇遅すぎる対応にいら立ちも--地村夫妻の家族ら
北朝鮮による地村保志さん(50)、富貴恵さん(50)夫妻=福井県小浜市=の拉致事件は23日、福井県警と警視庁の共同捜査本部が元工作員、辛光洙(シングァンス)容疑者(76)に対して国外移送目的略取などの容疑で逮捕状を取り、捜査は発生から27年半で大きな節目を迎えた。しかし、夫妻が帰国して既に3年以上が経過。この間、帰国した5人以外の拉致被害者を巡っては目立った進展がない。夫妻の家族らも「対応が遅すぎる」といら立ちを募らせ、今後の北朝鮮との交渉と拉致の真相究明に生かすよう求めている。【川口裕之】
保志さんの父保さん(79)は「保志は帰国後、間もなく聴取を受けているはず。今になって逮捕状を取るとは実に遅い」と批判する一方、「捜査の進展はありがたい。辛以外にも実行犯がいたはず。野放しにせず、根こそぎ逮捕しないと、また拉致は起こる」と徹底的な捜査に期待する。
救う会福井の池田欣一会長(82)は「日朝交渉の突破口にすべきだ。政府が北朝鮮に容疑者の引渡しを強く求めないといけない」と話すが、引き渡しは困難と見ている。「5人に聴取した内容を北朝鮮にぶつけ、情報を出さないなら経済制裁を迫ることが重要だ」と政府の姿勢に注文した。
富貴恵さんの兄、浜本雄幸さん(77)は辛容疑者が韓国で身柄拘束された後の00年、恩赦で北朝鮮に帰国した当時を振り返り、「あのころ、辛を追及してすべてを白状させれば、もっと早く拉致を解決できたのに」。21日に保志さん一家と会ったといい、「事件の話はしない。(夫妻の)子どもたちも含めて、みんな前向きに生きている」と様子を語った。
◇「一日も早い解決へ、全力尽くしたい」--参院特別委派遣団、県庁訪れ意見聴取
参院拉致問題特別委員会の派遣団が23日、実情調査のため福井県庁を訪れ、地元行政や関係者から意見を聴取。県や小浜市から地村さん一家の近況が報告されるとともに、県内特定失踪(しっそう)者3人の家族らが安否確認や真相究明のための調査を求めた。
派遣団は広野ただし委員長、理事や委員総勢12人。説明や要望のため出席したのは、県や県警、小浜市の幹部のほか、救う福井の会の池田欣一会長、救う会全国協議会の島田洋一副会長、特定失踪者の家族ら。
広野委員長は冒頭、「意見をうかがい、一日も早い解決に全力を尽くしたい」とあいさつ。続いて西川一誠知事が一家の近況を簡単に紹介した後、特定失踪者3人の名前をあげ、「真相解明のためのさらなる詳細な調査、積極的な取り組みをお願いしたい」と求めた。
その後、派遣団は非公開で説明や要望を受けた。終了後に会見した広野委員長は「地村さん夫妻の帰国後の状況や課題、特定失踪者の捜査状況や真相究明の実態について聞いた。失踪者の家族は高齢なので一日も早く解決しなければならない。北朝鮮人権法案を与野党のすり合わせが出来れば早く成立させたい」と語った。【兵頭和行】
2月24日朝刊
(毎日新聞) - 2月24日17時1分更新
Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - 北朝鮮・拉致問題:辛光洙容疑者に逮捕状、徹底的な捜査を期待 /福井◆家族ら、一日も早く
小浜市の地村保志さん(50)と妻の富貴恵さん(50)の拉致事件で、県警は23日、別の拉致事件で国際手配中の北朝鮮の元工作員、辛光洙(シン・グァンス)容疑者(76)を国外移送目的略取などの疑いで逮捕状を取った。発生から28年。支援者からは事件の徹底解明を求める声が上がった。この日は参院の北朝鮮拉致問題特別委員会が来県し、関係者から意見を聴取した。
■県警
「被疑者 辛光洙」
逮捕状取得の会見は午後1時から、県警本部であった。会見に臨んだ巣守光警備部長は、手にした報道文に目を落としながら、地村さん夫妻の拉致事件の容疑者名を読み上げた。
帰国した拉致被害者の事件について逮捕状が出たのは初めて。発生当初は手がかりが乏しく、小浜署が中心となり事件・事故などあらゆる可能性を想定し捜査を進めた。県警が北朝鮮による拉致の疑いが強いとみて捜査を本格化させたのは、大韓航空機爆破事件(87年11月)で、拉致された日本人女性の存在が浮かび上がって以降だったという。
「何やら人の気配がしたので振り返ってみると男4人が立っていた。自分が思わず立ち上がると、いきなり襲いかかってきて、口をふさがれ後ろに倒され、手を後ろで縛られて、袋に入れられた」
帰国前の02年9月、平壌で政府調査団と面会した時、地村さんは拉致の模様をこう証言していた。
この日の会見で、県警は、02年10月の地村さん夫妻の帰国後、夫妻から複数回にわたり事情聴取を重ねてきたことや、拉致現場となった小浜公園展望台で夫妻立ち会いの下、現場検証を実施したと説明した。
辛容疑者は、80年に起きた大阪市の中華料理店員原敕晁(ただあき)さん拉致の中心人物として国際手配されていた。地村さん夫妻の事件で辛容疑者の関与が直接結びついた時期については「去年の後半」とし、「地村さんの証言や警視庁情報を精査して、辛容疑者関与の証拠が集まった」と自信をのぞかせた。
■地村さん周辺
保志さんはこの日朝、いつも通り勤務先の小浜市役所に出勤。逮捕状取得については県警から、小浜市の拉致被害者・家族支援室を通じて、連絡があったという。
地村さんは「今回の対応は、私たち夫婦の証言も含め警察当局による総合的な調査及び判断により下されたものと思っています」とした上で、「私たち夫婦にとって拉致実行犯の引き渡しも重要な問題だと考えていますが、未解決の安否不明者の帰国実現問題がより優先で最重要課題だと思っていますので、今後ともご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます」とコメントした。
保志さんの父、保さん(79)は「遅かった感じはするが、逮捕状を取ったのはよかった。ただ、拉致は辛容疑者1人でやったのではなく、ほかにも実行犯がいる。警察はそのあたりも早く洗い出して公表して欲しい」と話した。
県立若狭東高教諭で保志さんの小中学校時代の同級生、森本信二さん(50)は「捜査が後手に回っている印象を受ける。(逮捕状請求は)日朝交渉に向けた駆け引き、警察の単なるパフォーマンスとも受け止めてしまう」と話す。
「他の拉致被害者や特定失踪(しっそう)者の家族らは高齢化し、時間はない。警察は本腰を入れ、早期解決に向けて取り組んで欲しい」と強く求めた。
「北朝鮮に拉致された日本人を救う福井の会」(救う会福井)の池田欣一会長(82)は、北朝鮮が辛容疑者の身柄引き渡しに応じるかどうかに懸念を示しながらも「徹底的に追及し、拉致にかかわることすべてを聞き出して大勢の特定失踪者の問題解明につなげてほしい」と話した。
■参院特別委
特別委の12人は県庁を訪れ、西川一誠知事や県警警備部参事官のほか「救う会福井」メンバーの特定失踪者の家族らと懇談。知事が、地村さん家族への一層の支援や特定失踪者の安否確認への努力を要請し、質疑は約2時間半に及んだ。
会合後、会見した広野ただし委員長(民主)は「一日千秋の思いで解決を待つ関係者の声に胸のつまる思いがする。一日も早い解決へ向け頑張りたい」と話した。
■地村さん夫妻についての主な出来事■
78年7月 7日 地村保志さん、富貴恵さんが、小浜公園展望台で拉致される
02年9月17日 小泉首相と金正日総書記が日朝首脳会談。北朝鮮が拉致を認め、「5人生存8人死亡」と伝える
10月15日 地村さん夫妻ら拉致被害者5人が帰国
03年4月 1日 保志さんは小浜市の、富貴恵さんは県の嘱託職員として勤務を始める
04年5月22日 小泉首相と金正日総書記が2回目の日朝首脳会談。地村さんの3人の子どもたちが帰国
05年3月18日 地村さん夫妻ら拉致被害者5人とその家族が日本への永住の意思を表明
4月 地村さんの3人の子どもたちの新たな進路がスタート。長女恵未さんは小浜信用金庫に就職。長男保彦さんは福井大学へ、次男清志さんは若狭高校へ進む
11月 保志さんが小浜市の社会人採用試験に合格。06年4月から市の正職員に
06年2月23日 地村さん夫妻を拉致した容疑で、福井県警が北朝鮮の元工作員、辛光洙容疑者に逮捕状
asahi.com:拉致 全容解明への一歩 - マイタウン福井 ◇蓮池夫妻拉致で
県警が23日、蓮池薫さん(48)、祐木子さん(49)夫妻の拉致容疑で北朝鮮の元工作員、通称「チェ・スンチョル」容疑者の逮捕状を取ったことで、拉致事件の捜査は一つの区切りを迎えた。県内の関係者からは「これを弾みに拉致事件の解決と全容解明を」と期待の声が上がった。
県警は23日朝、新潟地裁に捜査員を派遣し、同午後0時半ごろ、国外移送目的略取・同移送の疑いでチェ容疑者の逮捕状を取った。チェ容疑者は年齢70~75歳で、身長約170センチ。大韓航空機爆破事件や田口八重子さん拉致事件などに関与したとされる朝鮮労働党の諜報機関の一つ「対外情報調査部」に所属していたとみられ、少なくとも数年前まで北朝鮮で暮らしていたことが分かっているという。
三木邦彦・警備部長は会見で「一区切りついたというよりスタートラインに立った気持ち。県内の拉致被害者にはまだ、横田めぐみさんら安否不明者がおり、これを突破口に捜査を進めたい」と決意を述べた。
一方、蓮池さんの同級生で作る柏崎市の支援団体「再会をめざす会」の野俣正一会長は「日朝交渉の際に逮捕状がなければ、引き渡しを要求しても説得力に欠ける。事件の核心に向かって外堀を埋めていってほしい」と期待を寄せた。
新潟市の支援団体「救う会新潟」の馬場吉衛会長も「これを機に厳しい追及を続け、早く決着をつけてほしい」と話した。一方で「北朝鮮が工作員の引き渡しに応じるかは疑問。これからが難しい」と不安も語った。【前谷宏】
◆ ◆ ◆
蓮池さんは柏崎市を通じて報道各社にコメントを寄せた。全文は以下の通り。
今回の警察の措置に関しては、私どもも事情聴取等を受けてまいりましたが、あくまでも警察の捜査の結果であると推測しますので、コメントは控えさせていただきます。
なお、事態が進展し、まだ帰られていない拉致被害者の帰国が一日も早く実現することを心から願っております。
平成18年2月23日
蓮池薫
毎日新聞 2006年2月24日
北朝鮮・拉致問題:チェ容疑者逮捕状、「全容解明の弾みに」--関係者が期待 /新潟:MSN毎日インタラクティブ
